【2分で知る】世界の自動車部品産業を支える日本自動車部品工業会とは?
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いきなりですが問題です。バイク1台に対して使われる部品数はどのくらいでしょうか?
答えはなんと600〜1,500個。車種にもよりますが、こんなにも多くの部品が使われているのです。バイクが不具合なく安全・安心・快適に走行するためには、それを構成する部品一つひとつの品質が大切です。
今回はそんな自動車部品産業をさまざまな角度から支える団体「一般社団法人 日本自動車部品工業会」についてご紹介いたします。
一般社団法人日本自動車部品工業会とは?
一般社団法人 日本自動車部品工業会(以下、部工会)は、1969年8月に前身である自動車部品工業会(任意団体)をより公益性の高い社団法人として改組し発足した業界団体です。
主な事業内容は、自動車部品の生産・流通及び輸出入に関する調査や研究、各種統計調査資料の作成・刊行など多岐に渡ります。また、こうした製造に直接関わること以外にも、自動車部品産業の経営環境や、人事労務、安全衛生、交通安全の推進など、バイクを含めた自動車社会の健全な発展と、日本の経済・社会の発展に貢献するべく積極的な事業活動を展開しています。
「カーボンニュートラル」などの環境対策をはじめとした多方面の事業
近年、世界ではさまざまな気象災害が発生しており、今後日本においても、自然生態系、自然災害、産業・経済活動などへの影響が出ると言われています。そんな気候変動の原因とされている温室効果ガスですが、製造業においても無視できない存在です。こうした環境へのダメージを少しでも減らしていく活動がカーボンニュートラル(以下、CN)ですが、日本国内だけでなく、世界規模で取り組みが加速化してきているなか、同じく自動車部品業界においても、市場や供給先から求められています。
部工会は2020年10月に政府が表明した「2050年までにCNを目指し、脱炭素社会を実現する」等を受けて2022年4月に公表された「第9次環境自主行動計画(改定版)」内では数値目標として「2030年度CO2排出量を2013年度比にして46%の削減を目指す」と掲げました。これに伴い、部工会は対策事例を解説するセミナー及び勉強会を開催し、これまでに「やればすぐに効果が出る省エネ5事例を徹底解説!」など計8回実施しました。
同様に、CNにおけるCO2削減活動に際して、具体的にどのような活動をしていくべきか、その内容を発信し、会員各社を支援するツール「これで実践!CN活動リスト」を2023年3月に部工会の会員向けウェブサイトに公開し、7月にそのツールを効果的に活用するための“計画編”を、10月にその第2弾にあたる“実行・確認編”を徹底解説する勉強会を開催しました。
このように、部工会では積極的な情報発信と各種活動の推進および支援に取り組んでいます。
適正取引強化の取り組み
一方で、上記の環境対策のほかに、適正取引のさらなる強化を目指した取り組みも行っています。部工会は、2017年に適正取引における重点課題をまとめた「自主行動計画」を策定し、以後フォローアップ調査等により取組みを進化させています。同計画は「合理的な価格決定」「型取引の適正化」「下請代金支払の適正化」「知的財産・ノウハウの保護」「働き方改革に伴うしわ寄せ防止」の5項目から構成され、会員企業における取組みの指針となっています。
さらに、2022年からの原材料費・エネルギーなどの有事ともいえる価格高騰に対して、部工会自らが発注側として、価格転嫁への「能動的取組み」とそれを後押しする「社内の取組み」の「襟を正す活動」に取り組んでいます。
同会のHPには原材料、エネルギー等の価格転嫁促進ツールや転嫁事例を掲載し、企業の価格転嫁の促進を支援しています。
さらに、一般社団法人日本自動車工業会と定期的な協議の場を設けることで、継続した情報の共有や議論を重ねながら、自動車産業における適正取引の促進とサプライチェーン全体への理解の浸透を目指し、連携して活動を行っており、昨年9月には適正取引推進にむけた「自主行動計画」と「徹底プラン」策定について、共同メッセージを発表いたしました。
こうした取り組みは既に効果が現れており、政府による昨年9月の価格交渉促進月間フォローアップ調査では、「価格交渉状況」や「価格転嫁率」も前回3月の調査から改善されています。自動車産業のサプライチェーン全体で取引適性化を推進することは、我が国自動車産業の競争力強化にもつながります。自動車産業が自国の発展に寄与し続けるためにも、こうした取り組みはとても大切なのです。
自動車産業を支える縁の下の力持ち
バイクを含む自動車部品産業は、コロナ禍や半導体不足などの障壁を乗り越えて、それまでの勢いを取り戻しつつあります。しかしながら昨今の深刻な円安による原材料・エネルギーの価格高騰、世界各地で起きている紛争の影響などにより、まだまだ厳しい状況が続いるのも事実です。加えてEV化の波も押し寄せてきており、従来のままでは取り残されてしまう、まさに転換期と言える状況です。しかしながら、世界に誇る日本の高品質な自動車産業を支えていくためにも、部工会は今日も私たちライダーからは見えない、まさに縁の下の力持ちとして活躍しています。
みなさまが普段、安心してバイクライフを過ごせているのも、車両を構成する部品たち、そしてそれを製造するメーカーがあってこそ。小さなパーツ一つひとつにも、大きなストーリーがあります。だからこそバイクをはじめとした自動車に私たちは魅力を感じるのかもしれません。
部工会、バイク愛好家であれば是非とも知っておいていただきたい重要な業界団体の一つです。