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取材に応えていただいたホンダ学園の生徒(左から土方 遼さん、斎藤 祐樹さん、川島 颯太さん、村松 輝さん、若井田 学斗さん、佐藤 直樹さん、飯塚 はるなさん、外処 結菜さん)

未来の整備士を目指す若者の熱意と探究心(ホンダテクニカルカレッジ関東)

自動車整備士業界では近年、少子高齢化の影響だけでなく、働き方の多様化など、多くの諸問題が自動車整備士への興味や関心を減退させ、人手不足が年々深刻化しています。

しかし、バイクというモビリティが存在し続ける限り、整備士は必要な仕事なのです。

高度な専門知識と技術を要する整備士という職業だからこそ、バイクを通じて社会に貢献したいという熱い志を持つ若者もいます。本稿では、バイク業界の未来を担う、整備士の専門学校である、学校法人ホンダ学園 ホンダ テクニカル カレッジ 関東(以下、ホンダ学園)を取材し、整備士を目指す学生たちに焦点を当てました。

「モノづくり」のHondaが「人づくり」のために作った自動車大学校「ホンダ学園」

ホンダ学園の校舎。自分のマシンを整備できる学生ピットなど、さまざまな施設がある

1976年に創設されたホンダ学園では、「技術だけでなく、世界に歓迎される人間を作りたい」という建学の精神のもと、自動車整備士や開発エンジニアを育成・輩出しています。現在はサービスエンジニア学科、一級自動車整備学科、研究開発学科の3つの学科のほか、海外研修制度も設けられており、やりたいことに本気で挑戦できる環境が用意されています。

そんなホンダ学園の特徴は、何と言ってもクルマ・バイクメーカーである「Honda」が作った専門学校であるということ。実際に卒業後はHondaの二輪・四輪ディーラーへの就職が多く、そういった進路が用意されているのも同校の強みと言えます。

さて、今回の取材はそんなホンダ学園から数名の学生にご協力いただき、入学の経緯や、バイクに興味を持ちはじめたきっかけなどを伺いました。

バイクとの出会いは家族や友人の影響が多数

実習場には二輪用リフトが8基あり、クルマだけでなくバイクについても実践的に学んでいる

まずお話を伺ったのは、ホンダ好きの父親が所有していたスポーツカー「NSX」に乗せてもらったときの楽しさが入学の動機になったと話す飯塚さん。ゆくゆくは自身が所有する車両をカスタマイズしたいということで、メカニック部への入学を決めたそうです。

飯塚さんの思うバイクの楽しさについて尋ねると「時間や人間関係に縛られることなく、ひたすら走りに向き合えるのはバイクしかない。自分が手をかけた分だけ愛着が湧いていき、裏切られることのない、まさに相棒と言える存在になっていくのが良さです」と熱い想いを語ってくれました。今後は、自身が所有するバイクを自分の手でカスタムしていきたいとのことで、将来がとても楽しみな学生でした。

オフロード部の様子。最前線で戦うTeam Hammerのサポートを通じてプロのメカニックと交流し、技術を磨くことができる

次にお話を伺ったのは川島さん。前述の飯塚さんと同様にオン・オフ問わずバイクと向き合っている姿が印象的な彼は、中学生の頃から全日本モトクロスに参戦しているという本格派。当時からホンダ学園の存在は認識しており、学園祭に足を運んだのが入学の決め手だそうです。

今でもモトクロスのレース活動は継続中とのことで、今後の展望を伺うと「究極はバイクに対してどんな入力をすれば、どんな挙動になるか、そのイメージをスムーズに掴めるようになる。つまり、自分の手足のようにバイクを操れるライダーになりたいです。そのためには乗り方だけでなく、バイクそのものの構造をしっかり学ぶ必要がありますし、適切な整備ができなければいけません」と、ストイックな川島さんの人となりを感じる回答をいただきました。

ホンダ学園では整備を学ぶだけでなく、部活動のレースなどを通して幅広い知識や経験を得ることができる(写真はミニバイク部)

これまで取材を行った学生さんたちは、両親や知人・友人など、身近なライダーの影響を受けてバイクに興味を持つ例がほとんどでしたが、なかにはサーキットでレースを見た時に衝撃を受けたという声もあり、最後に取材した佐藤さんも同様でした。

彼の場合は友人の誘いで訪れた「モビリティリゾートもてぎ」での思い出がホンダ学園の入学へと繋がったそうです。同校入学後はバイクとの向き合い方も一層濃くなったそうで、もともとバイクの利用頻度は通学で使う程度でしたが、現在では授業時間外もバイクに触れる時間を捻出して整備に関する経験値を積んでいると、日々高まる探究心について話してくれました。

メカニック部の学生は鈴鹿8耐参戦チームのメカニックサポートに参加し、本物のレース現場のスキルを学んでいる

取材を進める中で印象的だったのは、ホンダ学園でしか体験できない貴重なエピソードの数々です。ある学生は入学して間もない頃にMoto GPライダーのマルク・マルケス選手が同校を訪問してくれたことに衝撃を受けたのだとか。

他にも、Hondaがかつて製造していた軽自動車の「N360」のレストアプロジェクトで、不動車両をレストアしただけでなく、その車両でコマ図(ラリーの世界などで使われる簡易的な地図)のみで北海道まで2,500kmもの距離を完走したなど、こちらがあっと驚かされるようなことばかりでした。

全ての学生が安全運転講習を受講し、公道運転におけるマナーや安全に対するマインドを習得する

また、取材を受けていただいた学生に「もし友達にバイクの楽しさを伝えるとしたら、何と伝えますか?」という共通の質問を投げかけてみたところ「初めてバイクに乗った時の自由を手に入れたような感覚を伝えたい」や「ダイレクトに伝わる音や振動、操る楽しさを伝えたい」といった意見が。整備士専門学校に通う学生である以前に、彼らは純粋にバイクを楽しんでいるライダーたちなのだと気付かされました。

また、彼らが日頃から感じているライダーの安全性についても尋ねたところ、「バイクでの“すり抜け”行為は、クルマのドライバーも恐怖を感じる場面があると思うので、マナーを守って思いやりのある走行をして欲しい」「右折直進事故をはじめ危険予測を常に怠らないよう安全運転に心がけたい」「今後は万が一の際にバイク用ドライブレコーダーの装着も考えて欲しい」など、安全に対する意識の高さが伺えました。

人の命を預かる重要な仕事、それが整備士

こうしたバイクに対する楽しさと安全の双方について正しい知識を身につけられるのも、「技術だけでなく、世界に歓迎される人間を作りたい」を建学の精神とするホンダ学園の教育方針と言えます。

SNSやネットメディアの発達により、誰でも簡単に情報にアクセスできるようになった昨今。バイク整備のハードルも低くなったかもしれませんが、整備士としてのプロ意識や立ち振る舞いなど、そういった本質と呼べる部分はデジタルデバイスからだけでは学べません。少しでもバイクや整備に興味がある方は、ぜひ一度、ホンダ学園のオープンキャンパスなどに参加してみてはいかがでしょうか?

学校法人ホンダ学園 テクニカルカレッジ関東

https://www.hondacollege.ac.jp/honda_e/

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