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地域に根付いた交通安全運動の重要性(裾野警察署と静岡県二推クラブ)

交通安全に関する啓発活動といえば、全国交通安全運動が最も著名でしょう。広く国民に交通安全思想の普及・浸透を図り、交通ルールの遵守と正しい交通マナーの実践を習慣付けるとともに、国民自身による道路交通環境の改善に向けた取組を推進することにより、交通事故防止の徹底を図ることを目的として、毎年、春と秋の2回実施されています。

しかし、毎週末または毎日バイクに乗るライダーに交通安全を強く意識してもらうためには、年2回では十分とは言えません。

そこで今回は、去る2023年7月16日に静岡県警察裾野警察署(以下、裾野警察署)と静岡県二輪車安全運転推進クラブ連合会(以下、静岡県二推クラブ)の合同主催によるパレード走行と、主旨を明記したチラシ配布(場所:水ケ塚公園駐車場)という、地域密着の交通安全啓発活動にクローズアップしてみたいと思います。

各地域が独自で地元民またはその地域を通行するライダーを対象に交通安全の啓発活動を実施することで、より一層ライダーに安全運転を意識していただく好事例となるのではないでしょうか。

 

静岡県二推クラブの活動はあくまでボランティア:「ゆっくり・安全運転・周りへの気遣い」が大切

静岡県二推クラブは昭和63年に発足した団体ですが、裾野警察署の記録によると、昭和40年代からこうした活動が実施されているとのこと。メンバーは地元のライダーを中心に構成されており、活動自体は今回に関わらずボランティア活動の一環とのことでした。

ちなみに“二推クラブ”は各警察署の管轄区域ごとに存在しており、各二推クラブのライダー有志が定期的な連絡を取り合いながら、今回のような地元警察署と連携したパレードだけでなく、地域のごみ拾いや伊豆スカ事故ゼロ運動、安全運転講習への協力などを、裾野市のみならず周辺の御殿場市や沼津市でも不定期で実施しているそうです。

仕事の合間を縫って参加されていた有志のライダーにお話を伺うと「自分達が楽しんできたバイク」という切なる思いを胸に秘めて活動されていました。

 

前後に警察車両がついた総勢40台余りのパレード走行

今回のパレード走行には、静岡県二推クラブのメンバーとカズ中西さん率いる「事故ゼロ小隊」のメンバー総勢40台あまりが参加されていました。

伊豆スカイラインの二輪車事故実態にみる「バイク事故ゼロ」を目指して

 

交通安全啓発のためのパレードは、出発地点である裾野警察署から、富士登山の拠点として五合目行きシャトルバス乗り場でもある水ケ塚公園までの片道約30kmという道のりを走行しました。

 

今回のパレードは前後に警察車両が赤色灯を点灯させながら同行して1時間以上も走行したため、多くのドライバーの目に止まり、それを見たドライバーやライダーも追い越すこともなく安全運転に努め、絶大な効果を発揮していました。

 

水ケ塚公園では静岡県警察音楽隊による演奏披露

パレードのゴール地点である水ケ塚公園に到着すると、静岡県警察音楽隊による生演奏が披露されました。キッズ向けの曲から、一世を風靡した警察に縁のあるドラマの主題曲まで、バラエティあふれる選曲が生演奏されたこともあって、チラシを見た方や演奏を聞きつけた方を含め、多くのお客さんが足を止めていました。

 

演奏を見に来ていた、お客さんへ安全啓蒙のチラシを手渡しする警察署職員

警察音楽隊による生演奏の横では、警察官と静岡県二推クラブによる交通安全啓発のためのチラシ配布が行われていました。こうした地道な啓発活動がドライバーやライダーの安全運転意識の向上には必要不可欠です。

 

演奏後にはライダー用エアバッグの作動デモンストレーションも

演奏後には、演奏を聞いていた家族連れのお父さんに協力を頂き、ライダー用エアバッグの作動デモンストレーションが行われ、着用するタイプのエアバッグを体験した方は、紐を引っ張った瞬間、一瞬にして膨らむエアバッグに大変驚かれていました。

着用者は年々増加!身近になってきたバイク用エアバッグ

 

会場で交通安全啓発のチラシを配布していたカズ中西さんは、こうした地域密着での交通安全運動の効果について以下のように話してくれました。

我々が実施している交通安全パレードと静岡県警音楽隊も合同で実施する広報啓発活動は、普段の生活で忘れられがちな「交通安全」への意識付けであり、記憶として呼び起こすことに役立っていると思います。

パレード走行で“交通安全”のタスキをかけている理由は、ドライバーやライダーなどの運転者はもちろん、歩行者なども含めてすべての人が“交通安全”の文字を見ることで安全運転に努めるきっかけとなるからです。

一例として、「伊豆スカイラインライダー事故ゼロ作戦」や「IZUセーフティドライブ作戦」の効果は実数として顕著に表れており、10年前は死亡を含むバイクの重大事故が約40件も発生していましたが、現在では死亡を含む人身重大事故はゼロとなっています。

この実例からも、特効薬的な即時効果は薄いかもしれませんが、地域密着の各自治体レベルで地道に啓発活動の実施を重ねていくことで、交通安全への意識や事故を起こさないように走ろうといった意識につながっていると思います。

特に静岡県東部は、他県から訪れるライダーも多く、各地区の警察署や静岡県二推クラブなどが連携することで、広域における啓発活動を効果的に行えていると思います。

 

観光やツーリングの際は、気持ちの高揚からついつい忘れがちになってしまう“交通安全”への意識。そうした時に、今回ご紹介したような交通安全の啓発活動を地道に行うことで、ドライバーやライダーなど運転者に安全運転の大切さを再認識させ、少なからず交通事故の減少につながっているのではないでしょうか。

各地域でこうした地域密着の交通安全啓発活動が盛んに実施されることによって、広くは全国的な交通事故の抑止に寄与することを切に願います。

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