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【eやんOSAKA結果報告】バッテリー交換式電動バイクの有用性が示された!

2020年9月から始まったバッテリー交換式二輪EVの普及に向けた実証実験「eやんOSAKA」は2022年3月末をもって終了し、先日、大阪大学で報道関係者向けの説明会が行われました。

この説明会には、主催である一般社団法人 日本自動車工業会 二輪車委員会(以下、自工会)および大阪府、大阪大学、ローソンや、本年秋から電動バイク向けバッテリーシェアリングサービスを開始予定のGachaco(以下、ガチャコ)と実証実験の舞台となった大阪北部で同社サービスの利用を決定したALSOK、そしてガチャコの事業を電動⼆輪交換式バッテリー整備・運⽤モデル構築実証事業に採択した経済産業省が参加しました。

今回の発表では、eやんOSAKAの結果報告にとどまらず本実証実験のモデルを継承しサービスをすすめるガチャコからも事業展開についての説明がなされましたので、ポイントをかいつまんでご説明いたします。

 

「eやんOSAKA」実証実験結果の振り返り

自工会 二輪車委員会 電動二輪車普及部会資料より

四半期を一期とする第1期から第6期までの計18ヶ月で、大阪大学の学生や教職員を中心に130名のユーザーがバッテリー交換式電動バイクを利用し、大学構内や街中(ローソン店内)でのバッテリー交換体験を生活のなかに取り入れる実証実験が行われました。

詳しくは過去の記事をご覧ください。

「eやんOSAKA」実証実験の結果を振り返る

 

バッテリーステーションのおかげでガソリン車と変らぬ月平均走行距離

自工会 二輪車委員会 電動二輪車普及部会資料より

二輪市場動向調査(2021年)によると、〜50cc(原付一種)スクーターユーザーの月間平均走行距離は154kmで、使用頻度も週に4~5回利用するユーザーが多く占めていました。

これに対してeやんOSAKAの実証実験結果を見てみると、季節的な変動こそあるものの参加したユーザーの平均走行距離は毎月100〜300kmと、ガソリン車と変らぬ平均使用距離であることがわかります。

 

eやんOSAKAで使用された電動バイク

また、実証実験への参加をきっかけに初めてバイクへ乗ったというユーザーは54.6%と半数を超えていたにも関わらず、バイク走行への”慣れ”やバッテリーの交換方法、バッテリーステーション(場所)の把握など、さまざまな障壁を乗り越えて利用経験を積むことで走行距離が増加する傾向にあったことから、バッテリー交換式電動バイクの有用性がうかがえる結果となりました。

 

バッテリー交換サービスには約80%のユーザーが「満足」と回答

大阪大学大学院 報告会資料より

本実証実験に参加したユーザーへのアンケートによると、79.5%のユーザーがバッテリー交換サービスに「満足」と回答しており、バッテリーシェアリングの利便性について高く評価されました。

さらに、バイクというモビリティの魅力である「走ることの楽しさ」に気づいたユーザーも多く、静音性や快適性などといった電動バイク特有の評価に加えて、コロナ禍における新しい移動手段の可能性としてもポジティブな意見が多く見られました。

 

eやんOSAKAで使用された交換式バッテリー

大阪大学大学院の葉助教によると、大阪大学のある北摂エリアを中心としたコミュニティベースで実施した本実証実験では、新たなモビリティシステムとしての高いポテンシャルが確認できたとのこと。

また、電動バイクを用いた行動範囲の拡大へは、バッテリーステーションの拡充が肝要であり、電動バイクをさらに使いこなし、ライフスタイルへの変化を生じさせるには、遠出体験やルートなどに関する情報提供や、安全運転でバイクを楽しむといったポジティブな体験をすることが必要であることも示唆されました。

 

ガチャコは2022年秋よりバッテリーシェアリング事業を開始予定

Gachaco 説明資料より

さらに本説明会では、ENEOSホールディングスおよび国内二輪メーカー4社(ホンダ技研工業、カワサキモータース、スズキ、ヤマハ発動機)の共同出資によって設立された新会社「Gachaco(ガチャコ)」の会社概要と今後の事業展開について、渡辺一成CEOより説明がありました。

 

Gachaco 説明資料より

ガチャコは、国内二輪メーカー4社の共通仕様バッテリーを利用し、バッテリーシェアリングサービスとインフラ整備を手がける会社です。

ガチャコでは、「充電時間の⻑さ」「電池コストの⾼さ」「電池の劣化後の処理」といった電動モビリティ普及の課題を解決すべく、本実証実験で得た知見に加え、出資会社5社のアセットとノウハウを最大限活用するとのこと。

 

Gachaco 説明資料より

さらに、ガチャコの事業展開によって、ユーザーにはバッテリー購入の負担が減り、移動中の電欠リスクも低減します。

電動バイク普及の重要な鍵を握る交換式バッテリーの使いやすさが保証されるということは、大きな追い風となるでしょう。

 

今後は利用実態の分析によりバッテリー交換インフラの最適化

Gachaco 説明資料より

また、ガチャコは経済産業省の「電動二輪交換バッテリー整備・運用モデル構築実証事業」に採択されたことにより、2022年度秋~2023年2月末まで、東京・大阪でステーション運用最適モデル実証事業およびステーション整備運用事業が開始されます。

複数事業者が共通で利⽤可能な共通インフラとしての”交換式バッテリーステーション”の最適運⽤ビジネスモデル検討のため、ステーションでのデータを収集・分析し、共通インフラ最適モデルの調査を⾏うほか、調査にデータを提供するバッテリーステーションの整備運用が計画されており、その分析結果によって最適なバッテリーインフラについても研究が進むことでしょう。

今回の発表で、ヤマハ発動機社長であり自工会二輪車委員会の日髙祥博委員長は「交換式バッテリーは電動バイク普及の後押しとなり得る可能性を感じる結果となった。また、新会社ガチャコは、サステナビリティ、循環型経済へと繋がる非常に意義のある取り組みである。」と語っていることから、本実証実験の成果に大きな手応えを感じているといっても過言ではありません。

 

電動バイクが新しい乗り物・移動手段として認識され、そのクリーンな特長(静粛性や環境性能など)は、乗ることに対する快適さを提供し、利用者の行動範囲が広がるほどの魅力があることがわかりました。

また、今回の大学を中心としたコミュニティで電動二輪車利用が有用であったことにより、自治体・地域・企業といった他のコミュニティへの導入も期待されます。

今後は、今年秋から開始されるガチャコの実証事業により、交換式バッテリーのインフラについても課題がより明確となり、電動バイクの利活用はさらに具現化されていくことでしょう。

 

eやんOSAKA成果発表会 記者会見アーカイブ – https://youtu.be/gjf2MX-_TcA

2021年度 二輪車市場動向調査– 一般社団法人 日本自動車工業会

https://www.jama.or.jp/release/docs/release/2022/20220420_2021Motorcycle.pdf

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