fbpx

画像:一般社団法人 日本二輪車普及安全協会ウェブサイトより

あなたも取得できる資格にチャレンジしてみよう!二輪車安全運転指導員とは?


先日、MOTOINFOでも記事にしたバイクの安全運転講習会「グッドライダーミーティング」。初心者や運転に不安のあるライダーをはじめ、安全運転技術をレベルアップしたいライダーのために毎年全国各地で100回近く開催されているこの講習会を支えているのが、“二輪車安全運転指導員”というバイクの安全運転技術について教えてくれる指導者たちの存在です。

特別指導員と指導員の二種別に分かれる二輪車安全運転指導員は、交通安全協会内に設置される二輪車安全運転推進委員会(以下、二推)に所属しており、グッドライダーミーティングや高校生教育など、さまざまなバイクの安全運転講習会で活躍しています。では、この二輪車安全運転指導員の資格を取得するためには、どのような認定基準があるのでしょうか。そして、どのような仕組みになっているのでしょうか。

二推事務局であり一般財団法人全日本交通安全協会の安全対策部長 西村 力さん(以下、西村さん)と安全対策第一課長 河原 文雄さん(以下、河原さん)にお話を伺いました。

お悩み解決型で応えるバイクの運転技術講習会「グッドライダーミーティング (レディースDay)」

急速なモータリゼーションとともに交通に関する制度が充実

日本の交通機関は、明治時代に入ってから急速に発達しました。特に明治30年代に輸入されたクルマは大正から昭和に入って大幅に進化し、人々はその恩恵を享受するようになりました。しかし一方で、次第に増えてきたのが交通事故です。そのため各種交通法規も次々と制定され、これら法令の周知徹底を図るべく、警察を中心に「交通安全運動」が展開されるようになりました。さらに、民間の交通安全活動を組織的に推進するため、警察指導のもと、広島県、静岡県、岐阜県、福岡県、愛知県などで「交通安全協会」が結成されはじめました。

  • 大正8年1月:運転免許制度などを定めた自動車取締令(内務省令第1号)
  • 大正9年12月:人も車も左側通行などを定めた道路取締令(内務省令第45号)が全国統一の交通法規としてはじめて制定、公布
  • 昭和8年8月:自動車取締令が全面的に改正され、運転免許制度、自動車の構造装置、運転者の遵守事項等について詳細な規則が設けられる。

今では春や秋の全国交通安全運動や、児童通学時における横断歩道での交通整理や見守りなどを通して、交通安全協会の存在や活動がずいぶん身近になりました。

長い歴史を持つ全日本交通安全協会

内閣府「特集 道路交通安全政策の新展開 -第11次交通安全基本計画による対策-第1章 道路交通事故の発生状況」より

時代の移り変わりともに自動車交通は広域化し、交通事故防止対策も全国統一的な交通安全運動を強力かつ幅広く推進することが求められました。国家公安委員会では、全国12ブロックの代表都道府県交通安全協会(連合会)会長とともに中央団体の設立を企図し、昭和25年11月に日本交通安全協会が設立され、10年後の昭和35年に現在の全日本交通安全協会に移行しました。

しかし、全日本日本交通安全協会の結成後も交通事故は増加の一途をたどり、特に昭和45年には、交通事故死者数が16,000人を超え、クルマと同様にバイクの安全に対しても着目されるようになりました。こうした流れを踏まえ、各都道府県の地方二推とともに、全日本交通安全協会内に中央二推が組織されました。

全日本交通安全協会の中央二推では、主に以下の事業を担っています。

  • 二輪車安全運転特別指導員の資格認定
  • 二輪車安全運転特別指導員の養成
  • 原付安全運転講習会開催の指導援助
  • 二輪車安全運転講習会開催の指導援助
  • 二輪車安全運転教育に関する出版物の刊行
  • 道路交通の安全に関する広報、ほか

上記には二輪車安全運転特別指導員しかありませんが、二輪車安全運転指導員の資格認定や育成などは各都道府県の地方二推が担っています。

二輪車安全運転指導員は全国に約6,800名(特別指導員を含む)

二輪車安全運転指導員になるためには、各都道府県で二輪車安全運転推進委員会の開催する(年一回程度)講習会、審査に合格することが必要になり、認定されたあとの活動は以下になります。

1:二輪車安全運転講習会などでの実技・座学指導

  • 原付、二輪免許取得者講習
  • 地元高校等の安全運転講習会
  • 警察、地方二推、一般社団法人 日本二輪車普及安全協会(以下、日本二普協)などが開催する二輪車講習会やグッドライダーミーティング

