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【現在日本一周中】日本全国靴磨きバイクの旅を続ける伊藤由里絵さんをインタビュー!

元警察官であり、現在は靴磨き職人でありファッションモデルという異色の経歴を持つ伊藤由里絵さん(以下、いとさん)。警察官を志望した理由は白バイ隊員の活躍を目にしたことが理由とあって、もちろん彼女は現役のバイク乗りでもあります。

2022年6月1日、バイクに靴磨き道具一式を満載して、いとさんの長年の夢であった“バイクで靴磨き日本一周の旅”がスタートしました。白バイ隊員になるための試験にも受かったライディングの腕前とはいえ、この旅では初めて足を踏み入れる土地ばかり。

靴磨き職人の武者修行として日本一周の旅に出発してから3ヶ月が経ち、現在もなお旅を続けているいとさんにコンタクトし、旅中での出会いや発見、不安などについてオンラインで取材させていただきました。

9月までの旅は順調だったのでしょうか。そして今現在はどこにいるのでしょうか

日本全国 靴磨きバイクの旅!警官・モデルと異色の経歴を持つ靴磨き職人【伊藤由里絵さん】

 

初日の靴磨き依頼は1件…しかし一ヶ月で300件超え!

靴磨き日本一周の旅のスタートは、北海道旭川市にある大型ショッピングモール内の靴屋さんから始まりました。もちろん店舗やモール内の敷地を間借りするために事前申請をし、告知万全、気合十分で挑んだ初日でしたが、残念ながら一人しか来店がありませんでした。

一日の売上が一人分では、この先も旅が続けられるか少々不安に思ったそうですが、その店舗のスタッフのように溶け込んでしまったことが原因と分析、翌日から店の前を行き交うお客さん対して積極的に声をかけ、もっと気付いてもらおう、知ってもらおうと、声かけの言葉やポップなどを都度変更しました。すると、初日とは打って変わって往来するお客さんが注目してくれるようになったといいます。

いとさんが店を出す場所は屋内外どちらのケースもあり、時には観光目的で立ち寄った山の中で靴磨きの看板を見た方から急遽依頼を受け、その場で靴磨きをしたこともありました。

行き交う人たちに向けて「バイクで靴磨き日本一周しています!痛んでしまったりキレイにしたい靴や皮製品はありますか?」と勇気を出して積極的に話しかけることで少しずつ自信が付き、大きく成長を実感できた瞬間でした。

こうして、予約者を含めインスタグラムのフォロワーさんや通りすがりに立ち寄ってくれる方など、徐々に人も注文も集まってくるようになり、気が付けば北海道・東北の旅を終えるころには、300件あまりの靴磨きをこなしていました。

 

バイクで広がる出会い・笑顔・知らない世界

バイクで靴磨き日本一周の旅を続けるなかで、いとさんがまず嬉しいと感じた点は、バイクをきっかけに会話がひろがることだと言います。

今まで、いとさんにとってバイクは観光や買い物のための移動具でしかありませんでしたが、バイクの上で靴磨きをすることで、初対面の方とでもすぐに打ち解けることができるのだといいます。

バイクは好きだけど靴磨きは未経験というお客さんはこの機会に靴磨きや皮製品の手入れに興味をもっていただき、これまでバイクに無関心だった方はバイクにも興味を持つきっかけとなり、コミュニケーションが広がっているといいます。

日本では靴磨きという仕事はあまり認知されていないため、普通に“靴磨きで日本一周をしている”という触れ込みだけでは、おそらく多くの人の関心を集めることは無かったでしょう。しかし、相棒であるバイクと一緒に旅をすることで、バイクを見た皆さんが靴磨きを考えるきっかけになると気づき、これが最も嬉しいことだと話してくれました。

 

いとさん一家はみんなサプライズが好き

いとさんの家族はかなりのサプライズ好きで、出発早々驚かされたことがありました。

スタート地点となる北海道には祖母の家もあるため、まず関東にある実家を出てから北海道にある祖母の家を目指しました。涙ながらに実家を送り出され、祖母の家にやっと到着したと思ったら、なんと見送ってくれた家族が飛行機で先回りして、祖母の家でいとさんの到着をまっていたそうです。あっという間の再会でした。

