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【若者ライダーの夢1位は日本一周】バイクで日本一周を走破した大学生ライダーに動機や魅力を聞いてみた!

MOTOINFOでは日々様々な若者ライダーと会話をする機会がありますが、毎度お決まりの質問として“バイクで叶えたい夢や目標”について尋ねています。そこで彼らが口を揃えて挙げるのが「バイクで日本一周」という夢です。

そこで今回は、なぜ若者ライダーは日本一周バイク旅に惹かれるのか、どこに魅力を感じているのか、その糸口を探るべく、昨年8月よりバイクで日本一周の旅に出ていた大学生ライダーの松島哲平さん(以下、松島さん)に、旅の目的や印象的だった体験、そして日本一周の魅力についてお話を伺いました。

 

父親の影響もありバイクは幼少期から身近な存在だった

編集部(以下、編):はじめに、バイクに乗ろうと思ったきっかけを教えてください。

松島さん:父親がバイクに乗っていて、小学生のときにオフロードバイクに乗らせてもらったのがバイクに乗りはじめたきっかけです。その後もオフロードバイクに乗ったり、バイクレースを観ていたので、当然のように16歳になってすぐに原付免許を取得しました。

 

編:なぜバイクで日本一周をしようと思ったのでしょうか?

松島さん:日本一周の動機の記憶が曖昧ですが、中学生のときにバイクで日本一周をした人をインターネットで見たのが日本一周を意識するきっかけです。もともと知らない場所への旅が好きな性格で、自由気ままに旅をしている人の本や動画を見ては、楽しそうだなと思っていました。高校生になって原付バイクで関東一周をしてみて、日本の知らない場所にもっと行きたいと、この頃から現実的に考え始めました。

 

松島さん:日本一周の計画は、8月に本州・四国・九州を回り、一度帰宅して9月に一週間使って北海道を走るという計画でしたが、友人との旅行やバイクレースの参加、大学の研究などのために一度帰らざるを得ませんでした。
ルートの計画は、おおよそ何日後にどこの地域・県に行くかを白地図に書き込んで決めていました(スタートから3日後に大阪、それから4日間四国を走って九州に行くといったイメージ)。
ある程度決まったら、数日後の宿やフェリーの予約をしておき、その日時を目標に毎日小分けにして走っていました。
走ってみると意外と遠かったり、立ち寄りたい場所が増えたりというイレギュラーなこともよくあって、日によっては進行具合がバラバラだったので、紙の地図を眺めながら次の日のルートや立ち寄る場所を毎晩考えていました。

松島さん:宿泊場所についてはキャンプ道具を一式揃えましたが、これが非常に便利。宿泊費を安く抑えられるのはもちろん、予約不要のキャンプ場であれば、今日は少し寄り道しちゃったからこっちのキャンプ場にしよう!という融通も利くためマイペースに走れます。また、テントの中で地図を広げて次の日のルートを考えていると、冒険している感じがあって楽しいです。

ただ、天気が悪いときや疲れ気味のときにキャンプをするのはちょっと嫌だったので、その時ばかりは直前で宿を予約していました。ほかにも、夜行フェリーで夜のうちに移動しながら睡眠をとったり、高校時代の友人に連絡を取って、友人宅に泊めさせてもらったこともありました。

 

日本一周バイク旅によって人生の考え方が変わった

四国スーパー林道

編:今回の日本一周バイクの旅ではどのような収穫がありましたか?

松島さん:道中では多くの人に話しかけてもらったり、サポートしてくれたりしました。同じように旅をしている人、たまたまその場に居合わせた地元の人、若い頃に日本一周をしたかったけどできなかった人など、普通の生活をしていては出会えなかったであろう多くの人たちと交流しました。SNSで応援してくれる人も多く、バイクを見かけた人がツイッターでメッセージを送ってくれたこともありました。基本的にはその場限りの出会いなのですが、すごく嬉しいし、自分一人で生きているわけではないんだと強く実感しました。
人生80年、はたまた100年時代とも言われていますが、今回の旅を通して、新たに行きたい場所や食べたいもの、見たい景色がたくさん増えました。全部をやりきるためには、もはや100年で足りるのか?とも思い始めています。
だからこそ、自由な時間は自分のやりたいことに使いたい!と、人生における考え方も少し変わりました。

 

編:日本一周バイクの旅で感動したことについて教えてください。

松島さん:北海道は、地平線まで続くほど長い直線道路に何度も巡り合いました。これは関東で暮らしている私にとってはすごく新鮮な経験でした。また、日本最北端の地である宗谷岬に到着したときは、ついこの前まで九州最南端に居たことを思い出し、少し不思議な気持ちになりました。

北海道オトンルイ風力発電所

 

九州も、関東に住んでいるとなかなか訪れる機会の少ない場所なので、特に熊本県・阿蘇では、阿蘇山周辺の自然豊かで見晴らしの良い道が最高で、日本にはこんなに絶景の道があるのか!と衝撃を受けました。

熊本県・阿蘇

 

雨のなか東北を走っていたときのこと、目的地に着いた途端に雨が止み、奇跡的に綺麗な虹が空にかかる絶景に、雨続きで沈んでいた気持ちも吹き飛んでしまいました。

雨上がりの岩手で偶然見ることのできた虹と愛車

 

編:日本一周中に困ったことはありましたか?

