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郵便配達に導入された1万台を超える電動バイクの現在を追う!

日本郵便株式会社は、2019年度よりホンダ製の電動バイク「BENLY e:」を導入し、郵便配達業務を開始しました。

当初は東京都内の郵便局39局へ計200台が配備されましたが、その後も全国の郵便局へ導入が進められ、2024年3月末には約16,000台(予定)と全郵便配達二輪車両の2割近くにまで達する予定です。

※2020年1月から3月で200台導入

東京都だけではなく、全国各地で見かけるようになった郵便配達用電動バイクですが、ハードな使用が想定される郵便配達業務において、実際に乗務している郵便局員に感想を伺いました。

使い勝手も環境性能も電動バイクに軍配

今回、編集部が取材に伺ったのは東京都新宿区にある新宿北郵便局。

新宿北郵便局では現在、郵便配達業務用バイクが約70台稼働しており、そのうち約40台がすでに電動バイクに切り替わっているそうです。

新宿北郵便局 3班班長 吉田 哲さん(左)、4班副班長 長野 洋和さん(右)

現役で郵便配達業務に従事されている3班 班長の吉田 哲さん(以下、吉田さん)と、4班 副班長の長野 洋和(以下、長野さん)に、お話を伺いました。

吉田さんはバイク乗務歴14年、長野さんは10年といずれもベテランです。

一日の業務の流れは、午前中に配達業務を行い、一旦局へ戻って休憩、その間にバッテリー(以下、B/T)を充電して、午後も配達業務を遂行するのが通常のパターン。

走行距離は、一日35~40kmになるといいますが、休憩時間中の1時間弱で30~40%充電されるのでB/T残量が半分以下になることもなく、一日の業務を通して全く支障のないレベルとのこと。

B/Tは約10㎏と重量感があるものの、B/T充電器が駐車スペースのすぐ横に設置されているため、慣れてしまえば特に気にならないとのことでした。また、充電器は電動バイク一台につき二個のB/Tを使用するため二基ずつ用意されており、戻ってきたときに充電器が使えないということにならぬよう配慮されています。

さらに、何といっても電動バイクは排気ガスを排出しないため、駐車スペースが屋内にある郵便局で働く郵便局員たちの快適性向上にも寄与しているとのことでした。

走行性能で実感する電動バイクの良さとは?

エンジンバイクから電動バイクに切り替わった際に、車両重量が重いため、押し歩き時に重量感を覚えたそうです。ところが、オートマチック(シフト操作不要)であるため、発進と停止を繰り返す郵便配達業務においては運転が容易になったといいます。また、電動モーター特有の太いトルクによって、発進時はもちろん巡行速度に達するまでが非常に安定していて、業務に使用し始めてからすぐに電動バイクの印象が変わったそうです。

さらにEVならではの低重心が功を奏する場面もあります。郵便配達業務の開始直後は、前後に郵便物が満載 (原付一種は前後30kgまで、原付二種は前後60kgまで)のため、従来のバイクではサイドスタンド側に倒れそうになることもあったそうですが、B/Tを低い位置にレイアウトした電動バイクは、走行時だけではなく停車時も低重心設計で安定しており、車両転倒の心配も減ったといいます。

発進から巡行速度に達するまでの安定感に加え、低重心が功を奏しUターン時の不安も減ったといいます

なお、郵便配達業務に携わる長野さんが特に評価されていたのは、乗降の容易さです。

従来のバイクよりもシート高が少し低いので、乗降しやすく足つき性も良くなったといいます。また、サイドスタンドの位置も改善されているため出し入れがしやすく、一日に100回以上サイドスタンドの上げ下げと乗降を繰り返す際の負担が軽減されているとのことでした。

毎日乗務してわかったメリットとは?

電動バイクを使い始めてから実感しているメリットについて、吉田さんに尋ねました。

従来のバイクは、郵便配達の局員も給油時に一般のユーザーと同様ガソリンスタンドで行う必要がありました。しかし、電動バイクになってからは、給油の待ち時間も支払い(法人クレジットカード)の手間も無くなった点は、工数だけではなく時間的な意味で非常に大きな改善です。また、走行中の振動が減ったほか走行音も非常に静粛になったため、一日を通して業務終了時の疲労蓄積がずいぶん軽くなったと感じています。

局員のなかには年配の方もいますが、こうしたメリットから、彼らは電動バイクでの配達を希望されていますね。

地域住民など周囲からの反応についても吉田さんにお伺いしました。

現在乗務している電動バイクは、時速20キロ以下では擬似的な走行音が出る仕様になっていますが、それでも非常に静粛性が高いため、気を使う場面もあります。

例えば、道幅の狭い道路を走行中に前方を歩行者が歩いていた場合、歩行者に気付いてもらえるように、後続車両がいないことをしっかりと確認したうえでウィンカーの「カチッカチッ」という音を意図的に出すこともあります。

しかし、エンジンバイクは停車中のアイドリング音でさえも住宅街などでは「エンジンを切って欲しい」と言われることもありましたが、電動バイクに変わってからは、もちろんそのようなことはなくなりましたね。

一日に100回以上も乗降、サイドスタンドの出し入れ、配達を繰り返し、とても作業工数の多い郵便配達業務をこなしている郵便局員。だからこそ、安定した走行性能で振動も少なく、停車時も安定し、ガソリンスタンドでの給油も不要となる、つまり、仕事の効率アップだけではなく疲労軽減まで期待できる電動バイクが、いかに重宝されているかを理解することができました。

優れた静粛性や安定性は、配達車両だけではなく今後増加していくであろう電動バイクにも共通するポイントであり、利用者の快適性や安心性につながる期待を感じました。

日本郵便株式会社

https://www.post.japanpost.jp

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