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国内4バイクメーカー販売会社トップに聞く!2021年の振り返りと2022年の取り組み【スズキ二輪濱本社長編】

ここ数年、国内二輪車市場では活発な変化が見られるようになりました。活況を見せる一方で、2021年はコロナ禍において直接ユーザーとの接触が難しい状況でもありました。はたして国内4バイクメーカー販売会社は、昨年にどのようなアプローチをし、どのようなことをチャンスと捉え2022年に挑むのか、各社のトップにお話を伺ってみました。

第二弾は、スズキ二輪の濱本社長です!

 

編集部(以下、編):近年の国内市場の動向を見たときに貴社としてチャンスと捉えている変化を三つ教えてください。

基本的に私は、現場に直接出向いての現状把握こそが最重要だと捉えていますが、やはり昨今の潮流を鑑みるに、インターネットにおける販路も必須だと考えています。

2021年1月にオープンしたスズキの通信販売サイト「S-MALL(エスモール)」で、KATANA特別色の100台限定販売の受注を行い非常に大きな反響を頂いたほか、MotoGP記念グッズ等や中止になったイベントで販売予定だったグッズなどもオンライン受注とすることで、ユーザーとの接点作りに注力しました。オンラインチャネルでの課題は残るものの、好機だと捉えています。

二番目としては、リアルで繋がるユーザーとのコミュニケーションです。ツーリングユースで定評のある弊社のアドベンチャーモデル「Vストローム3兄弟(1050、650、250)」のユーザーを対象に、本社敷地内で2014年からミーティングイベントを開催しておりますが、昨年はコロナ禍の観点からYouTube上で、多彩なゲストを招いてのオンライン生配信イベントとして実施しました。キャンプにバイクで行く際の積載方法などのトークや、プライベートでもVストロームに乗る鈴木社長のサプライズ登場もあり、大いに盛り上がりました。

また「Vストローム 旅するフラッグ」と称し、旅先等で出会ったVストロームオーナー同士で特製フラッグがリレー形式で託され、全国各地を繋ぎながら次のイベント開催時に本社に戻るという一年がかりのプロジェクトも実施しており、リアルなユーザーとの絆を大切にしています。

三番目は、3密を避けた移動手段(通勤通学など)としてバイクが見直されるなかで、特に弊社の排気量125ccのギア付きモデルは、中型バイクと遜色ないフルサイズということもあり、大変多くの方から好評いただいております。街中からツーリング利用以外にも、楽しみ方の一つとしてサーキット走行利用などにも注力していきます。

 

編:販売した商品評価を通し、近年の特に若者ユーザーの、商品や、バイク環境に対するマインド(価値観・要望等)をどう捉えていますか?

80年代レプリカブーム、90年代ストリートバイクブーム、00年代ビッグスクーターブームと時代を経て、ミレニアル世代以降のZ世代を含む現在の若年層は、自己主張よりも協調性や人からどう見られているのかを重要視しています。デジタルネイティブである彼らは、インターネットの世界の中で楽しみ方をよく知る反面、リアルの世界ではバイクに安全性を求める傾向にあります。

バイク購入の判断基準として、今も変わらずデザイン(スタイリング)は大きな要素を占めますが、同等に安全性能や足つき性といった”安心”も求められています。初心運転時の雨天時走行や転倒/事故のリスクに不安を抱く方はいまだ多く、来春から「U30スズキセイフティスクール」も再開させたいと思っています。

 

編:丸二年近くコロナ禍により、ユーザー接点にもなるイベント等が殆ど中止になりました。今後、ユーザーとの接点をどのようにして回復していこうと考えていますか?また、今後の展望について教えて頂けますか?

私自身、30代後半に大阪モーターサイクルショー実行委員を経験し、非常に思い入れもあることから、本年こそは是非モーターサイクルショーが開催されることを望んでおります。こういったリアルなイベントと、オンライン上でのWEBモーターサイクルショーをハイブリッドに実施し、会場に来られない人にも見て頂くことで、継続してお客様と交流を図りたいと思っています。

また、残念ながら2年連続で中止を余儀なくされた「隼駅祭り」についても、昨年ハヤブサがフルモデルチェンジしたため、今年こそは開催されることを望んでおります。ハヤブサオーナーさんと交流できることが、今から楽しみです。

「KATANAミーティング」は弊社が主催ですが2年開催できませんでしたので、同様の思いがあります。天竜浜名湖鉄道ではKATANAのラッピング電車が走っており、またフルーツパーク駅の副駅名を“KATANA”駅にしていただくことも出来ましたので、年こそは開催したいと思います。

 

編:教習所の需要増が多くのメディアで報道されていますが、一方で教習内容が変わらないとの声もあります。また近年、免許取得後にバイクを購入しないユーザーも目立ちます。ユーザーのスキルアップを含めたアフターケアも変化(進化)を望む声がある中で、何らかの対策やお取り組み施策はございますか?

2005年6月に二輪AT限定免許の教習が始まり、2018年7月には普通自動車免許などを保有している方が、小型AT限定普通二輪免許を取得する際の教習時間が変わりました。しかしながら最近の傾向としては安全が担保されないと、バイクを楽しむ域にまで達しないケースが多いため、技術向上や安全運転のスクールを実施することによって、運転に自信を持ってもらうようにしたいと考えております。

2019年は、「U30スズキセイフティスクール」を全国9都市で開催しましたが、「スズキ北川ライディングスクール」と併せて、今後さらに注力していきます。

 

編:バイク本体をネットやフリマアプリで購入するという方も少なからずおり、車両整備が不十分な状態で乗車される懸念があります。このような若者ユーザーに対して、何らかの対策や取り組みはされていますか?

部品や用品はインターネットでの購入が当たり前となり、車両もオンラインで購入して店舗に持ち込まれるケースも多いと聞いています。インターネットを通じたバイクの個人売買は、今後もさらに増えることが予想されます。

特に不正改造車と知らずに購入してしまったユーザーへは、適切な状態に戻すようアドバイスしてから修理・メンテナンスをお受けするよう販売店舗へお願いしています。また、不正改造車は登録や納車も出来ないことを周知する必要もあります。

また、新規ユーザーの増加に伴い、いわゆる”修理難民”が増えていると言われていますが、これは二輪販売店の後継者不足といった二輪車業界の抱える課題とも関係しており、構造的な問題として取り組まないといけません。

 

編:気候変動により頻発する天災や有事の際に、機動力の高いバイクを活用する企業が増えているようですが、社会に役立つバイクとして何らかのお取り組みはされていますか?

私自身、阪神・淡路大震災を経験したため、その時の悲惨な光景は現在でもはっきりと覚えています。

かつて販売していたスクーターのヴェクスターで食料や飲料水をありったけ積んで、大阪から神戸の販路へ向かった記憶があります。現地での悲惨な光景を忘れる事はありません。高速道路は倒壊し、鉄道も寸断され、車は大渋滞というなか、バイクに食料を満載して販売店舗へと向かったのですが、その時にバイクの機動力が非常に役立ちました。

2014年8月20日の豪雨による広島市土砂災害の際にも、自治体や販売店舗へ原付バイクの貸与支援を行いました。原付バイクは、普通自動車免許を保有していればどなたでも乗れるため間口が広く、比較的容易に扱えるため、今後も災害支援の際にはお役立ていただけるよう貸与支援を継続していきたいと思います。

 

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