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ヘルメットの正しい着用方法と重要性についてヘルメットメーカーに聞いてみた!

昨今、二輪車市場ではライダーの身体を守るプロテクターやヘルメットの種類が非常に増えてきており、しかも、購入方法はヘルメットに限らず、今では様々なバイク関連用品なども通信販売で簡単に買える時代。

一方で、今も昔も、二輪車の交通死亡事故統計では致命傷部位で約半数が頭部というデータもありますので、今一度、ヘルメットメーカーに正しいヘルメット選びや着用方法について確認してみましょう。

 

参考:警察庁「二輪車の交通死亡事故発生状況」(2020年)

二輪車走行におけるヘルメットの正しい利用方法を理解することで、より安全安心なバイクライフを続けて頂くことができます。

そこで今回は、老舗ブランドSHOEIの商品企画部 田上(たのうえ)さんに、ヘルメットについての正しい選び方や着用方法とその重要性、そして、あまり知られていないヘルメット市場のトレンドからメンテナンスまで、様々な角度からお話を伺いました。

 

ヘルメットの正しい選び方とは?

まずはじめに伺ったのは、正しいヘルメット選びのポイントについて。

第一に、ユーザー自身が目的(バイクの使い方=楽しみ方)に合わせてヘルメットを選択する事が重要です。

 

例えば、サーキット走行を楽しみたい方にとっては、フルフェイスタイプが必須でしょう。そして、ロングツーリングや通勤通学等、夜間走行を含め昼夜を問わず走行する方にとっては、安全性の観点から、視認性を意識したカラーを選ぶというのも一つの考え方になります。また、ヘルメットを頻繁に脱着するような”のんびりツーリング”を楽しみたい方は、ジェットタイプ(オープンフェイスとも呼ばれ、顎を含め顔が露出しているタイプ)やシステムタイプ(フルフェイスのような見た目でありながら顎の部分だけが上部に跳ね上げられる)も一つの選択肢ですね。

更には、ヘルメットの機能に何を求めるか、によっても選択が変わります。

例えば、走行中のヘルメットの不安定な動きを抑えたいのであれば、ライダーにかかる負担を軽減してくれる空力性能に優れたタイプ。あるいは、とにかく軽量であることを求めるのか、インナーバイザー(ヘルメットの内側に内蔵されたサングラスのような機能)などマルチな性能を求めるのか、などなど。

ヘルメット選びにおいては、ご自身の好み等もありますが、どのようなバイクで、どのような用途なのかをもとに、それに合った最適な機能や特徴を持ったヘルメットを選ぶことをおすすめします。

 

試着の時にはここをチェック!

次に、実際に試着する時の注意も伺いました。

 

まず被る時に両側の顎ひもを両手で持って開きます(ヘルメットを広げる)。

初めてヘルメットを被る人は、頭の上に乗せて無理やり押し込む人もいますが、肌や耳など傷めることもありますので、そばにいたら教えてあげてくださいね。

 

次に、正しい被り位置は、ヘルメット開口部の上ラインと眉毛の間に、指一本くらいの隙間が空くのが正しい位置とのこと。前のめりな状態だと視界を妨げる原因となりますので注意が必要です。

また、頬の圧迫が気になるからといって大きめのサイズを選ぶと、頭頂部が内装の天井に当ってしまい、頭痛の原因になることも……。頭を固定した状態でヘルメットを上下左右に捻り、ヘルメットだけ回るようでしたらオーバーサイズですので、1サイズ小さいものを試してみましょう。

正しい位置で被れたら、最後にフィット感の微調整です。

重要なのは、まず頭全体のフィット感を優先し、頬の部分(チークパッド)のフィット感は別で考えるということです。

頭全体のフィッティングは、ヘルメットのサイズ選びに左右されますが、頬のフィッティングは、後からでもチークパッドの変更で如何様にでも調整が効くということです。

なお、SHOEIでは、製品購入時に無料で頭部のサイズ測定から最適なフィッティングまでをアドバイスしてくれる「P.F.S.=パーソナルフィッティングシステム」というサービスを提供しています。サイズ選びが不安な方は、P.F.S.のサービスが受けられるショップに行かれることをお勧めします。

 

ライコランドTOKYOBAY東雲店のスタッフであり、SHOEIテクニカルショップ・アドバイザリースタッフの資格を有するチェさんに、実際に計ってもらいました。

 

日常使用の注意点とメンテナンス

次に、日常使用の際の注意点と、ヘルメットのメンテナンスについてもお伺いしました。

 

