2019年は新型コロナウィルス感染防止の観点から開催中止を余儀なくされ、昨年もオンライン開催となったBIKE LOVE FORUM[バイク・ラブ・フォーラム](以下、BLF) ※ですが、第10回となる今年は、ついにリアル開催として大分県日田市にて開催されました。

2018年のリアル開催地である第7回BLF＠山梨では、多くのパネリストを招いて「やまなしを楽しくセーフライディング」についてディスカッションが行われたほか、各バイクメーカーのデザイン担当者との「新世代[令和]これからのバイクデザイン」や、女性編集ライターやジャーナリストに一般ライダーも交えて「女性ライダーの活躍に期待」と、3つのパネルディスカッションが行われました。

また、オンライン開催となった第9回BLFでは「二輪車産業政策ロードマップ2030」(以下、ロードマップ2030)が発表され、これまでのロードマップから継続される課題に加え、環境変化を踏まえた新規課題として4つの政策課題と11項目の実施施策が設定されました。

ここ数年はバイク市場が活況であることから、より活発な議論が期待される今年の第10回BLFについて、要点を押さえてレポートいたします。
※BIKE LOVE FORUM(BLF)とは、世界に通⽤する素晴らしいバイク⽂化の創造を⽬指すとともにバイク産業の振興、 市場の発展等を図ることを⽬的とし、バイクに関わる企業・団体・地方公共団体等が核となり、利⽤者等も交え、 関係者間で社会におけるバイクへの認知と受容、共存のあり⽅や、バイクの将来像等に関して真摯に議論し活動する取り組みです。

プログラム1：バイクを活用した地域振興について

まず、はじめのプログラムとして開催自治体である大分県日田市から、水郷ひたキャンペーンレディの中田ケイト氏より日田市の魅力について、大分県西部振興局 地域創生部 部長の山口 満氏よりバイクを活用した地域振興について、ご紹介がありました。

日本有数の温泉県であり、アジアにおける宇宙ビジネスの中核拠点を担う大分県。そんな同県がライダーを惹きつける事例として、オートポリスにおける「体験走行」「二輪走行会」や、九重町の宝泉寺温泉や龍泉閣で取り組む「バイク詣で」についてのご紹介があり、全国のライダーに向けて大分県の魅力を発信していただきました。

また、今回のBLF開催を記念して8月26日(金)からスタートした「大分・阿蘇ツーリングキャンペーン」についての謝辞があったほか、大分県西部振興局独自の取り組みとして、ツーリングキャンペーンと連携した「フォトキャンペーン」についてのご紹介もありました。インスタグラムにハッシュタグ付きで投稿するだけで応募ができ、毎月抽選で特産品がプレゼントされるキャンペーンですので、大分・阿蘇ツーリングキャンペーンと合わせてお楽しみください。

プログラム2：由布市災害ボランティアバイク隊の活動にみるバイクの有用性と社会的認知向上

次のプログラムでは、大分県におけるバイク活用事例として、小野 精治氏より由布市災害ボランティアバイク隊の活動についてご紹介がありました。

由布市災害ボランティアバイク隊の災害時における活動は、被災情報収集、ボランティアニーズ収集、独居高齢者の安否確認、孤立集落調査、避難所等各拠点間の伝令など、バイクならではの機動性を活かした迅速な情報収集/伝達をはじめ、医療・消防・研究従事者の移送や物資輸送など多岐にわたります。そのため、日頃からバイクのメンテナンスや走行練習などにも真摯に取り組まれています。

災害ボランティアバイク隊の必要性のみならず、全国的なひろがりを訴える一方で、由布市災害ボランティアバイク隊においては、高齢化の課題に直面していることでした。

プログラム3：ロードマップ2030の取組状況

次のプログラムでは、昨年(2021年11月)にオンラインで開催されたBLFにて発表されたロードマップ2030についての取組状況について、BLF開催実行委員会 委員長の大森 洋平氏と、幹事長の川瀬 信昭氏より説明がありました。

大森 洋平氏からは、4つの政策と11項目の施策によって社会への責務を遂行しつつ2030年に向けて国内二輪市場の活性化を目指すロードマップ2030のゴールイメージについての説明がありました。なお、ロードマップ2030の各政策及び施策については以下の通りです。詳しくは過去記事をご覧ください。

