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電動バイクに乗務している目瀬さん

電動バイクに乗務している目瀬さん

“エコ集配車”で好感度アップ!郵便配達に電動バイク本格導入へ

日本郵便は、今年3月末までに東京都内の郵便局39局へホンダ製の電動バイク計200台を配備し、郵便配達業務での運用を開始しました。2020年度は、東京および一部地方都市へ電動バイク計2,000台を配備していく計画となっています。ガソリン車から電動バイクに切り替えた郵便配達員は、「給油しなくて済む点が便利。街の人も好印象を持ってくれる」と、メリットを実感しています。

 

郵便配達に初めて電動バイクを導入

郵便配達用に導入された電動バイク

郵便配達用に導入された電動バイク

CO2の排出抑制など地球環境に配慮した社会づくりが求められるなか、日本郵便株式会社は、郵便物の集配業務に電動バイクを本格的に導入していく考えを打ち出しています。 すでに東京都内では、一部の地域で電動バイクによる郵便配達が始まっており、稼働は順調。排出ガスを出さずに静かなモーター音で走る集配車に、街の人たちの好感度も上々です。

 

日本郵便と本田技研工業株式会社(ホンダ)は、2020年1月17日、新宿郵便局(東京都新宿区)の大会議室で記者会見を開き、郵便配達業務における初の電動バイク導入を発表。同会場にて「電動二輪車 納車式」を実施しました。

 

全国初の「電動二輪車 納車式」 日本郵便・上尾崎幸治 執行役員(左)本田技研工業・安部典明 二輪事業本部長(右)

全国初の「電動二輪車 納車式」
日本郵便・上尾崎幸治 執行役員(左)本田技研工業・安部典明 二輪事業本部長(右)

ホンダから日本郵便に納車された電動バイクは、新型のビジネス用スクーター・ホンダ「BENLY e:Ⅰ」(原付一種)と「BENLY e:Ⅱ」(原付二種)。郵便仕様の赤色にカラーリングされ、集配ボックスなどを取り付けた特装車となっています。初めに新宿・渋谷・上野・日本橋郵便局の4局で試運転を開始し、3月末までには都内の主要郵便局39局(先の4局含む)へ合計200台が配備され、逐次、運用が始まっています。

 

将来を見据えた日本郵便の取り組み

津田紀彦さん

津田紀彦さん

日本郵便とホンダは2017年3月、協業に関する覚書を取り交わし、電動バイク等を用いた郵便配達業務を通じて、電動バイク等を有効に活用できる社会インフラ整備に取り組むことで合意。その後、電動バイクを運用するための実証実験などを行ってきました。都内郵便局への今回の電動バイク導入は、日本郵便とホンダの取り組みが本格的なステップに進んだものといえます。

日本郵便調達部専門役・津田紀彦さんは、「地球環境保全への意識が高まって、今後も排出ガス規制が強化されていくなか、永続的な郵便事業を続けていくには、電動バイクなどエコロジカルな車両による業務体制が必須なものになると考えます。今回導入した電動バイクは、配備先の郵便局から『使い勝手がよく、パワーもある』と好評で、今後の普及に手応えを感じています。引き続き業務での実用性と経済性を見極めながら、2020年度は東京と一部の地方都市の郵便局に、合計2,000台の電動バイクを導入する計画です」と語っていただきました。

現在、東京都内の郵便局には、郵便配達用の原付一種が約2,500台、原付二種が約5,900台、合計約8,400台が配備されています。日本郵便の試算では、2020年度末時点で、都内における郵便配達用バイクの約2割が電動車になる見込みとのこと。

 

電動バイクだと仕事の効率が上がる!?

気になるのは、電動バイクのメリットが仕事現場でしっかり発揮できているかということ。そこで、新宿北郵便局(東京都新宿区)を訪ね、電動バイクに乗務している社員に感想を尋ねてみました。インタビューに応じていただいたのは、同局第一集配営業部の郵便営業リーダーで、郵便配達歴は14年目という目瀬弘志さん。目瀬さんの担当エリアは戸建て住宅の多い区域で、普通郵便などの配達が主な業務。1人で1日約1,000通(400~500軒)の郵便配達をこなしており、通常、1日の走行距離は20km以上になるといいます。

 

電動バイクに乗務している目瀬さん

電動バイクに乗務している目瀬さん

目瀬さんは、「まだ乗り始めて2週間ですが、思っていたより出足がいいし、スピードも十分です。いちばんいいのは、なんといっても給油をしなくて済むということですね。これはけっこう大きなメリットだと思います」と話していただきました。

 

シート下にバッテリー装填

シート下にバッテリー装填

ガソリン車(原付二種)の場合、目瀬さんは、給油のタイミングを3日に1回行っていた。“ガス欠”を防ぐため、残量に余裕があっても補充するのが鉄則なのだといいます。しかし、給油できるスタンドが郵便局の近くに位置する1店舗に指定されているため、遠い配達先からだと20分以上の距離があったりします。このため、どの地点からどのタイミングで給油に向かうか、効率を気にしながら仕事をこなすことになるといいます。

 

郵便配達へと出発進行

郵便配達へと出発進行

「タイミングが悪いと、給油の順番待ちでけっこう時間が取られます。給油のために30分、40分と、仕事が押されることもあるのです。電動バイクだと、1日20~30km程度の走行ならバッテリーに余裕がありますから、仕事が終わってから充電しておけば、翌日はまた100%から使えます。業務効率を下げないし、心理的な負担がないのもいいですね」

 

仕事終わりに充電すればOK

仕事終わりに充電すればOK

 

先駆的な仕事をしている自負がある

電動バイクに切り替えてから、目瀬さんは、街の人が視線を向けてくることに気が付いたとのこと。わざわざ声を掛けてきて、「郵便局も電動バイクにしたんだね。静かだし、環境に良くていいじゃない」と、好印象を持ってくれているのだとわかったようです。

目瀬さんは、「電動バイクが世の中に広まる先駆的な取り組みに携わっている自負が湧いてきます。地域の人たちからますます愛されるように、電動バイクの良い面を仕事に生かしていきたいですね」と話していただきました。

なお、日本郵便とホンダは、郵便局を電動バイクの充電ステーションとして活用するアイデアも抱いており、社会インフラ整備に向けた次のステップを構想してきます。

 

JAMA 「Motorcycle Information」2020年5月号より

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