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国内4バイクメーカー販売会社トップに聞く!2021年の振り返りと2022年の取り組み【ヤマハ発動機販売石井社長編】

ここ数年、国内二輪車市場では活発な変化が見られるようになりました。活況を見せる一方で、2021年はコロナ禍において直接ユーザーとの接触が難しい状況でもありました。はたして国内4バイクメーカー販売会社は、昨年にどのようなアプローチをし、どのようなことをチャンスと捉え2022年に挑むのか、各社のトップにお話を伺ってみました。

第四弾は、ヤマハ発動機販売の石井社長です!

 

編集部(以下、編):近年の国内市場の動向を見たときに貴社としてチャンスと捉えている変化を三つ教えてください。

まず一つ目ですが、男女問わず若年層からリターン層まで幅広い層に渡って新規ユーザーが増加している点が挙げられます。

新規で免許を取得された若者ユーザーの増加をはじめ、中高年のいわゆるリターンライダー層も様々な要因によって増加傾向にあります。以前バイクに乗っていた方が、コロナ禍による移動手段の見直しとして、パーソナルコミューターであるバイクに再注目してくれるなど、この流れは業界としても大きなチャンスです。

過去のビッグスクーターブームは一過性の流行でしたが、昨今の好機は確固たる理由や意志を持ってバイクライフを楽しむ方が多く、生涯顧客に繋がる大きな柱になると期待しています。現在乗っているバイクはあと何年乗ったら次は何に乗る、と言ったようなバイクライフ設計をしているユーザーも多いため、「ユーザーを育てていく」という発想が重要になってくると思います。

二つ目は、バイクがアウトドアレジャーの一環、または非常に親和性の高いものとして見直され、従来では考えられないくらいメディア露出が増えている点です。

アウトドアブームからキャンプツーリングへとユーザーの興味関心が横展開に派生し、求められるニーズの多様化と共に、バイクに対するイメージが明らかに良くなっているように感じます。

三つ目は、新規ユーザーを中心に安全意識が高まっているということです。販売店の選び方や乗車時の装備などに対する思考が健全な方向に向いており、バイクが一つの趣味として社会的な地位を確立しつつあると感じています。

こういった意識の高まりは、バイク業界全体の質が上がり活性化につながる、大きなチャンスだと捉えています。

 

編:販売した商品評価を通し、近年の特に若者ユーザーの、商品や、バイク環境に対するマインド(価値観・要望等)をどう捉えていますか?

「バイクを使ってどのように楽しむか」が非常に多様化しており、”モノ”ではなく”コト”に意識が集中しています。これまでバイクに求められていたのは、どちらかというと走りがメインでしたが、先ほどの通りキャンプや旅、写真撮影や動画配信など、バイクの楽しみ方は千差万別になりました。そんな趣味のツールとして、ユーザーごとの楽しみ方に合わせられるのがバイクだと思います。

一方で先述の通り安全意識の高まりも見られ、プロテクターの装着率向上をはじめ、運転技術に不安を持つライダーがライディングレッスンであるYRA(ヤマハ・ライディング・アカデミー)へ参加するケースも年々増加しています。

また、SNSを中心に情報収集やコミュニケーションの手法が変化しました。販売店や先輩ライダーといった限られた情報源から、ネット上に広がる無数の情報を各自が取捨選択することが当たり前となり、コミュニケーションも細分化しています。

 

編:丸二年近くコロナ禍により、ユーザー接点にもなるイベント等が殆ど中止になりました。今後、ユーザーとの接点をどのようにして回復していこうと考えていますか?また、今後の展望について教えて頂けますか?

イベントは既に再開し始めていますが、元の運用方法に戻ることはなく、新しい手法を加えたうえで、これまで以上の盛り上がりとなるイベントを目指していきます。デジタルとリアルの双方を駆使し、ユーザーとヤマハにとってベストなバランスとなる信頼関係を築いていきたいと思っています。

ただし、バイクなので、やはりユーザーの感動体験を忘れてはいけません。まず、感動体験としてリアルの施策をカテゴリーごとに設け、その告知やイベントを盛り上げるためのユーザー接点を、デジタルも活用しながら展開するつもりです。

リアルなイベントとしては、人気モトブロガーの起用や、バイク撮影に定評のあるプロカメラマンによる撮影アドバイスなど、若者対象のコンテンツを従来までのコンテンツに追加することで、新規ユーザーも既存ユーザーも双方楽しめるイベントを企画しています。また、カフェツーリングイベントなどコミュニケーションの場も開催予定です。

運転技術の不安を補う施策としては、YRAでのレッスンに加え、YSPと協力して車両持ち込みによるレッスンを増やすことにも、これから注力していきたいと思います。

 

編:教習所の需要増が多くのメディアで報道されていますが、一方で教習内容が変わらないとの声もあります。また近年、免許取得後にバイクを購入しないユーザーも目立ちます。ユーザーのスキルアップを含めたアフターケアも変化(進化)を望む声がある中で、何らかの対策やお取り組み施策はございますか?

ヤマハとしては既に長年YRAに取り組んでいる訳ですが、運転技術に不安のあるユーザーをサポートする為、より実践的なカリキュラムを増やす計画をしています。また、販売店店頭での安全運転指導は一つの鍵であると考えており、専売店であるYSPと協力し、エントリーユーザーの不安や恐怖心を払拭し、バイクを楽しめるレベルまでサポートを行っていきたいと考えています。

各社とも市場のお客様の動向をとらえ、独自のアプローチを考えているようですね。

2022年も多くのお客様が二輪を楽しむ姿が期待されます!

 

編:バイク本体をネットやフリマアプリで購入するという方も少なからずおり、車両整備が不十分な状態で乗車される懸念があります。このような若者ユーザーに対して、何らかの対策や取り組みはされていますか?

新車が品薄な為、中古車へと流れるユーザーが品質の悪い中古車を購入してしまうことで、特にエントリーユーザーがバイクを降りてしまう懸念は持っています。

ヤマハとしてはYSPでの購入推奨により、YSPで独自の厳しい基準をクリアしたオフィシャル中古車提供や自動車公正取引協議会の二輪車品質評価者が在籍しているショップでの購入推奨などにより、安心してバイクライフを楽しめるよう取り組んでいきます。

 

編:気候変動により頻発する天災や有事の際に、機動力の高いバイクを活用する企業が増えているようですが、社会に役立つバイクとして何らかのお取り組みはされていますか?

これまでの静岡市や三島市でのオフロードバイク隊への協力などに加え、新しい取り組みとして、ライダーと防災の可能性を探る「FIST-AID」をヤマハ発動機主体でスタートしました。これは、災害に対する意識を高めようとするライダーをクラウドファンディングで募った企画です。有事の際、ライダーが自分・友人・家族等を助け、“大切なものは自分の手で守る”という志を、クラウドファンディングという形を取りライダー同士で共有するプロジェクトです。ここで集まった防災ライダー100のテクニック等は、webサイトの他、ブックレット等で紹介しています。

 

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