ツーリングキャンペーンが静岡・浜松にもたらした影響やいかに?浜松市に聞いた
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2024年9月27日(金)に宮崎県宮崎市にて「第12回 BIKE LOVE FORUM[バイクラブフォーラム] in 南国みやざき」(以下、BLF)が開催されます。その開催に際して、これまでBLFやその関連イベント「ツーリングキャンペーン」を実施した開催地では、どのような効果やライダーとの結びつきが生まれたのでしょうか。2023年にBLFを開催した静岡県浜松市で運営に携わった浜松市産業部 産業振興課の鈴木一視さんに、BLFとツーリングキャンペーンがもたらした効果についてお話を伺いました。
鈴木一視
浜松市産業部産業振興課
副主幹
地域産業・市場創出グループ長
1978年、静岡県浜松市生まれ。 大学卒業後、バイクに乗る機会が多い民間企業等に勤務し、2014年4月に浜松市役所へ入庁。農業水産課で9年間、浜松市産農林水産物・食品の海外輸出やブランディング、「浜松市農業振興ビジョン」の策定などに取り組む。2023年4月より産業振興課にてバイクを含む地域産業振興支援事業や海外ビジネス展開支援事業に取り組んでいる。
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浜松でBLFの開催が決定した背景
2013年に発足したBLFは、経済産業省をはじめ二輪車関連業界団体やバイク産業に力を入れる自治体が中心となって開催されるイベントです。その目的は「世界に通用する素晴らしいバイク文化の創造を目指すとともにバイク産業の振興や、バイク市場の発展を図ること」にあります。毎年開催場所を変え、上記の主催団体の他に一般参加者を交えて、真面目に議論を繰り広げ、そして催しを大いに楽しみました。まさに地域を挙げてのバイクイベントなのです。
2023年は静岡県と浜松市が開催自治体となり、フォーラムは浜松市で開催されました。その浜松市とバイクの関係について、鈴木さんにお聞きしました。
「浜松市とバイク産業の歴史は太平洋戦争後から始まりました。浜松市出身で本田技研工業株式会社の創業者・本田宗一郎氏が、ここ浜松に本田技術研究所を設立し、日本初の原動機付自転車や、さまざまなバイクを生み出していきました。これに影響され、浜松市内には最盛期で30社以上のバイクメーカーがあったほどです。その後もスズキ株式会社やヤマハ発動機株式会社といった、今や世界に名だたるバイクメーカーがこの浜松市で誕生しました。そうした背景があって、浜松市は『バイクのふるさと』と呼ばれるようになったのです」
そんな浜松市でBLFが開催されたのは今回が2回目で、2014年の第2回BLFから9年ぶりの開催でした。前回開催のノウハウもあり、無事に開催することができたそうですが、それでも準備時期がコロナ禍と重なったこともあり、困ったこともあったということです。
「2022年4月頃から準備を始めたのですが、コロナ禍ということから打ち合わせは基本的にオンラインでした。対面での打ち合わせなら伝えやすい細かなニュアンスがなかなか伝わりにくかったり、コミュニケーションの取り方で苦労したりしました。
そうした苦労もありましたが、BLFに携わる各団体の想いを汲みながら、BLFにふさわしい会場の選定や二輪車専用駐車場の用意など関係各所と調整して準備をしたのは、今では良い思い出です。
BLF開催期間中は、浜松市役所の公用車駐車場をイベント来場者用の二輪車専用駐車場として解放し、大勢のライダーに駐車スペースを提供しました」
経済産業省や二輪車関連業界団体からのサポートやアドバイスもあり、さまざまな苦労を乗り越えて開催に漕ぎ着けられたと鈴木さんは話します。
ツーリングプランを実施しての所感
BLFの開催に伴い、静岡県では「静岡をバイクで巡るツーリングキャンペーン」を行いました。静岡県内の観光地や飲食店、道の駅などのおすすめや定番スポットから、チェックポイントとして合計30箇所を設定。スマートフォンを使ったスタンプラリー形式で周遊するキャンペーンで、浜松市内には県内自治体で最多となる7ヶ所のチェックポイントが設けられました。
「浜松市は海、山、川、そして湖と自然豊かな環境に恵まれています。また、沿岸部、都市部、中山間地域と多様性を有する「国土縮図型都市」の都市です。そのため、浜松市内だけでツーリングを満喫できる最適なロケーションを有しています。今回のキャンペーンでも、ライダーの皆さんに満足いただけるツーリングの機会を提供できたと考えています。
チェックポイントとしてご協力いただいた施設にお話を伺ったところ、普段なら通り過ぎるライダーにも立ち寄ってもらうきっかけ作りになり、キャンペーンに協力して良かったという感想をいただきました。ツーリングキャンペーンは、多くのライダーに浜松市の良さを知ってもらう機会になったと考えています」
BLF、そしてツーリングキャンペーンで浜松市への興味を持ってもらえた機を逃すことなく、SNSでの情報発信を強化、そこから継続的にツーリングに来てもらえる流れを作りたいと話す鈴木さん。そして、浜松のバイクへの取り組みとして忘れてはいけないのが、『バイクのふるさと浜松』です。2003年から浜松市が開催する歴史あるイベントで、2024年は10月12日(土)・13日(日)の2日間、浜松オートレース場で開催されます。
「毎年、1万人を超える来場者をお迎えしている『バイクのふるさと浜松』は、ライダーはもちろん、家族連れなどバイクに乗っていない方であっても楽しめる企画をご用意しています。
ここ浜松は、関東や関西、中部などの大都市圏からも足を運びやすく交通の便の良さが魅力で、絶好のツーリングコースになっています。今年の『バイクのふるさと浜松2024』でも、十分な数の二輪車専用駐車場を用意していますので、ライダーの皆さんには、ツーリングの目的地としてぜひお越しいただきたいです」
ツーリングキャンペーンを振り返って
BLF、そしてツーリングキャンペーンを実施して浜松市にどのような効果があったのでしょうか。鈴木さんは「周辺自治体との連携が深まりました」と言います。
「静岡県内のさまざまな自治体と連携して実施したツーリングキャンペーンのおかげで、ひとつの目標に向かって手を取り合う活動を体験できたことが大きかったです。浜松市は、『バイクのふるさと浜松』を主軸に、今後もバイク産業の振興につながる取り組みを続けていきたいと考えています。ツーリングキャンペーンのように他の自治体や国内二輪車メーカーなどと連携することも出てくるでしょう。今回の経験を活かして、もっとライダーに喜んでもらえるような取り組みができればと考えています」
BLFやツーリングキャンペーン、そして参加されたライダーの方々による人流が、バイク文化や産業のプレゼンス向上と地域活性化に寄与できたというのはこの上ない喜びです。
「浜松市はBLFを構成する主催団体のひとつですので、国や自治体、二輪車関連業界団体と連携しながら、今後も地方からバイク産業の振興や文化の発信に寄与していきたいと考えています」
という鈴木さんの嬉しい言葉もいただけました。
全国各地にバイク文化を息づかせたい
BLF、そしてツーリングキャンペーンが開催自治体にどんな効果をもたらしたのか、開催から間もないホットな声をお届けできた今回の記事。今年2024年の開催地は宮崎で、宮崎を中心に九州にはバイクで楽しく走れるスポットが数多く存在します。浜松と同様に宮崎でも、そして今後開催する地にもバイク文化や地域産業を活性化させるキッカケを生み出せればと思います。これからのBLFが果たす役割にご期待ください。