バイクの未来を考える「バイク・ラブ・フォーラム(BLF)」って知ってる?
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バイクの未来を創造し発展を目指す取り組み「バイク・ラブ・フォーラム」をご存知でしょうか?
「バイク・ラブ・フォーラム(以下、BLF)」とは、世界に通用する素晴らしいバイク文化の創造を目指すとともにバイク産業の振興や、バイク市場の発展を図ることを目的とし、経済産業省、バイクに関わる企業や団体、地方自治体などが中心となり、ユーザーも交えて、社会におけるバイクへの認知と受容、共存のあり方や、バイクの将来像等に関して真摯に議論し活動する取り組みとして2013年にスタートし、以降毎年場所を変えながら開催されています。
“フォーラム”というだけあって、少し取っ付きにくい印象を抱かれるかもしれませんが、実際には、パネルディスカッションの他、ローカルイベントなども行われ、非常に有意義です。今回はその中でもバイク関連団体の取り組みについて内容を噛み砕いてご紹介いたします。
2018年からバイク免許取得者数増加の好機!しかし不安材料も…
日本での普通二輪免許取得者数は毎年減少傾向にありましたが、2018年から増加に転じています。さらに、大型二輪免許についても、普通二輪免許同様に10代を除く全ての年代で取得者数が増加傾向にあります。
しかし、運転せずとも目的地まで運んでくれる電車やバス、飛行機などとは異なり、バイクの場合は走り出す前から全ての責任が”ライダー=乗り手”に委ねられる乗り物です。
また、バイク免許取得は一つの通過点にすぎず、特に初めてバイクを購入したライダーの悩みや不安は尽きる事がありません。
そんな様々な悩みの中で、個人の力やいち企業の力をもってしても解決し得ない”大きな悩み・課題”に、経済産業省、バイク関連企業や団体、地方自治体などが官民一体となって問題と向き合い議論するフォーラム、それがBLFなのです。
もちろん議論するだけではなく、策定されたロードマップに沿って各関連団体が課題解決に向けて取り組み、毎年進捗報告を行いながら推進しています。
例えば、数年前まで海外輸出向けモデルは基準の問題により日本で乗る事が出来ませんでした。しかし、様々なバイクに関する基準を世界で調和していく努力によって、最近では殆ど海外と同じモデルが日本でも乗れるようになりました。
また、身近な問題では、少しずつ繁華街や大型商業施設などにバイクの専用駐車場も増えてきました。
さらに、一昔前までは原付二種(125㏄)のAT小型限定普通二輪免許取得までにかかる日数が最短でも3日かかっていましたが、今では最短2日で取得できるように規制が緩和されました。
このように既存のライダーやこれからバイクに乗ろうと思っている方にとっての環境改善が、BLFで定めた業界の取り組み結果として着実に実を結んでいるのです。
BLFで注目すべきポイントは”ロードマップ”!
先でも少し触れた通り、BLFで議論するテーマの根底には、「二輪車産業政策ロードマップ」という業界全体で見据える大きな計画があります。
なお、ロードマップとは、プロジェクトなどを成功に導くための未来予想図のようなもので、目標達成に向けた計画のことです。
前回の「二輪車産業政策ロードマップ」は2020年度末の姿を目標に策定されましたので、今年のBLFでは結果の総括、そして新たなロードマップが発表されるという非常に重要な年となっています。
なお、2014年のロードマップでは、基本といえる安全・安心な二輪車利用環境の醸成や、社会との共生をはじめ、ライダーにとっては最も気になる駐車場や高速料金、保険等の整備、そして若者の関心を喚起する傍ら、何代も世代を超えてバイクの楽しさを伝えていけるような環境作り、そして、国際的なバイクの基準調和、知的財産保護や世界的なバイク事故の削減などが盛り込まれていました。
2021年からの”新ロードマップ”の具体的な内容については次の記事で触れることにしますが、このロードマップによって、日本の主力産業のひとつでもあるバイク産業の政策(方向性)が打ち出されるため、業界関係者だけではなく、あらゆる方が知っておいて損のない内容と言っても過言ではありません。
日本の産業において非常に前衛的な取り組み
バイクに関わる企業や団体、経済産業省、地方自治体などが一丸となって、二輪車業界として「こうあるべき」という目標を掲げ、自らが設定した目標に向けて、毎年進捗を開示しながらミッションを進めていくというこの取り組みは、他業界に例のない前衛的な取り組みです。
これから二輪車産業に関心をお持ちの学生さんにとって、二輪車業界の未来を垣間見る有益な情報が得られるほか、経済関連の情報を取捨選択しながら収集するビズパーソンの方々にとっても、大いに経済的な価値があるのではないでしょうか。
どうする?どうなる?二輪車業界
一般的に、一人あたりの名目GDP(国内総生産)が1,000ドルを超えると”バイク社会化(バイクによるモータリゼーション)”がはじまり、3,000ドルを超えると、”クルマ社会化”を迎えるといわれており、新興国の経済成長に伴ってバイクから始まりクルマへと遷移するモータリゼーションが起こります。
新興国の成長期において、まずはバイクで”ジャパンブランド”を経験し、信頼が醸成されることによって、クルマ社会になったとしても信頼度の高いジャパンブランドのクルマを選んでくれる可能性が高くなります。つまり、二輪車産業は日本の主力輸出産業である自動車産業の国際競争力を後押しできる可能性を秘めています。
また、二輪車輸出産業としては、すでに世界で50%以上のシェアを占めているものの、さらなる国際競争力アップのために、やはり国内におけるバイク市場活性化にも注力していかなければいけません。そのため、社会的な存在感を向上するためにも、国や地方自治体、関連団体と一丸となって下地を作るBLFは、大切な取り組みなのです。
バイク専用駐車場の問題やカーボンニュートラルに向けた取り組み、バイクレンタルや、来たる”バイクシェア”の可能性といったように、2014年のロードマップ策定時から現在までで、バイクを取り巻く環境も大きく変わりました。
さらに最近では、渋滞や災害などの有事において、走破性に優れたバイクの有用性も再び見直されています。そんな様々な環境変化に対して、今後どういった利用環境改善のための取り組みが策定されるのか、非常に楽しみですね。
今年のBLFはオンライン配信
2021年のBLFは、11月22日(月)15時からオンラインで開催される予定となっています。
この記事を読んでBLFに興味を持った方は、事前にオフィシャルサイトをご覧いただくことで一層理解が深まることでしょう。