2分でわかる!中古二輪自動車流通協会とは?
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バイクの新車販売台数は、1982年の329万台をピークにその後大きく落ち込み、近年では40万台前後を推移しています。一方で、バイクの保有台数は1986年の1,867万台をピークに、近年は1,500万台に落ち着いています。つまり、新車販売台数の伸び悩みとは裏腹に、登録済みのバイクは国内に現存し、ユーザーが所有している、または中古車流通市場に流れているということになります。
この中古車流通市場において、販売や買い取り方法、査定金額算出方法や販売価格・手数料の不透明性など、消費者を巻き込む問題が一部発生していることも事実です。
そんなバイクの中古車流通において公平性を保ち、ユーザーが安心してバイクを売買できるような環境作りに取り組んでいるのが、一般社団法人 中古二輪自動車流通協会(以下、UMDA)です。
UMDA設立の経緯
冒頭の通り、ユーザーが中古バイクを売買する際には、さまざまなリスクをはらんでいます。
例えば、買取時に査定金額算出方法が不透明であるが故に不当に減額される、購入時に提示された販売価格に上乗せして法外な手数料が加算されるなどといったトラブルがあげられます。また、今や当たり前となっているインターネットオークションやフリマアプリを介した取引におけるトラブルともなると、あげればキリがありません。
こうしたバイクの中古車市場において、2012年に特定商取引法改正による訪問購入の規制にバイクが含まれたことを受け、中古車流通における公平性、信頼性、安全性を担保すべく、バイクの流通に関わる査定検査、オークション、中古車売買に関する事業者を中心として2013年2月に設立されました。
中古バイクの流通環境整備を中心に広範囲で活動
では、UMDAはバイクの中古車流通における環境改善として、具体的にどういった取り組みをしているのでしょうか。その活動内容を知るため、UMDAの安斎明義さん(以下、安斎さん)にお話を伺いしました。
1:一般消費者向けに“走行距離確認サービス”の開示”提供
これは、バイク関連事業者に提供している“走行距離確認サービス”を、一般の消費者向けにUDMAが代行して確認するものです。中古バイクを購入したものの「走行距離があやしい?」「メーターが交換されているのではないか?」という心配などがある場合に、ユーザー自らが“走行距離確認サービス”を使って確認をすることができるサービスになっています。
また、走行距離に限らず、UDMAは消費者相談窓口を設置しており、UDMAのウェブサイトにあるお問い合わせフォームから気軽に問い合わせることも可能です。
環境省の発表した「令和3年度 リユース市場規模調査報告書」によると、クルマを除くリユース市場規模は約2兆4,169億円となっており、バイク・原付は約1,801億円、7.4%に過ぎません。
しかしながら、同調査書の商品別購入単価を見てみると、他に比べてバイク・原付は184,801円とダントツで高い単価となっています。中古といっても、商品単価が高額であるため、ユーザーが売買時に中古バイクの品質に対して神経質になるのも理解できます。
2:中古バイク売買に関する啓発活動
そのほかにもUMDAでは、消費者向けの啓発・PR活動をはじめ、中古バイク品質情報の“見える化”や品質基準の規定作成、ユーザー向けに品質情報の開示などを行っています。
3:バイクの利用環境や保有環境改善のための駐車場について
さらに、バイクの利用・保有環境の改善として、バイク専用駐車場の利用促進啓発や設置促進活動、バイク保管環境改善活動、駐車保管マナー啓発活動なども行っています。
2021年11月16日より、ユーザーが安心して中古バイク売買のできる販売店として、「中二協会員店」マークを作成・公開しました。中古バイクの購入や売却をご検討中のユーザー様におかれましては、安心マークの中二協会員店をご利用ください。なお、本件に関するお問い合わせは、UMDAのお問い合せフォームよりご連絡ください。
さらに、あんしん店宣言のポスターも作成いたしました。
このポスターが掲示されている店舗は、UMDAの会員店であり、法令順守などの自主チェックを実施されているお店です。
中古バイクの購入で、契約やコンディションに不安を感じるユーザーもいることから、各種法令やサービス内容の自主点検を販売店(事業者)に行ってもらうものです。
ユーザーの声として、契約内容や車両に関して細かく聞きづらい、わからないことが多くて不安、という声もありましたので、そうした面でもユーザーが質問しやすい環境づくりなどもできればと考えています。
今年からスタートした企画ですが、毎年決まった期間(10〜12月頃を検討中)に、点検という意味合いで定期的に再確認をしてもらうものとして運用します。
またUMDAとしては、ポスター下部の白い部分にある二輪車産業政策ロードマップ2030で掲げられた「安心な中古車市場の拡大」を、各会員店舗にもより深く理解して欲しいという思惑もあります。
中古バイクは意外にも認知に時間を要した市場だった
これまでUMDAとして活動されるなかで、どのような苦労があったのかについて、再度安斎さんにお尋ねしました。
UMDA設立時は、バイク市場の中でも特に中古車市場がマーケットとしてあまり認識されていませんでした。
クルマ市場の付属のような扱いとされており、中古バイク市場の存在とバイク流通の実情に即した活動の必要性を理解してもらうことから始めたため、UMDAの活動における認知や必要性が認識されるまで時間がかかりました。
最後に今後の取組みについても伺いました。
環境省の資料からも中古バイクは商品単価が高く、それゆえに昨今のインターネットを利用した売買の増加などで、トラブルが増加傾向にあります。また、中古バイク販売店の数は多く、UMDAや二輪業界団体に加盟していないバイクショップも多いため、団体による会員向けの活動では限界があると考え、消費者向けの啓発活動としてインターネットやSNSを活用した直接のアプローチに注力をしており、今後も継続していきたいと思っています。
インターネットサービスの普及によって、バイクの売買形態おいても目まぐるしい変化が起きています。そうしたなかで、おざなりになりがちなのが、ユーザーへの情報開示をはじめとする取引の透明性です。
新車、中古車に関わらず、公道を走る上で、ユーザーの安全確保は第一優先事項です。
なかなか前の所有者や利用履歴の情報が取りにくい中古バイクについて、売買される商品の品質や流通における情報提供、相談窓口、そして啓発活動など、欠かせない存在であり、いわば、私たち消費者の強い味方であることは間違いありません。
UMDAの活動が起点となり、バイクの中古車流通における公平性や、私たちユーザーが安心してバイクを売買できるような環境が保たれているのです。
UMDA、バイクファンであれば覚えておいていただきたい二輪業界団体のひとつです。