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取材に応えていただいたNATSの学生(上段左から館田 遼平さん、引宇根 太一さん、赤嶋 曜さん、金澤 諒さん、高名 蓮翔さん、下左から鈴木 虎太郎さん、鶴岡 京さん)

未来の整備士を目指す若者たちが語るバイク愛と整備への情熱(日本自動車大学校)

整備士の人手不足が年々深刻化していく昨今。少子高齢化の影響だけでなく、働き方の多様化など、そこには多くの問題があるのが実状です。しかし、高度な専門知識と技術を要する職業だからこそ、バイクを通して社会に貢献したい、バイクを安全に乗って頂き多くのライダーの笑顔を見たいなど、高い志をもった若者もいます。

今回MOTOINFOでは、そんな整備士の「卵」を育てる専門学校である、学校法人日栄学園専門学校 日本自動車大学校(以下、NATS)を取材し、そこで整備士を目指す学生に取材を行いました。

夢は大きく、根は深く、志高く:学生が楽しく学べる学校「NATS」

1989年に開校したNATSは、校訓である“健康・実践・向上”を体現するかのように、教育カリキュラムだけでなく施設も充実。15万㎡(東京ドーム3個分)を超える広大なキャンパスには最新の点検・整備機器を揃えた各科専用の実習棟に加えて、整備した車両を実際に走らせることができるサーキットコースも備えています。さらに、学生寮や学生専用駐車場、交流を深められるバーベキュー場、トレーニングジムなど、学生が楽しく過ごせるよう設備が整っているのも特徴です。

学校長自らがアメリカで目にしたカスタマイズのムーブメント。日本にもこうした変化が到来すると確信し、日本初のカスタマイズ科が設置された

また、日本初の4年制・自動車経営科(現:自動車研究科)を設置し、いち早く1級自動車整備士像を想定した独自の教育カリキュラム構築や、カスタマイズ科を設置するなど、時代のニーズに合わせた教育カリキュラムの展開が特徴の学校です。

ところで、こうした環境で学ぶ学生たちはなぜその学校を志望したのでしょうか。そもそもなぜバイクや、その整備士に興味を持ったのでしょうか。こうした彼らの志望動機や興味のきっかけについて話を伺いました。

バイク興味のきっかけは「マン島TTレース」や「白バイ」などさまざま

東京オートサロンへの出展を目指し、車両製作に取り組むカスタマイズ科の学生たち

一人目にインタビューしたのは引宇根さん。現在は授業でバイクの基本構造を学んでいる最中で、バイクの免許はまだ取得していないものの、実習終了時に学校敷地内のコースで行われる走行テストへは積極的に参加しており、バイクに触れることで知識を深めているそう。将来は大型バイクの免許を取得してサーキットデビューもしたいと、頼もしい目標を語ってくれました。

また、バイクに興味を持ったきっかけについて質問を投げかけてみると「マン島TTレースの動画を見たのがきっかけで、それで一気にバイクのかっこよさに引き込まれて、NATS入学につながりました」と答えてくれました。なお、マン島TTレースがきっかけと話す学生は引宇根さんのほかにもおり、YouTubeやSNSなどで偶然発見したという、ある意味で現代的なきっかけでした。
※マン島TTレース…1907年からイギリスのマン島 で開催されている公道を閉鎖して行なわれるバイクレース。

NATSの独自のカリキュラム「専攻専科実習」では、バイクのメンテナンスを選択することも可能

次にインタビューした鶴岡さんは、ライダーである父親の影響で、幼い頃からバイクに囲まれた環境に育ったそうです。なかでも知り合いが白バイ隊員の教育担当を務めていたそうで、バイクの後ろに乗せてもらったことがあったのだとか。その時に感じた、クルマとは異なる独特の視点や、心地良い風の中にいるような感覚が原体験となり、免許取得可能な年齢になると、より一層バイクに対しての関心が高まっていったと話してくれました。

入学の決め手はサーキットコースなどの充実した設備や、資格が取得できる環境などを挙げ、現在は実習で愛車のシリンダーヘッドのガスケット交換などに取り組み、趣味と実益を兼ねて自身の手でメンテナンスしながらバイクライフを楽しんでいるとのことでした。

館田さんは、もともとモノ作り全般が好きだったそうです。モノ作りのなかでも、なぜバイクに興味を持ったのかを尋ねると「中学3年生の頃に偶然クルーザータイプの大型バイクを見て、大きな車体が放つインパクトに圧倒されました。それがきっかけなのかもしれません」と話してくれました。

現在はカスタマイズの分野に興味があるようで、学校での実習はもちろん、休日もインターネットで愛車に適合するパーツを購入し、試行錯誤しながら装着に挑戦しているとのことでした。

最後にインタビューした鈴木さんは、同じクラスの友人がバイクに乗っていて、それに憧れたのがきっかけだと言います。なんでも古いバイクを所有しているそうで、旧型車ならではの魅力を周りの友人に発信中とのこと。志望理由を聞くと、同じくバイクに触れるだけでなく自ら整備した車両でテスト走行を行う授業が多いことなどを挙げており、同時に安全上のルールの多さなど、実際に受講することでわかる自動車整備業界の仕事の厳しさも語ってくれました。

また、NATSでは、学生自身が所有するバイクを学校内で整備できるプログラムも用意されており、自主性を重んじる校風を感じられるエピソードが目立ちました。

仕上げた愛車のテスト走行を終えた学生たち(左から鈴木 虎太郎さん、櫻井 智(インタビュー時欠席)、鶴岡 京さん、舘田 遼平さん)

そんな彼らに「もし友達にバイクの楽しさを伝えるとしたら、何と伝えますか?」と質問すると以下のような回答がありました。

ある学生は、クルマと違って自分の挙動が直接車体に繋がる“人車一体”の感覚が一番の楽しさだと語り、別の学生は、クルマと対比して、風やにおい、外気温など自然を敏感に感じられることの素晴らしさを挙げてくれました。

一方でほとんどの学生が、楽しさの反面に事故や転倒時に怪我をするリスクについてもしっかり伝えると答えてくれました。バイクのメカニズムについて学ぶ彼らだからこそ、楽しさだけではなくしっかりとリスクについても理解していることが伺えました。

バイクへの愛情と整備やメカニズムへの知識欲

NATSの学生へのインタビューを終えて感じたのは、整備にまつわる専門知識と技術を学ぶのみにとどまらず、自らもライダーとして日々バイクと向き合う、情熱的でストイックな姿勢です。なかには現行車の領域を超えて2ストロークやキャブレターなど旧い技術を自発的に学び、知識の幅を広げている学生の姿もあり、取材が終わる頃には整備士に対するイメージはすっかり変わりました。

SNSやネットメディアの普及により、バイクの車種について調べたり、知識を深めることは簡単になりましたが、メンテナンスなど、さらに深い領域で楽しむためには、まずは実際に触ることが一番なのだと、学生たちの明るい笑顔に気付かされた一日でした。

バイクの技術は進化しても、整備やメンテナンスなどの知識は決して無駄になることはありません。もしもこの記事を読んで、バイクの整備・メンテナンス・カスタマイズについてとことん学び、将来メカニックになってみたいと思った学生の方は、進学を検討されてみてはいかがでしょうか。NATSでは、オープンキャンパスなど、さまざまな学校見学プログラムが用意されていますので、まずは公式サイトなどをチェックしてみてください。

学校法人日栄学園専門学校 日本自動車大学校

https://www.nats.ac.jp/

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