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6年ぶりにバイクの新車販売台数が全カテゴリーで前年越え!その理由を探る

昨年11月に発表された「二輪車産業政策ロードマップ2030(以下、ロードマップ2030)」において、二輪車産業全体における大きな目標として”国内二輪市場を活性化”が掲げられています。

2021年も新型コロナウィルス蔓延の長期化に伴い、様々な制約があったにも関わらず、昨年の国内におけるバイク新車販売台数は6年ぶりに全カテゴリーで前年越えを達成し、まさに国内市場活性化のシナリオに向けて前進しています。

それでは、なぜ2021年は新車販売台数を40万台にまで回復する好調となったのでしょうか。国内4社の出荷台数や免許取得者数をもとに、追い風となる潮流を絡めて紐解いてみましょう。

 

原付一種が下げ止まり、全体で6年ぶりに40万台超え

軽二輪、小型二輪車の新車販売台数は全国軽自動車協会連合会より 原付一種、原付二種の出荷台数は国内4メーカー販売会社より

2021年に大幅増加した小型二輪カテゴリー(251cc以上)では、生産終了となるモデルがある一方で、海外生産でリーズナブルな価格帯のモデルが登場、またリバイバルモデルの継続的な需要や根強い人気を誇るアドベンチャーモデルなど、多様化したユーザーの価値観とマッチしたモデルによって、国内メーカー4社の国内販売台数が24%アップを記録しました。

また、もともとは通勤・通学ニーズの高い原付二種カテゴリーにおいても、旅やキャンプといった他の趣味と掛け合わせて楽しむユーザーをYouTubeやInstagramといったSNSでもよく見かけるようになりました。

さらに、AT小型限定普通二輪免許の最短取得日数が短縮されたことも寄与し、通勤・通学の3密を回避した移動手段としてバイクが大きく見直されたことも追い風となり、原付二種全体としても出荷台数が25%アップと大きく伸張しました。

結果として2015年から6年ぶりに41万台※を超える大躍進を続けています。
※軽二輪、小型二輪は販売台数、原付一種、原付二種は出荷台数

 

活況の背景には二輪免許取得者数の増加が

警察庁「運転免許統計 – 二輪運転免許試験合格者数」より

2020年から過去7年の二輪運転免許試験合格者数推移を見ると、2018年から原付を除く二輪運転免許試験の合格者が年々増加していることから、新たにバイク免許を取得するユーザーが増えていることがわかります。

さらに2021年になると、一部の教習所ではバイク教習の予約が取りにくくなるほどの活況という話も耳にするようになり、安全運転講習やライディングレッスンも予約が殺到する状況が続いています。

もちろんテレワークやオンライン授業の定着によって、ある程度時間に余裕が生まれたことも要因のひとつに挙げられますが、コロナ禍における特需などではなく、それ以前から着実にバイクが見直され始めていました。

では次に、なぜ二輪免許取得者数が増え始めたのかについて考察してみましょう。

 

市場活性化につながると考えられる3つの好材料

1:目的地を目指すスタイルから遊び方の幅が広がり、変化

市場活性化の好材料としては、前記の通りキャンプや釣り、カメラ、観光などといった親和性の高い趣味との組み合わせによって、以前までは多かった遠い未踏の地や温泉、グルメなどを目指す”目的型の用途”に変化がみられます。最近はむしろ道の駅に寄るため下道を選択したり、予測しない楽しい出会いがあったりと、目的地だけでなく旅の過程にも楽しさがあることに気付き、楽しむユーザーが増え始めたのです。

今まで電車の場合だと流れる景色を眺めるだけたったのが、気軽に自分のペースで立ち寄り、何かを発見する。バイクならではの楽しさなのです。

これを情報面で大きく助けているのが、YouTubeやInstagramといった個人による情報発信で、幅広い情報によってバイクへの興味や楽しさを増幅させています。

2:バイクに対して理解のある親(家族)

さらに、ひと昔まで「親(家族)の反対」は、バイク購入における最も大きなハードルのひとつでしたが、若年層ユーザーとの会話で「親が(以前)乗っていたので特に反対はされなかった」という話をよく聞くようになりました。ひとつの背景に、1990年〜2000年初めにあったストリートバイクムーブメントの頃に20~30代だったライダーたちが、現在は子を持つ親となり、バイクに対して寛容な方が増えたことも挙げられます。

あるメーカーでは「親子で販売店に来店するユーザーがこれからのターゲットだ」と明言しているように、バイクに理解のある親(家族)が増えたことも若年層ユーザー増加の一因となっているのかもしれません。

3:アウトドアブームとの相乗効果

最後に、ここ数年のアウトドアブームが、バイクにも良い影響を与えています。キャンプ好きライダーの意見では「バイクを買ったわけではない。キャンプ道具を揃えるように、遊び道具(ギア)を買っている。」と、自分が思い描いたアウトドアの楽しみ方を実現するためのギアとしてバイクに乗り初める方もいます。

それぞれが自分の周波数に合うものを見つけて楽しむのが昨今のユーザーの価値観なのでしょう。

 

二輪車市場の活性化を目指すロードマップ2030では、ロードマップ2020の継続課題に、環境変化を踏まえた新規課題を加え、「二輪車交通事故死者数ゼロ推進」「カーボンニュートラル達成への貢献」「購入・利用環境の整備」「快適・楽しさの訴求」という4つの政策課題と、それに紐づく11項目の実施施策を設定し、2030年までの課題達成に向けて確実に前進を続けています。

さて今年はどんな年になるのでしょうか。情報収集方法も楽しみ方も変わった今、バイク市場はどのような盛り上がりをみせるのか楽しみですね!

一般社団法人 全国軽自動車協会連合会「軽二輪、小型二輪車の新車販売台数の推移」

https://www.zenkeijikyo.or.jp/statistics

警察庁「運転免許統計」

https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/menkyo.html

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