2分で知る!全国オートバイ協同組合連合会とは?【バイクの利用環境改善に尽力】
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バイクの利用方法やライダーの要望は時代とともに変化しています。また、利用するライダーが増えることで、社会的にも注目されることとなります。時として事故などのネガティブな一面のみクローズアップされたり、あるいは利用者であるライダーの利便性に影響がでるような規制強化がなされたりする局面もありました。
そのようなとき、常にライダーやバイクに関する環境改善に向けて取り組んでいるのが、中小企業等協同組合法により政府の認可をうけた全国のバイク販売店組合の協同組合連合会である「全国オートバイ協同組合連合会(以下、AJ)」です。
これまで、AJの働きかけによってさまざまなライダーの環境改善がなされたケースも少なくありませんが、残念ながらその名を認知している方は多くありません。そこで今回は、AJ設立の経緯や活動内容について広く知っていただくべく、大村 直幸会長(以下、大村会長)にお話を伺いました。
きっかけはバイクの需要増加に伴う利用環境改善の要望
1980年代は廉価で手軽な原付一種(50cc以下)モデルが一大ブームとなり、自転車販売店や大手スーパーなど、多くの販売店で気軽に購入できたこともあって急激に販売台数が増えました。
しかし、市場に急激な変化が起こると、どこかに歪みが生じるものです。購入・配送・整備・納車に関わるユーザーと販売店のあいだ、また販売店と卸売業・製造メーカーのあいだで、改善すべきさまざまな課題が噴出しました。
バイク利用者にとってバイクは移動手段であり趣味材としても日常に溶け込んでいます。また、整備や点検、時には修理を要することもあるため、バイク利用者と販売店の関係はとても重要です。
そうしたバイク利用者に近い立場から、初めは有志として、その後に任意団体を経て法人化したのが、このAJでした。「当時は、あの“黄色い表紙の厚い電話帳”に二輪販売店の業種カテゴリーすらなかった」と大村会長は振り返りました。
現在注力する活動は「希望ナンバー」
2023年6月13日に公開された国土交通省の発表によると、「二輪車のナンバープレートの様式の見直し及び希望ナンバー制導入に係るワーキンググループ」が設置され、第1回ワーキンググループを2023年6月27日に開催したとのことです。
背景として、現行のバイクのナンバープレートに記載される番号や平仮名などの組み合わせが一部の地域で足りなくなってしまう可能性があり、ナンバープレート様式の見直しが必要となっています。また、様式の見直しに伴って番号や平仮名などの組み合わせが大幅に増える見込みであることから、バイクユーザーから要望のある希望ナンバー制の導入も検討するとのことでした。
この情報が公開される前日である6月12日に、日本自動車会館で開催された自民党オートバイ議員連盟の赤池誠章参議院議員による二輪車業界の明日を考える講演会でも同様の議題が上がっており、希望ナンバー制導入の案件で大村会長も実施に向けて各界への協力を求めていました。
地域密着で意見を拾い上げ大きなムーブメントにしていく
AJの会員となるバイク販売店は、北から南まで全国で約1,700店にのぼります。47都道府県のうち、すでに43都道府県に加盟販売店が存在しており、各地の組合による月一回程度の会合では、それぞれの地域の意見がまとめられ、現場の思いとして連合会の理事会は発言されます。その後、年に一度開催される総会で、今後の取り組むべき課題や活動提起について、総意がまとめられるそうです。
過去にはバイクの需要を活性化する様々な変革に寄与
先の通り、地域密着でバイク販売店またはユーザーの声を収集することで、ときには二輪車業界団体と協働で議員連盟に働きかけ、これまでも多くのバイク利用環境改善が実現しました。以下に、いくつかの実例をご紹介します。
1. 大型二輪免許が指定自動車教習所で取得可能に
“第一次バイクブーム”にあたる1975年に制定された「中型限定自動二輪免許(いわゆる中型免許)」。これによって401cc以上のバイクに乗るためには“限定解除”のステップが必要となり、運転免許試験場での実地試験のみが唯一の方法でした。1996年9月の免許制度改正によって、指定自動車教習所における大型二輪免許の教習によって大型二輪免許の取得が可能となり、大型自動二輪免許の保有者数が増加しました。
2. 高速道路におけるバイク最高速度制限の変更(時速80キロから時速100キロ)
2000年に、バイクと軽自動車の速度制限が時速80キロから時速100キロに引き上げられました。
3. 高速道路のバイク二人乗りが可能に
2005年4月1日から、高速道路におけるバイクの二人乗りが条件付きで可能となりました。条件は、「年齢20歳以上」かつ「自動二輪車の運転免許を受けた期間が3年以上」の場合に限ります。
4. バイクへのETC搭載実験、ETC車載器購入に対する助成金の復活
5. 2022年より、ETC搭載車限定で高速道路の乗り降り自由となる割引企画「ツーリングプラン」がスタート
「この利用環境改善もAJが関係していたのか!」という声が聞こえてきそうですが、つまりAJは、私たちライダーが望む声を代弁し、バイクを楽しむ利用環境改善に尽力してきた有力な業界関連団体の一つというわけです。
時代の変化とともにバイクに対する価値観も変化しています。また、これから先の十数年は、マルチパスウェイの考えのもと、カーボンニュートラル達成に向けた取り組みによって変革が求められます。そうしたさまざまな局面で生じる課題の解決に取り組み、バイクの利用環境改善に尽力し続けるAJの活動に大きな期待が寄せられます。
全国オートバイ協同組合連合会
国土交通省「二輪車ナンバープレートの様式見直し等の検討開始」
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha06_hh_000140.html
一般社団法人 日本自動車工業会「二輪車販売台数」
https://www.jama.or.jp/statistics/facts/two_wheeled/index.html