
そのヘルメット、洗っていますか? アライに聞いた正しいお手入れ
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ヘルメットの内装には、乗るたびに汗や皮脂、整髪料などが付着し、気づかないうちに汚れが蓄積していきます。では、どのくらいの頻度で洗い、どのようにお手入れすればよいのでしょうか。そこで今回は、株式会社アライヘルメット 広報部の相神(あいがみ)氏に、内装の正しい洗い方や乾かし方、お手入れの注意点について話を聞きました。
そのヘルメット、最後に洗ったのは?
汗・皮脂・整髪料に化粧や花粉まで、内装は乗るたびにいろいろなものを吸い込んでいます。「中はトイレより汚い」とまで言われることもある場所です。
そもそも、あの独特のニオイはどこから来るのでしょう。じつは、出たばかりの汗そのものはほとんど無臭です。ニオイの正体は、汗や皮脂を皮膚の常在菌が分解してできる“ニオイ物質”。内装は汗をたっぷり吸い込むうえ乾きにくく、湿気がこもって菌が繁殖しやすいのです。これが、かぶるたびにニオイが気になってくる仕組みです。
実際、海外にはこんな研究があります。ネパールのトリブバン大学などの研究グループが、バイク用ヘルメット130個の内部を調査し、専門誌『International Journal of Microbiology』(2020年)に報告したところ、もっとも多く検出された細菌は黄色ブドウ球菌でした。さらに、大腸菌なども確認され、使用年数が長いヘルメットや、洗浄・消毒をしていないヘルメットでは、細菌が検出される割合が高い傾向にあったといいます。
なお、調査対象の130個には、複数人で共用されていたヘルメット96個が含まれています。一方、共用されていなかった34個のうち21個からも細菌が検出されました。「トイレより汚い」と直接比較した研究ではありませんが、普段使っているヘルメットにも、気づかないうちに菌が付着している可能性があるということです。
では、どのくらいの頻度で洗えばよいのでしょうか。相神氏によると、必ずしも決まった頻度で洗う必要はなく、使用状況や汚れの程度に応じて判断すればよいとのこと。例えば、汗ばむ季節や毎日使用する人は、汗やニオイが気になったタイミングがひとつの目安になります。
また、長く使って内装の傷みが気になる場合は、洗濯だけでなく内装そのものを交換するのもひとつの方法です。神経質になりすぎず、状態に応じて適切にお手入れすることが大切です。
洗う前に確認したいのが、自分のヘルメットが「内装を外せるモデル」か「外せないモデル」か。ここで手入れの仕方が分かれます。取扱説明書で確かめておきましょう。
内装の洗い方

内装が外せるモデルは、取り外せるパッドを外して手洗いするのがおすすめです。水またはぬるま湯に中性タイプの洗濯用洗剤を少量溶かし、ゴシゴシこすらず、やさしく“押し洗い”します。チークパッド、センターパッドと、外した順を覚えておくと、元に戻すときに迷いません。なお、肌にやさしいのでシャンプーやボディソープを使って洗う方法がよく知られていますが、これらの使用については、相神氏は次のように説明します。
相神氏「シャンプーやボディソープで洗っても、ヘルメット内装を傷めることはありません。おすすめはしませんが、素材を侵すものではない、という意味です。ただ、洗ったあとは必ず水でよくすすいでください」


内装によっては、洗濯機で洗えるものもあります。その場合は洗濯ネットに入れ、「弱」や「手洗い」など、素材への負担が少ないコースを選びます。パッド本体に発泡スチロールなどが使われている製品では、カバーのみを取り外して洗うこともできますが、相神氏によればアライではカバー単体では補修部品を販売していないため、カバーを傷めないようにバラさず洗濯機で洗う方法をおすすめしたいとのこと。内装の種類によって洗濯方法が異なるため、必ず取扱説明書を確認しましょう。


ジェットヘルメットの一部など、内装が外せないモデルでも、アライではヘルメット本体を丸洗いできる製品があります。大きなたらいや浴槽などに中性洗剤を少量溶かした水を用意し、やさしく洗います。その後、十分にすすぎ、タオルなどで水気を取り除いてから、風通しのよい日陰でしっかり乾燥させます。ただし、丸洗いの可否やお手入れ方法はメーカー・モデルによって異なるため、事前に取扱説明書を確認しましょう。

帽体の外側は、水拭きが基本です。溶剤はNG。特にシールドはポリカーボネートなどの素材が使われており、溶剤によって素材が侵され、割れることがあります。溶剤がダクトのすき間に入り込むと、内部のライナーを傷める原因にもなってしまいます。汚れがひどいときは、適切に薄めた中性洗剤を柔らかい布に含ませて汚れを落とし、最後に水拭きで仕上げます。

あごひものお手入れも忘れずに。軽い汚れであれば、水で濡らしたタオルなどで拭き取ります。また、ヘルメット本体を丸洗いする場合は、あごひもも一緒に洗うことができます。ただし、毛羽立ちを防ぐため、強くこすらないようにしましょう。
ちなみに、汚れると安全性まで落ちるのか。この点について、アライの答えははっきりしていました。
相神氏「洗わないことで安全性能が落ちることはありません。皮脂で内部のライナー(衝撃を吸収する発泡素材)が侵されることはないのです。ニオイが気になって運転に集中できない、というレベルなら話は別ですが」
乾かし方と、絶対NG集
そして、相神氏が「ここだけは明確にダメ」と繰り返したのが熱です。じつは洗い方そのものは、それほど神経質にならなくていい。でも、乾かし方を間違えるとヘルメットを傷めます。
特に注意したいのが、衣類乾燥機などによる高温乾燥です。アライでは、50℃以上の熱が加わるとヘルメット内部の衝撃吸収ライナーが変形・変質し、本来の保護性能が損なわれるおそれがあると注意を促しています。実際、レース現場のヘルメットサービスでも、選手が乾燥機にかけて内装の発泡部分を縮ませてしまった例があったそうです。冬のストーブの前や真夏の車内も、同じ理由で危険です。乾燥とはまた異なりますが、ヘルメットを夏の車内に置きっぱなしにするのは避けましょう。

とはいえ、一般のライダーが乾燥時の温度を正確に測るのは難しいものです。そのため、もっとも確実なのは自然乾燥。風通しのよい日陰で、時間をかけて乾かすことが基本になります。
相神氏「温度計で測りながら乾かす人はいませんよね。だから答えはシンプルで、自然乾燥。風通しのいい日陰で乾かすのがいちばんです」
ドライヤーの熱風を当て続けることも避けたいところです。洗い方だけでなく、「高温を避け、風通しのよい日陰でしっかり乾かす」ことが大切だと相神氏は強調します。
内装は厚みがあって乾きにくく、生乾きのまま使うとカビやニオイのもとにもなります。焦らず、内側までしっかり乾かしましょう。

ヘルメットの内装は、神経質に「洗わなきゃ」と気負う必要はありません。汚れが気になったら適切にお手入れし、洗ったあとは熱を加えず、風通しのよい日陰でしっかり乾かすことが大切です。また、内装が取り外せるかどうかや、丸洗いできるかどうかはモデルによって異なります。まずは取扱説明書を確認し、正しい方法でお手入れしましょう。大切な相棒を清潔に保ち、これからも気持ちよくバイクライフを楽しんでください。

