ヘルメットのNGな取り扱い

日常使用の注意点としては、安易にハンドルやミラー等、不安定な場所にヘルメットを掛けるのはやめていただきたいとのことでした。

理由としては、突起した部分でヘルメットの内装を痛める可能性があるほか、強風など何らかの原因で落下してしまうケースが多いためです。ちなみに、ヘルメットを一回落とすと、使えなくなるかどうか……という事はケースバイケースなので言えないそうですが、塗装も剥げてしまうでしょうし良ろしくない事は間違いないですね。

更には元々丸い形状のヘルメット。一回落ちたらゴロゴロと転がり傷だらけは必至です。

ライダーの命を守ってくれる最後の砦と思って、ヘルメットフックを利用する、安心できる車体に装着したケースへ収納、あるいは持って歩くのが安心ですね。

 

メンテナンスもしっかりと

これはライダーにとって永遠の悩みですが、走行中にムシやアスファルトのピッチ等でシールドが結構汚れますよね。シールドの汚れは走行の妨げにもなりますので、気づいたら早めに水拭きで汚れを拭き取り、その後乾拭きで拭きあげる方が良いとのこと。また、特にマットカラーのヘルメットはムシの汚れが浸透して跡になりやすいので、こちらも早めに拭き取った方が良いそうです。

コロナ禍もあって、アルコール入りの除菌ティッシュを持っている方も多いと思いますが、シールド等のコーティングを痛めてしまう可能性もあるため、アルコール入りのウェットティッシュは使用を避けた方がよいでしょう。

さらに、ヘルメット内部を清潔に保ち、臭いの発生を抑えるためにも、ツーリングなどの長時間着用の後は内装を外して中性洗剤で洗うことが推奨されています。

よく考えると、洋服は一度着たら洗濯するのに、ヘルメットの内装は臭くなってからというのはおかしな話ですよね。

 

ヘルメットにまつわる大事なポイント

あごひも、きちんと締めてますか?

最後に少し大事なお話です。

警視庁のデータによると、二輪車の死亡事故の場合、25%はヘルメットが頭部から脱落していたとのこと。

あごひもを締めていない事は、被っていないも同然となります。必ず、短距離であっても短時間であってもあごひもをしっかりと締めましょう。

 

安全基準を満たしていますか?

インターネット通販が普及して、海外メーカーのヘルメットはもちろん、逆輸入的に国内メーカーの海外向けヘルメットも簡単に手に入るようになりました。しかし、以下の3つについて、注意が必要です。

まず、やはり国ごとにヘルメットの安全基準が異なり、SHOEIでは製造のレシピも違うそうです。そもそも、ヨーロッパやアメリカといった欧米の人種(コーカソイド)と、アジア人(モンゴロイド)では、頭の形が違うので、日本人にはフィットしにくく頭痛の原因にもなります。

また、日本におけるPSC及びSGマークの無いヘルメットを使用していて事故が起こった場合、日本の安全基準を満たしていないヘルメットと判明され、保険が適応されないという可能性もありますので、特に注意が必要です。

 

へルメットの交換時期をご存知ですか?

日本ヘルメット工業会では、どんなに大事に扱っていても使用期限3年が推奨されています。

また、SHOEIでも使用開始から3年を目途に交換を推奨しており、以下のポイントをチェックして、一つでも当てはまるようならその時点での交換をお勧めしています。

  • 転倒してヘルメット(頭部)を打っている場合
  • 使用頻度が激しく、あごひもや内装にほつれや擦り切れが見られるとき
  • 内装のウレタンがへたり、ヘルメットがゆるく感じるようになったとき
  • ヘルメットを被って頭を軽く左右に振り、ずれてしまう場合
  • 発砲スチロールの内側の表面がボコボコとふくれあがり、黒く塗装される表面に白く亀裂が入っている場合

 

正しいヘルメット装着の重要性について語る田上さん

 

ヘルメットの生産数増加にユーザーの安全意識向上がうかがえる

SHOEIだけでも昨年のヘルメット生産は約67万個。そのうちの6割はフルフェイスタイプ。

また、ユーザーの志向としては、このところこだわりが高まり、被った時のフィット感はもちろん、所有するバイクとのカラーコーディネイトまで入念にチェックして買われる方も多いようです。

世界トップクラスの品質と言っても過言ではない同社の製品価格帯は、決してリーズナブルではないものの、販売実績は常に右肩上がりが続いているとのこと。

そして、この傾向は、ユーザーの安全意識向上と、ヘルメット購入の際の正しい選択によるものと思われます。

これからも正しくヘルメットを被り、楽しく安全なバイクライフを送っていただきたいと話す田上さんも、週末には大型バイクを駆るバイク女子でした。

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