下道ツーリングのすすめ

毎日の通勤にスクーターを使っているけれど、休日に遠出したことはない。そんな方も意外と多いのではないでしょうか。実は、いつも乗っているそのバイクでも、少し足を延ばせば十分にツーリングを楽しめます。今回目指すのは、遠く離れた観光地ではなく、自宅や職場から“ちょっと足を延ばす”距離。大がかりな準備や豊富な経験がなくても始めやすいのが、近場の下道ツーリングです。いつものバイクで、初めての遠出に出かけてみませんか。

いつものバイクで「近場さんぽツーリング」

毎日の通勤に125ccスクーターを使ったり、新基準原付で近所へ買い物に出かけたり。そんな「生活の足」としてのバイクも、休日にはそのままツーリングの相棒になります。高速道路を使わない近場の下道ツーリングなら、走る道は普段の生活圏の少し先。大がかりな旅程を組まなくても、「気になっていたけれど行ったことがない場所」をいくつかつなぐだけで、小さな旅が始まります。

なお、今回使用するホンダ・Dio110 Liteは「新基準原付」に該当します。そのため交通ルールは従来の原付一種と同じで、最高速度30km/hや二段階右折などのルールが適用されます。

今回、下道ツーリングを楽しむのは、所沢・新所沢駅周辺に住む2人です。バイクは普段、ほぼ通勤専用。休日の外出はもっぱら電車です。そんな2人がある週末、「たまにはいつもと違う一日を過ごしたい」と目を向けたのが、普段の通勤で使っているバイクでした。電車なら都内や所沢駅周辺には出かけやすい一方、少し離れた三芳方面にはなかなか足が向きません。そこで今回は、「近いのに行ったことがない場所」を、いつものバイクで巡ってみることにしました。

多福寺

最初に向かったのは、三芳町上富にある多福寺です。バイクを降りて参道を歩くと、木々に囲まれた静けさに包まれます。

江戸時代の三富新田開拓とともに建てられたと伝わる古刹で、山門をくぐった先には堂々とした本堂が佇んでいました。境内には県指定文化財の銅鐘をはじめ歴史を感じさせるものがあちこちに残っていて、「思っていたよりずっと立派だね」と声が漏れます。春はしだれ桜、秋は紅葉と、季節ごとに違う表情を見せてくれる場所でもあり、2人は「早速また来たい場所が増えた」と話します。

いも街道 / OIMO café

多福寺を後にして次に向かったのは、「いも街道」です。三芳・川越周辺はさつまいもが有名で、街道沿いにはさつまいもの直売所やカフェが並びます。この通りは、走っているだけでさつまいもの甘い香りが漂ってきそうな雰囲気。ちょうどお昼時だったので、街道沿いにある「OIMO café」でランチとします。

テラス席でおいもベーグルと大学芋を頬張りながらひと休み。

本当は冷やし焼き芋も気になっていたのですが、この日はあいにく焼き芋メニューへの切り替え時期でお休み中。「秋からは焼き芋シーズンだから、またその頃に来たい」と、次の楽しみを見つけながら店を後にしました。

所沢航空記念公園

お腹を満たした後は、日本初の飛行場跡地に整備された所沢航空記念公園へ。

バイクを停めて周辺を歩くと、目に飛び込んできたのが、航空公園駅前に展示されている輸送機C-46Aです。間近で見ると、その大きさに思わず足が止まります。芝生広場や並木道をゆっくり歩きながら、「所沢に住んでいる友達がいるのに、この公園まで来たのは初めてで新鮮」と、意外な発見に笑い合いました。

電車では目的地になりにくい場所にも、バイクなら気軽に立ち寄れる。そんな身軽さも、近場の下道ツーリングならではです。

角川武蔵野ミュージアム

公園を出て次に向かったのは、ところざわサクラタウン内にある角川武蔵野ミュージアムです。近づくにつれて見えてくるのは、隈研吾氏が設計を手がけた、巨大な岩をモチーフにした61面体という不規則な外観。「あれ何だろう」と目を奪われるほどの存在感です。

館内には、約2万冊の書籍に囲まれた高さ約8メートルの「本棚劇場」をはじめ、「マンガ・ラノベ図書館」や「エディットタウン」など、本をさまざまな角度から楽しめる空間が広がっています。中でも「本棚劇場」は圧巻。巨大な本棚へのプロジェクションマッピングも行われ、思わず時間を忘れて見入ってしまいます。

すぐ隣には、同じく隈研吾氏が設計を手がけた武蔵野坐令和神社もあり、あわせて参拝することもできました。サクラタウン内には物販店や飲食店も並んでいて、ちょっと立ち寄って買い物を楽しむのにもぴったりです。バイク用の無料駐車場も15台分用意されているため、「バイクで来られてよかった!」と、あらためてその身軽さを実感しました。

ららぽーと富士見

角川武蔵野ミュージアムをじっくり楽しんだあとは、ららぽーと富士見へ。いわゆる観光スポットではないですが、普段住んでいる場所からは電車やバスだと少し遠く感じて、2人にとってはなかなか足が向かなかった場所。しかし、バイクなら30分ほどで到着しました。「こんなに近かったんだ」と驚きながら、駐輪場にバイクを停めて最後の買い物タイム。夕方の少し涼しくなった空気を感じながら、この日のツーリングを締めくくりました。

「近場さんぽツーリング」データ

PCX125Dio110 Lite
走行距離22km22km
所要時間(走行のみ) 1時間 1時間
給油量0.73L0.28L
燃費(今回の給油量から算出)30km/L78km/L
燃料費118円45円

ちなみに…徒歩・自転車だとどうなる?

同じようなルートを、徒歩や自転車で移動した場合とも比べてみました。移動時間だけを見ると自転車でも十分に巡れる距離ですが、複数のスポットを行き来したり、途中で気になる場所へ寄り道したりするとなると、バイクの身軽さが効いてきます。徒歩では移動だけでも4時間以上かかるルートを、バイクなら約1時間で走ることができました。

バイク自転車徒歩
距離22km23km18km
所要時間1時間1時間30分4時間15分

今回走ったのは約22km。決して「大ツーリング」と呼ぶような距離ではありません。それでも、普段は通勤や買い物にしか使っていなかったバイクで、いつもの生活圏を少し飛び出してみるだけで、一日の過ごし方は大きく変わります。

下道ツーリングのいいところは、最初から遠くを目指す必要がないことです。まずは10km、20km先の気になっていた場所へ。慣れてきたら季節を変えて同じ道を走ったり、もう少し先まで足を延ばしたりする。そんな経験を重ねるうちに、バイクで出かけること自体が休日の楽しみになっていくかもしれません。

次の休日は、いつもの通勤ルートを少しだけ通り越してみませんか。

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