そんなこともあって、いとさん自身もいつかサプライズしようと思いながら旅を進め、秋田県から山形県へ移動するタイミングで、ついでに実家まで突然帰宅してみたといいます。

思い立って行動に移したのが夜の8時過ぎだったので、実家に着いたのは深夜2時過ぎ。秋田にいるはずの娘の声が玄関先から聞こえてきたときは、もともと色白なこともあって娘が幽霊になって立っているのではないかと腰をぬかすほどのサプライズだったそうです。

 

父がくれた白地図で離れていてもつながる思い

いとさんの父親は普段は寡黙(かもく)ですが、出発前夜に1枚の白地図をプレゼントしてくれたといいます。「気づいたことや思い出でも何でも好きなように書き綴ってごらん。後から素敵な思い出になると思うよ」と言って手渡された白地図は、旅のルートや走っていて楽しかった道、美味しかった食べ物などを書き込んでいるそうです。

旅に出て離れてわかる親子の絆、離れていてもお互いを想う気持ち、そんなことも旅に出ることで改めて感じたのでした。

 

靴磨きバイクで日本一周の旅はこれからも続く

旅に出る前のいとさんは、元々バイクを操ることは好きだったものの、ツーリングで遠出するといってもせいぜい往復100キロ前後と、長距離走行の経験が少なく不安だったといいます。しかし、いざ旅が始まってみると、今まで見たことのない素晴らしい景色と出会う度に走ることがどんどん好きになり、気づいたら「ここから2時間の距離なんて近い」と思えるほどにタフになってきました。知らない土地を走ることは、こんなにも楽しいものなのかと気づかせてくれたのもバイクのおかげだといいます。

時には、県を跨いだ長距離移動で、日程上どうしても雨天や炎天下でも移動しなければいけないときもあります。そんな時は、さすがに体力を奪われてしまうのですが、道中で靴磨き一周の看板を見たドライバーさんが「インスタフォローしたよ!頑張って!」などと声をかけてくれることもあり、時間にしたらほんの数秒の出来事ですが、それまでの疲れが嘘のように吹き飛んで、前進する元気をもらえているようです。

 

ここでひとつ、靴磨きだけではなく、レザーケア依頼の実例についても尋ねてみました。

レザーサドルバックの表面にノンアルコールビールをこぼしてしまったお客さんがいました。見て判るほどのシミになっていて「こんな状態のモノはさすがにダメですよね?」と申し訳なさそうに持ち込んできたとのことですが、「全然大丈夫ですよ!綺麗になります!」と依頼を快く受けたといいます。このサドルバッグは、いとさんの手によって見事しなやかで綺麗な色合いへと復活させ、依頼主もとても喜んでくれたとのことでした。

他にも、牛乳のシミがついてしまったバッグや、表面のこすれが目立つブーツなど、ほとんどその場でメンテナンスを施し、綺麗な皮の状態に復活させて納品すると「もう捨てようと思っていたのに、綺麗になって本当に良かった」と感激されるそう。こうしたお客さんの声もまた嬉しい瞬間であり、なにより靴に限らず、特にライダーにとっては革製品を長く愛用するきっかけが作れたことも嬉しい気持ちになると笑顔で語ってくれました。

なお、いとさんのインスタグラムでは革製品のビフォアアフターの画像がたくさん載っていますので、もしも今、そのような革製品を復活させたいと考えている方は、一度インスタグラムのアカウントを覗いてみてください。

 

最後に、いとさんからメッセージをいただきました。

自分でもインスタグラムのDMにいただいたメッセージを見て元気をもらう毎日です。

これからは日本海沿いに中国地方、九州地方、四国、関西、中部、関東と、まだまだゴールまでは長い道のりです。靴磨きイベントの開催場所は、自分で一件ずつ交渉していますが、もし開催場所のご希望がありましたら、今からでもぜひ連絡頂けると嬉しいです。

いとさんとバイクによる日本一周の旅は、まだまだ前半戦。これから冬を迎え、猛暑とは違った過酷な旅が予想されます。これからも靴磨きの素晴らしさと共にバイクの魅力についても同時に伝えるいとさんの活動から、今後も目が離せません。

自分の町にいとさんが来ることがあれば、ぜひ直接応援に出向いてみてはいかがでしょうか。

いと|靴磨きしながら日本一周(@itto_shoes) [Instagram]

https://www.instagram.com/itto_shoes/

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