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ツーリング中の“もしも”に備える、バイクのトラブル対処法
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トラブルが起きたとき、どうすればいいのだろう……。ツーリングを楽しみながらも、そんな不安が頭をよぎることはあるかもしれません。見知らぬ土地でバイクが動かなくなったら、パンクしてしまったら、ガス欠になったら。そんなトラブルに備えるためにも、事前の準備と正しい知識を持つことが大事です。この記事では、ツーリング中に起こりやすいトラブルとその予防策、現場でできる対処法を一般社団法人日本自動車連盟(以下、JAF)へのインタビューをもとにまとめました。
JAFロードサービス出動理由TOP10
まずはデータで実態を把握しましょう。JAFが集計した2025年度の二輪車ロードサービス出動理由(一般道路+高速道路合計)によると、バッテリー関連だけで全体の約30%を占めています。一般道では「バッテリー上がり」が1位、高速道路では「燃料切れ(ガス欠)」が1位となっており、それぞれの走行シーンでリスクが異なることもわかります。
| 順位 | 故障内容 | 件数 | 構成比 |
| 1位 | バッテリー上がり(過放電) | 20,648件 | 21.5% |
| 2位 | タイヤのパンク・バースト・エアー圧不足 | 13,411件 | 14.0% |
| 3位 | バッテリー破損/劣化 | 8,099件 | 8.4% |
| 4位 | 事故(転倒含む) | 4,959件 | 5.2% |
| 5位 | キー閉じ込み | 3,673件 | 3.8% |
| 6位 | 燃料切れ(ガス欠) | 3,003件 | 3.1% |
| 7位 | 発電機/充電回路の故障 | 1,989件 | 2.1% |
| 8位 | ハンドルロック・キー作動機構 | 1,423件 | 1.5% |
| 9位 | クラッチ機構(ロッド・ワイヤー含む) | 1,096件 | 1.1% |
| 10位 | キャブレター機構 | 1,006件 | 1.1% |
| 合計 | (総件数) | 96,032件 | 100% |
JAFに聞く、トラブル別対処法
実際にトラブルが起きたとき、どう対処すればいいのか。そして、そもそも起こさないためには何ができるのか。ロードサービスの最前線に立つJAFの担当者に、トラブルごとの予防策と対処法を聞きました。
バッテリー上がり

出動理由で圧倒的トップを占めるのがバッテリートラブルです。乗る頻度が少ないライダーほど要注意で、日頃の小さな習慣が大きな差を生みます。
事前にできること(予防策)
(JAF 桑島氏)
二輪車の利用状況として、週末や長期休暇時などに乗車されるライダーの方々もいらっしゃると思いますが、毎日エンジンをかけないという状況がバッテリー上がりの原因の一つになります。バッテリーは長期間放置すると少しずつ放電されます。バイクのバッテリーはエンジンがかかっている時に充電される仕組みなので、放置するとどうしてもバッテリー上がりが起きてしまいます。予防策としては、定期的にエンジンをかけることを習慣化するのが大切です。1~2週間に一度、難しい場合は月に一度でも乗る機会を作るなど、自分なりのルールを決めて管理してみてください。また、冬場は気温が低いとスターターに流す電気がより多く必要になるため、バッテリーが上がりやすくなります。楽しいツーリングの時間を削らないためにも、出発前に販売店や量販店などでこまめに点検していただくことをお勧めします。
なお、最近はリチウムイオンバッテリーなど自己放電が少ないとされる製品も出ていますので、選択肢として検討するのも回避策のひとつです。
トラブルが起きたとき
(JAF 桑島氏)
装備(ブースターケーブルなど)を持っていれば自力で対処できる場合もありますが、バイクはバッテリーへのアクセス方法が車種によって異なります。シート下にあるものもあれば、スポーツタイプだとカウルを外さないとバッテリーの位置までたどり着けないものもあり、慣れていないと作業が30分以上かかることもあります。特に自分で整備をしないライダーだと、そもそもバッテリーがどこにあるか探すところから始まるので、現場での自力対応はかなりハードルが高くなります。この場合は無理はせず、JAFを呼んでいただくのが一番確実で安全です。
タイヤのパンク・バースト・空気圧不足