<1>事故ゼロの推進

(1)安全運転啓発・教育、(2)安全装備普及拡大

<2>カーボンニュートラル達成への貢献

(3)カーボンニュートラル達成推進

<3>購入、利用環境の整備と社会、他モビリティとの共生

(4)役割・優位性 環境整備、(5)社会基盤の整備、(6)社会との共生、(7)利用拡大、(8)販売店信頼性向上、(9)安心な中古車市場

<4>快適性・楽しさ訴求

(10)魅力情報発信、(11)地方公共団体連携

二輪車産業政策ロードマップ2030要点チェック！カーボンニュートラル達成に向けた施策と推進について

二輪車産業政策ロードマップ2030要点チェック！カーボンニュートラル達成に向けた施策と推進について

次に、川瀬 信昭氏からは実際の取り組み状況についてご説明がありました。

国内二輪車市場における足元の動向としては、新車販売台数や新規二輪免許取得者数が増加傾向にあり、コロナ禍によって行動様式やレジャーの嗜好変化が見られ、バイクの利便性や有用性といった魅力について見直されつつあります。

そうした動向を踏まえ、BLF主催団体によるネットワークを活かしつつ、地方公共団体とも連携を図ることで、バイクの利点・魅力の訴求に努めるとしています。

なお、政策及び施策の具体的な進捗については、情報量が多いため後述する第10回BLFのYouTube動画アーカイブをご覧ください。

プログラム4：パネルディスカッション

最後のプログラムは「いまバイクが好調な理由、なぜ若者や女性に人気なのか」をテーマに、関係者と専門家によるパネルディスカッションが行われました。

昨今バイクに乗るきっかけにもなっているキャンプやファッションと合わせた視点の必要性や、若者によるレンタルバイクやバイクのサブスク活用など、二輪車市場における新たな局面がパネリストによって議論されました。

ポジティブな意見が目立つ一方で、中高年ライダーの胸部プロテクター装着率が芳しくないことから、安全意識向上につながるさらなる取組みの必要性を認識しました。

翌日オートポリスで開催された「大分・阿蘇ツーリングキャンペーン」の出発式も大盛況！

とりわけ一般参加のライダーが喜んでいたのは、同じく大分県日田市にあるオートポリスにてBLFの翌日に開催された「大分・阿蘇ツーリングキャンペーン」の出発式でした。

BLF開催を記念して行われる本キャンペーンは、スマホアプリ「Riders Square(ライダーススクエア)」をダウンロードのうえ、大分県内ならびに阿蘇地区を中心とした熊本県内をバイクでツーリングすることで、九州の魅力・バイクの魅力を体感しつつ、セーフティーツーリングで自然を楽しんでいただきたいというもの。

また、設定された30か所のポイントにチェックインし、ライダーススクエアから応募することで、抽選で豪華景品がプレゼントされます。

対象は原付一種以上のバイク・スクーターユーザーで、期間は11月30日(水)までとなっています。詳細は記事最下部にある公式サイトのリンクよりご確認ください。

さて、この記事が公開される9月には、ツーリングが快適な秋を迎えるころになります。

皆さんもキャンペーンや、各地におけるバイクにまつわる取り組みをご覧になって、この秋に少し足を延ばしてみてはいかがでしょうか？

第10回バイク・ラブ・フォーラムin大分・日田プログラム

●開会挨拶

清水 淳太郎氏(経済産業省 製造産業局 自動車課長)

吉田 一生氏(大分県副知事)

●[プログラム(1)] 開催自治体からのご案内

中田 ケイト氏(水郷ひた キャンペーンレディ)

山口 満氏 (大分県西部振興局 地域創生部 部長)

●[プログラム(2)] 大分県における二輪車活用事例

小野 精治氏 (由布市災害ボランティアバイク隊 広報)

●[プログラム(3)] 二輪車産業政策ロードマップ2030取組状況

大森 洋平氏（BLF開催実行委員会 委員長）

川瀬 信昭氏（BLF開催実行委員会 幹事長）

●[プログラム(4)] パネルディスカッション

岡田 彰氏(現代文化研究所 上席主任研究員)

大村 直幸氏(全国オートバイ協同組合連合会 会長)

埜邑 博道氏(二輪ジャーナリスト)

福田 博介氏(日本二輪車オークション協会 会長)

松原 弘氏(全国二輪車用品連合会 代表理事)

伴 千広(自工会 MOTOINFO 編集長)

●総評

安部 典明氏(日本自動車工業会 二輪車委員会 委員)

●翌年開催自治体による挨拶

山下 啓道氏(静岡県 経済産業部 商工業局 地域産業課 課長)

●閉会挨拶

大村 直幸氏(全国オートバイ協同組合連合会 会長)