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日本全国 靴磨きバイクの旅!警官・モデルと異色の経歴を持つ靴磨き職人【伊藤由里絵さん】

4年間警察官として従事し白バイ検定に合格、現在はシューシャイナー(以下、靴磨き職人)兼ファッションモデルとして活躍するライダー伊藤由里絵さん(以下、いとさん)。

今回は、そんな異色の経歴を持ついとさんに、靴磨き職人になるまでの経緯やこれからの目標についてインタビューしました。

6月からはバイクで「日本全国靴磨きの旅」に出発するとのことで、これからバイクに乗ろうと思っている方や、バイクをきっかけとして一歩前に踏み出したい方の背中を押す記事となれば幸いです。

 

当時の夢は白バイ隊員一択!

親兄弟ともに自衛官という厳格な家庭で育ったいとさん。小学生の頃に見たファッション誌の影響でモデルという華やかな仕事に夢見るも、家族は大反対。いつしか自分の夢を抑え込むようになったまま高校卒業まで過ごしたとのこと。そんなとき、ふとテレビで見た女性白バイ隊員の活躍する姿に一目惚れし、それからいとさんのは白バイ隊員一択となりました。

高校在学中の時点で将来の夢が明確だったため、普通二輪免許を取得したのは高校卒業前の18歳、大型二輪免許はそのわずか3ヶ月後に取得していることから、いとさんの高い行動力と意志の強さを垣間見ることができます。

そして当時、家族や友人知人でバイクに乗る人が誰一人としていないなか、いつか自分が白バイに跨る姿を想像しながら、迷わず警察官を目指し警察学校へと入学しました。

 

白バイ隊員になるための修了試験にも見事合格

いとさんの白バイ隊員への熱意は並々ならぬものがあり、警察学校に入学してからも猛烈アピールを続け「白バイ隊員志願の由里絵さん」として顔や名前も覚えてられるほどでした。

そんな積極的な性格の彼女なので、警察学校卒業後に晴れて警察官となった後は、交番での勤務もしっかりと努め、約1年半という短い期間で白バイ訓練に参加することができたとのことでした。

特に運動が得意であったり体力やバイクの運転技術に自信があったわけでもない彼女にとって訓練はとても過酷であり、重量300㎏近い白バイの操作に悪戦苦闘した3ヶ月でしたが、それでも修了試験を一発合格。

 

通信指令課への異動

難関である白バイ検定の2級獲得後は、通信指令課(110番の受理・無線を使って迅速かつ的確に通信指令する課)に抜擢。いとさんは通信指令課でも優秀な成績をおさめており、通信指令の的確さを競う全国大会に出るほどの腕前だったというのだから驚きです。

 

夢を諦めない意志は次のステップへ

通信指令課に配属されてから2年近く経ったある日、胸の奥にしまい込んでいたファッションモデルになりたいという夢が再浮上したといいます。

厳格な家庭だったがゆえに将来の選択肢から除外していたファッションモデルへの憧れが日に日に強くなり、思いの丈を上司に相談。上司や同僚は驚きつつも夢への挑戦を後押ししてくれたそう。退職前に所属事務所のオーディションを受けることを勧めてくれ、応援されながら彼女の次のステージがスタートしました。

せっかく就いた警察官を辞めると聞いた家族は非常に驚き、父親からは怒鳴られたこともあったそうですが「夢にフタをして挑戦もせずに諦めてはいつか必ず後悔する」そう考えたいとさんは、夢は決して諦めないという強い意志で次なるステップへと進みました。

 

ファッションモデルでありながら靴磨き職人

規律の厳しい警察官として支給された制服や靴の管理をするなかで、靴や身だしなみをお手入れすることが自身の仕事のパフォーマンスに直結していることに気づき「人の靴を磨くことで喜んでくれる人は沢山いるのではないか」とモデルとして活動する傍ら靴磨きの世界に踏み込み、路上での靴磨きからデビューしました。

夢を諦めない強い意志と研究熱心な性格によって、現在すでにいとさんの靴磨きにおける技術は高い評価を受けており、全国の大手百貨店からの引き合いも多いとのこと。

 

実際の作業風景

なお、いとさんの靴磨きのスタイルは、より多くの人に靴磨きを楽しんでもらいたいという思いから、昔ながらの駅前の路上で足を出してもらって磨くスタイルではなく、対面で椅子に座り会話を楽しみながら靴が綺麗になる過程も見せるというパフォーマンス要素も加わったスタイルです。靴を買った時の思い出や普段どのように磨いているか、自宅でもできる靴磨きのアドバイスを交えてお話しながら磨くことで、お客様お客様は自身の靴により愛着が湧くようになってくれるそうです。

 

靴磨きの際に使用する道具の数は非常に多く、革の材質や色などによってブラシ(画像左)やクリーム(画像右)を使い分けており、特殊な革色の場合はクリームを調色することも多いとのこと。

 

革製品のビフォー・アフター

 

靴磨き文化の普及を目指して「日本全国 靴磨きバイクの旅」がスタート

このお気に入りのバイクがキッチンカーのように、そのまま移動式の靴磨きブースになるようなカスタマイズも思案中という

「靴磨きによって靴が綺麗になる感動を伝えたい。ひいては、日本に靴磨きの文化をもっと定着させたい」と語るいとさん。

現在の営業スタイルだと靴磨きの場所を構えてお客様を待つスタイル。これだと1足の靴磨きに要する時間は通常約1時間かかり、1日8時間稼働であれば8足分しか磨くことができません。これでは本来の目的である、靴磨きの文化を定着させたいという思いから逸れてしまいます。そこで、一人でも多くの人の靴を磨きたいと思い考え出されたのが、バイクで日本全国に出向いて靴磨きの素晴らしさを伝える「日本全国 靴磨きバイクの旅」です。

いとさんの行動力は凄まじく、すでに靴磨きバイクの旅で最初に訪れる予定の北海道は開催地での予約が全て埋まっており、同時に進められたクラウドファンディングでも旅の資金が集まったとのこと。

 

警察官としての職務や白バイ訓練、ファッションモデルとして磨かれた美意識やセンス、靴磨き職人としてモノ(靴)を大切にする気持ち。全く繋がらないように思えるいとさんの経歴も、全ては「日本全国 靴磨きバイクの旅」を通してさらに成長するための布石であったかのように思える人生。いとさんは、夢を追いかけるすべての人に勇気を与えてくれる、そんな魅力溢れるライダーでした。

2022年6月1日から北海道を皮切りにスタートするいとさんの靴磨き文化を全国に伝える「日本全国 靴磨きバイクの旅」。道中や開催地で見かけた際には是非応援しましょう!

 

開催予定は以下でご覧いただけます。

いとの靴磨き屋さん[Instagram]

https://www.instagram.com/itto_shoes/

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