出動理由の第2位を占めるタイヤトラブル。パンクはいつ起きるか予測しにくいからこそ、出発前の点検ともしもの時の対処法を知っておくことが大切です。
事前にできること(予防策)
(JAF 菅原氏)
出発前にできることは、指定の空気圧の点検と、タイヤの残り溝の確認です。ロングツーリングの前には、ひび割れがないか、釘などが刺さっていないかといった外観のコンディションチェックもおすすめします。空気圧の低下は見た目では判断しづらいです。乗り心地に変化が出る頃には、かなり空気圧が減っている状態ですので、それを感じる前に、空気圧を把握しておくことが大事です。エアポンプは充電式で持ち運べるものもありますし、ガソリンスタンドに設置されている場合もありますので、定期的に確認しておきましょう。
トラブルが起きたとき
(JAF 菅原氏)
まず、走行中に異変を感じたら、ゆっくり安全な場所に移動して止まること。これが第一です。チューブレスであれば市販の修理キットで応急処置ができる場合がありますが、チューブタイヤの場合はホイールからタイヤを外して中のチューブを直さなければいけないため、現場での修理は極めて困難です。その場合は搬送(レッカー)対応になります。なお、JAFのロードサービスでは、チューブレスタイヤの「後輪」のみ現場での応急修理(外面修理)に対応しています。修理材を外から打ち込む方法ですね。一方、「前輪」は応急修理後に再びエアーが抜けた場合、ハンドル操作が効かなくなり非常に危険なため、JAFでは応急修理は行わず、基本的に牽引・搬送での対応となります。
事故・転倒

転倒は、JAFのデータでは出動理由の第4位(構成比5.2%)に該当し、交差点での右直事故(直進バイクと右折車の衝突)や走行中のスリップをはじめ、低速でのUターンや駐車場内での取り回し中など、日常的なシーンにもリスクは潜んでいます。
事前にできること(予防策)
転倒時のダメージを最小限に抑えるために、まず装備面では、予備のクラッチレバーをツールバッグに忍ばせておくことで、万が一レバーが折れてしまっても現場で交換できる場合があります。また、オフロードバイクの装備として使用されているハンドガードやレバーガード、可倒式レバーの装着も効果的です。
ライダー自身を守る装備も忘れずに。ヘルメットやグローブの装着はもちろん、プロテクターやブーツを着用することで、転倒時のケガを大幅に軽減できます。なお、最近ではエアバッグが備わったプロテクターなども発売されており、ライダーを守るための装備は進化しています。
もし走行に不安を感じている場合、そのままにせず、教習所での練習会などを活用して練習することで、いざという時のとっさの対応力が上がります。
トラブルが起きたとき
(JAF 菅原氏)
転倒された場合、特に大型のバイクですと車重もかなり重いですし、転倒した時にどこかしらケガをしているケースがあります。「起こしたくても起こせない」という状況で救援要請を受けて作業させていただくことも多いです。やはりバイクは趣向性の高い乗り物になりますので、屋根のあるガレージに保管されている方も結構多くいらっしゃいます。そのガレージも、すごく広ければ取り回しも普通の駐車場と問題なく同じようにできると思いますが、コンパクトなバイク専用のガレージとなると、通常の駐車場での取り回しと違って、人間の立つ位置も制限されて取り回しづらくなり、ちょっとバランスを崩してしまうということもあります。
路上であれば、まずは自身の安全確保、避難です。後続車の危険もあるので、路肩など安全な場所に避難してください。また、キャブレター仕様車の場合、二次的な被害が出ないよう、燃料コックをオフにして、燃料漏れによる二次被害を防いでください。
引き起こし方として、左側に倒れている場合は、左手でハンドル、右手で後方のタンデムグリップや車体を掴める位置を持ちます。ハンドルは起こす方向へ切ります。左側に倒れている場合は、右いっぱいに切った状態にします。そして膝と腰を車体にしっかり密着させたまま一気に起こします。体が車体から離れると力が伝わらないので、密着させることがバイクを起こすためのポイントです。
右側に倒れている場合は、まず先にサイドスタンドを出しておきます。そうすることで、起こした勢いでそのまま左側へ倒れてしまうのを防ぐことができます。手の持ち位置は後方のタンデムグリップとハンドルを掴むか両手でハンドルを持ち、一気に引き起こします。
走行直後はマフラーやエンジンが熱く、火傷の恐れがあるため、必ずグローブをした状態で作業してください。重たいバイクの場合や転倒時にケガをされている場合、無理をせずJAFを呼んでください。
走行再開の判断としては、バイクの免許を取る時に習う「ネン・オ・シャ・チ・エ・ブ・ト・ク・バ・シ・メ」の合言葉を思い出し、日常点検と同じで、各部が正常かどうかをもう一度しっかり見てください。エンジンケースやラジエーターからオイル・冷却水が漏れていないか、ブレーキ・クラッチレバーが折れていないか、灯火類が正常に機能するかなど、これらに問題があれば無理せずJAFのロードサービスをご要請ください。
燃料切れ(ガス欠)