松島さん:一番困ったのは北海道から帰るタイミングでなんと台風が来てしまい、予約していた苫小牧発/仙台行きのフェリーが欠航になってしまったことがありました。北海道から本州へバイクで移動するには必ずどこかのフェリー乗船が必須で、慌てて他のフェリーも見たのですが、ほとんどが欠航…。仕方なく予定を一日早く切り上げ、雨のなか函館へ500km走行し、翌日、青森から750kmなんとか走って帰宅しました。それが一番の予想外のできごとでしたが、最終日だったので長距離長時間でも次の日を気にせず走れたことが救いでした。
また、北海道に向かっているときにガソリン残量の計算を誤って、暗闇の中でガス欠をしてしまったこともありました。結局、最寄りのガソリンスタンドまで5kmもバイクを押しました。今となってはいい思い出なのですが、もうこんな経験は二度としたくないものです。非常時用としてガソリン携行缶を用意しておかなかったことが悔やまれます。

ガス欠した直後に撮影した一枚

 

編:これからバイクで日本一周をしてみたいと考えている読者のために、旅の計画を立てるうえでおさえておきたいポイントや失敗しないためのポイントなどを教えてください。

松島さん:計画のポイントは、いつ、どのくらいの期間で旅をするのかを早めに構想し、アルバイト先や大学の研究との日程調整を早めにしておくことが大事ですね。私は、4ヶ月前にアルバイト先へ相談し、まとまった休みをもらうことにしていました。旅の後に円滑に社会復帰するためにも大切なことだと思います。
また、旅のテーマも決めることも大きなポイント。私の場合は「日本の最東西南北端を自分の足で踏むこと」「旅先の美味しい料理を食べることは妥協しない」と決めて旅をしていました。やりたいことを全部やろうとすると時間とお金がいくらあっても足りないので、譲れないポイントを作って旅をすることで、軸を持った旅ができたと思います。さらに、例えば次は絶景巡りの旅にしようとか、温泉巡りの旅にしようとか、早くも次の旅のテーマを考えてワクワクしていました。

 

編:日本一周の費用はどの程度必要なのでしょうか?

松島さん:多い方がいいです。ガソリン、食事、洗濯、風呂代に加え、フェリー代や宿泊費などで、平均で一日7,500~10,000円くらい。観光地の展望台の入場料だったり、記念品のステッカーを買ったりするのを節約するのも面白くないので、頑張ってアルバイトした貯金を使ってこの期間は自由にお金を使えるようにしていました。

 

マイルールを設定してマイペースに進むのが旅を楽しむコツ

編:旅を進めるペースについてアドバイスはありますか?

松島さん:私のマイルールは、なるべく多めに休憩を取ること。体調不良を起こしたり、事故を起こしてしまったらせっかくの旅が台無し。ただ、ついつい走りすぎてしまう性格なので、「道の駅を見つけたらそこでお茶を飲む!」をマイルールと決めていました。その土地の名産品に触れたり、同じように旅をしている大学生と出会えたり、地元のライダーに名所を教えてもらえた事もあったので、良いマイルールだったと思っています。

 

編:日本一周前にバイクのメンテナンスで何か気をつけるべきポイントはありますか?

松島さん:メンテナンスは出発前にはかなり気を使い、タイヤやチューブ、ブレーキパッドなどといった消耗パーツは全て新品に交換しました。
チェーンルブ※1は携帯サイズを一つ持っていき、雨天走行の後は注油するようにと良いです。私は持っていくのを忘れ、雨の次の日にチェーンがガタガタになり、スムーズに加速しなくなりまった経験があります。旅先でバイク用品店を探し、すぐにチェーンルブを買って注油したものの、チェーンとスプロケット※2が結構痛んでしまいました…。
※1:チェーン用の潤滑油のこと、別名チェーンオイル
※2:チェーンを経由してエンジンの動力を後輪に伝達する歯車(ギア)のこと

 

少し不便なバイク旅だからこそ一生モノの思い出になる

本土最南端佐多岬

編:最後に、またバイクで日本一周したいですか?

松島さん:日本一周は、いつかまた時間を作ってしたいと思っています!
今回の日本一周バイク旅でいろんな場所を走ることができ、地図を眺めると、そのときのワクワク感や景色、食べ物、温度、天気、そして出会った人を鮮明に思い出します。今回旅をしたことによってさらに日本の解像度が上がったような感じがして、旅の前よりも行きたい場所が増えました。
コロナの影響で2年間くらい大学にも行かない時期が続きました。大学生になったらバイクで日本一周をしようと決めていたものの、気づけば大学4年生、まとまった休みが取れる最後のチャンスでした。卒論やアルバイトなどの関係で、どんなに頑張っても1ヶ月強が時間のリミットでしたが、それでも充実した濃密な時間を過ごせました。アルバイトを辞めて大学を休学すれば、時間に縛られない旅を1年くらい続けられたかもしれませんが、就職も決まっていましたし、大学生活を続けながら日本一周できて良かったと思っています。

 

四国沈下橋

自転車や徒歩、クルマや電車も日本一周の手段になり得ますし、それぞれの面白さがあると思います。しかし、一般的な大学生が1~2ヶ月の休みの中で旅をするなら、1日である程度の距離の移動が必要ですし、コストパフォーマンスが要求されます。バイクなら、クルマほどお金がかからず自転車や徒歩と比べて機動力が高く、電車と比べて自分のペースで自由にルートを決めて走ることができます。

雨が降れば濡れるし、日中の炎天下は暑いですが、走っているときの風や音、天気、温度や雰囲気をダイレクトに感じることができるバイクだからこそ、どの場面を切り取っても鮮明に思い出せる旅ができたと思います。

バイクを相棒に旅ができて本当によかったです!

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