2:バイク販売の現場やツーリングクラブなどでの安全運転アドバイス、自らの知識、経験、技能を広くライダーに伝え指導する活動

3:研修会等への積極的参加と指導力の研鑽

この資格制度が始まった昭和48年(1973年)、二輪車安全運転特別指導員は115名、二輪車安全運転指導員1,804名でしたが、50年もの時の流れと共に増減を繰り返しながら、令和4年12月末時点では特別指導員が約1,800名、指導員が約5,000名、合計約6,800名となりました。

二輪車安全運転指導員資格を取得するまでの流れ

画像:一般社団法人 日本二輪車普及安全協会ウェブサイトより

二輪車安全運転指導員資格審査会は各都道府県で開催されます。

ここでは、東京都での二輪車安全運転指導員資格審査会を例に、資格取得までの流れを見てみましょう。

  1. 日本二普協のウェブサイトから、お住まいの地域の二輪車安全運転指導員資格審査会日程を探します
  2. 以下の受講資格を確認し、期限まで申し込みを行います(但し申込は先着20名)
    ・年齢20歳以上でバイク免許(原付を含む)を取得しており、バイクの運転経験が3年以上
    ・過去3年以内に行政処分を受けたことのない方、および悪質な交通違反がない方
    ・バイクの安全運転に関する知識、技能及び指導力がある方
  3. 二輪車安全運転指導員資格審査会当日は、朝8時から夕方4時まで、ほぼ一日かけてみっちりと講習および審査が行われます。
    ・審査会科目:運転適性検査、学科試験、実技、講義能力、面接
    ・服装:バイク乗車に適した服装で、胸部および脊椎を保護するプロテクターの着用必須

なお、使用車両は各自持ち込み(3輪車不可)となっており、筆記用具(黒ボールペン)の持参も必要となります。講習手数料は当日徴収で3,000円です。

二輪車安全運転特別指導員資格を取得するまでの流れ

画像:一般社団法人 日本二輪車普及安全協会ウェブサイトより

二輪車安全運転指導員の上位資格として、二輪車安全運転特別指導員があります。各二輪車安全運転講習会のカリキュラム作成をはじめ、二輪車安全運転指導員への指導や、グッドライダーミーティングでは全体チーフを務めることもあります。

この二輪車安全運転特別指導員の講習及び審査を受けるためには、所属する都道府県 交通安全協会の推薦が必要となり、特別指導員の資格認定は中央委員会が行います。

受講資格は以下のとおりです。

  • 二輪車安全運転指導員としての経験が3年以上
  • 大型二輪免許保有者
  • バイクの安全運転に関する知識、技能及び指導力が特別指導員にふさわしい方
  • 過去3年以内に行政処分を受けたことのない方および悪質な交通違反がないこと
  • 二輪車安全運転推進委員会主催の特別指導員養成講習会を修了した方
  • 実際に二輪車安全運転指導員として活動実績が優秀な方

なお、開催地は茨城県、三重県、熊本県にて持ち回りで開催され、回数は年に1回となっています。

以下がカリキュラムの概略になります。

特別指導員養成講習内容

特別指導員審査内容

最後に二輪車安全運転指導員を目指す方へ、全日本交通安全協会の西村さんと河原さんよりメッセージをいただきました。

二輪車安全運転指導員の資格取得を目指すライダーは、基本的に日々安全意識を高くもってバイクを楽しんでいる方々だと受け止めています。そのため、講習会における指導員としてご活躍いただくだけではなく、普段の友人とのツーリングにおいても、その高い安全意識を広めていただきたいと思います。
皆さんに楽しいバイクライフをおくっていただきたいです。

二輪車安全運転指導員は、グッドライダーミーティングや二輪車安全運転講習会などで様々なライダーに対して、豊富な知識と経験を実技講習によって伝え、安全なバイクライフの推進に貢献しています。安全運転への意識向上と安全運転技術向上を支える役割を果たす指導員の存在は、バイクコミュニティにおいて欠かせないものと言えるでしょう。
安全なバイク文化の普及に向けて、二輪車安全運転指導員たちの熱心な活動が今後も期待されます。
また、二輪車安全運転指導員に興味を持たれた方は、ぜひ資格審査会に挑戦されることをおすすめします。

一般社団法人 全日本交通安全協会

https://www.jtsa.or.jp/

一般社団法人 日本二輪車普及安全協会「二輪安全運転指導員について」

https://www.jmpsa.or.jp/safety/gm/instructor.html

内閣府「特集 道路交通安全政策の新展開 -第11次交通安全基本計画による対策- 第1章 道路交通事故の発生状況」

https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/r03kou_haku/zenbun/genkyo/feature/feature_01.html

RECOMMEND

あなたにオススメ