一般道でもガソリンスタンドの少ない田舎道でも起こりえますが、高速道路上で特に多い二輪車トラブルが、燃料切れ(ガス欠)です。特にスピードを出している状況の中でのトラブルは、心理的にも焦りやすくなります。事前の予防策と対処方法を把握しておくことで、事故のリスクを減らすことが重要になります。
事前にできること(予防策)
(JAF 栗原氏)
2025年度のJAFロードサービス出動理由データでは、高速道路での二輪車救援のうち、燃料切れが占める割合は約18.26%で1位となっています。一般道と比べると、高速道路での発生率が圧倒的に高いです。高速道路では自力での移動が危険なうえ、次のSA・PAまで距離がある場合もあり、事前の満タン給油が何より大切です。燃料計がついていると残量を確認できますが、昔の車両では燃料計がないバイクも多いです。その場合、事前にどれくらいガソリンが残っているかというのを、目視で確認して、走行速度や距離から給油タイミングを計算し、逃さないようにするということが大事です。燃料計がないことの多いキャブレター車の場合は、燃料コックのON/RESの位置や切り替え方法を事前に確認しておきましょう。ツーリング中は、天候が変わったり、渋滞に巻き込まれたり、予定していたガソリンスタンドが閉まっていたなど、イレギュラーなことも出てきますので、「こまめに、早めに」という意識を持つことが大切です。
トラブルが起きたとき
(JAF 桑島氏)
ガス欠するときは、急にストンと止まるわけではなく、徐々に減速していきます。また、その直前からちょっとエンジンが吹けなくなるという初期症状が出ます。ガス欠が起きてしまった場合は、まずできるだけ安全な場所、路上ですとガードレールや路肩に移動してください。特にガードレールがある場合は、ガードレールの外側に移動することが身を守るために大切です。また、燃料コックがあるバイクであれば、メイン側の燃料がなくなっても、リザーブに切り替えることで少し走れる場合があります。スクーターにはあまり搭載されていませんが、ご自身のバイクの仕様を確認しておくと、もしもの時に役に立ちます。
なお、JAFでは、高速の場合基本的に2名もしくは2台で出動します。作業時の危険性が非常に高いので、1名は後方警戒という形で、発炎筒、矢印板、三角板などを用いて安全対策を実施して作業を行っております。
トラブルを未然に防ぐ!出発前チェックリスト
どれだけ気をつけていても、トラブルをゼロにすることは難しいですが、出発前のひと手間で防げるものは確かにあります。JAFのデータで件数が多かったバッテリーとタイヤを中心に、ツーリング前に確認しておきたい項目をまとめました。出かける前の習慣にしてみてください。
| チェック項目 | 確認ポイント | 確認 |
| タイヤ空気圧・溝の深さ | 指定空気圧・溝深さ1.6mm以上 | □ |
| バッテリー状態 | 電圧低下・端子腐食なし | □ |
| エンジンオイル | 適正量・劣化なし | □ |
| 灯火類 | 全灯確認(ヘッド・ウィンカー・ブレーキ) | □ |
| チェーン | 張り・注油 | □ |
| ガソリン残量 | 余裕を持って給油(高速道路前は必ず満タン) | □ |
| スマホ・充電器 | フル充電+モバイルバッテリー携帯 | □ |
| パンク修理キット | チューブレス車は携帯を推奨 | □ |
| スペアキー | 財布・自宅など、メインキーとは別の場所に保管 | □ |
無理はせず、ロードサービスを頼ること
どれだけ準備を整えていても、思わぬトラブルが起きることはあります。今回のインタビューを通して、JAFの担当者の方々が繰り返し語っていたのは「無理をしないこと」、そして「万が一の時は必ずサポートするJAFという存在がいる」という思いでした。

(JAF 桑島氏)
ライダーの方とお話しすると、「JAFは二輪のロードサービスもやっていたんだ」という声を多くいただきます。実はJAFのロードサービスは、二輪車・三輪車を含むバイク全般が対象です。また、JAFは「車」ではなく「人」にかかるサービスです。会員であれば、複数台のバイクをお持ちの方も、車とバイクを両方お持ちの方も、どの車両でのトラブルでも対象になります。また、作業の品質にもこだわっていて、大切なバイクをなるべく傷つけない・汚さないよう細心の注意を払うのはもちろん、従来の車積載車や多目的車に加え、日本初となるレッカー車のサービスカーに装着できる「二輪アタッチメント」という専用機材も導入しています。モーターサイクルショーでも展示したこの機材により、安全かつ丁寧にバイクを搬送することができます。ツーリングは楽しいものですが、事前の計画と準備、そして無理をしないことが大切です。万が一の時はJAFがしっかりサポートしますので、安心して走りに行っていただきたいです。
ツーリング中のトラブルは、事前の点検と備えで多くを防ぐことができます。しかし、バッテリー上がりやパンク、転倒、ガス欠などは、どれだけ気をつけていても起こり得るものです。
大切なのは、異変を感じた時に無理をしないこと。安全な場所へ避難し、状況を確認したうえで、自力対応が難しいと判断したら早めにロードサービスを頼りましょう。準備と冷静な判断が、ツーリング中の“もしも”を大きな事故にしないための第一歩です。

















