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アウトドアブランドから見る現在のバイクブームは?【mont-bell取材】

昨今、バイク業界は空前のキャンプブームとさえ言われるほど、老若男女問わずキャンプするライダーが増えている。1990年代からテントやシュラフを満載して北海道や東北などを旅するライダーが多く見られたが、近年では距離や土地に関係なく、若者を含め多くのライダーがバイクとキャンプ(アウトドア)を絡めて楽しんでいる。

こうしたトレンドに対して、アウトドア業界ではどのように捉えているのか?

 

コロナが猛威を振るった2020年を除き、2014年から徐々に平均稼働率を上げるキャンプ場。
一般社団法人 日本オートキャンプ協会 WEBサイトより(https://www.autocamp.or.jp/post-14578/)

そこで今回は、アウトドア関連製品を開発・販売する1975年創業のアウトドア総合メーカー株式会社モンベル(以下、モンベル) 広報部 安田翔平さんに話を伺った。

 

社内の声を重視した製品開発によって着実にファンを集めるモンベル

全国に130以上の直営店舗を持つ業界トップランカーのモンベルは、大阪の本社にある企画部にて常に新しい製品開発を行っている。日本国内のみならず海外にも展開しているモンベルのマーケティングは、意外にもデータや潮流よりも社員のアイデアを最優先とする方策がとられている。

直営店舗における売上動向やユーザーの声はもとより、アウトドアを心から楽しむ社員たちの意見や発想が製品づくりに反映される。こうした社内からの提案を受けるシステムがあり、世間の流行に左右されることなく、同社の起源となる登山ユーザー向けのモノづくりに軸足を置きつつ、遊びを実践する社員の経験をもとに製品開発がされている。

従って昨今のバイク業界におけるキャンプブームにも乗じる気配もなく「自分たちの欲しいものを作る」というコンセプトのもと実直に継続していた。

その結果、様々な特典が得られる同社の会員は、会費有料であるにも関わらず45年目にして100万人を突破している。

 

キャンプスタイルの多様化

キャンプのスタイルも、キャンプ場で料理、焚火、自然を満喫というベーシックなスタイルだけではなく、最近では、キャンプ場をベースに、そこから自転車で少し足を延ばしたり、他のアクティビティを楽しんだりという“ベースキャンプ”スタイルを提案している

 

登山やアウトドア使用における過酷さはバイク走行との共通点も多い

登山用品から始まったモンベルの製品ラインアップを見てみると、過酷な環境下での使用を想定した製品づくりがされている。そしてまた、同社のモノづくりにおける根底には、“Light & Fast”というコンセプトがある。アウトドアにおける極低温や風雨といった厳しい条件に対し、登山者にとって荷物の軽量化も重要な要件だ。風間深志氏の南極・北極冒険にもモンベルがサポートしていたのは有名な話である。

【冒険家 風間深志&俳優 風間晋之介】親子で語るバイクのルーツと向き合い方

 

アンダーウェアの生地についても化学繊維「ジオライン」と天然素材「メリノウール」の2種類の素材で、さらに厚さが3種類、計6種類のインナーが用意されているため、さまざまなシーンに応じて使い分けることができる。

モンベルのアイテムの中でも身体を動かすトレッキングやウィンタースポーツなど、発汗するアクティビティに対応した速乾性と保温性に優れたアンダーウェアは、ライダーからも多くの支持が集まっている。

 

軽量コンパクトな登山用品がライダーにも受け入れられている

アウトドアにおける製品開発の知見からライダー用に作られたレインウェア「ストームバイカージャケット」

モンベルの製品づくりにおけるコンセプトが、ライダーの求める要件と近しい点も多数あり、そこに気付いたライダーの需要が徐々に増えてきているようだ。

例えば“Light & Fast”の思想。製品が軽量かつコンパクトであることで迅速に行動でき、安全に結びつくというモンベルの製品づくりにおけるコンセプトだが、これはライダーにとっても、同じことが要求される。軽量でコンパクトな製品は、積載容量に限りのあるバイクにとっても重要な要件である。さらに、防寒・保温・速乾などの機能を要するウェアにおいても、真冬にバイク走行をするライダーにとっては重宝するだろう。また、キャンプスタイルが多様化するなかでバイクで行くキャンプも増えているのだろう。

 

「バイクもキャンプブームの恩恵を受けているのでは?」あるいは「アウトドアマーケットからバイクブームも注目されているのでは?」と今回モンベルを訪問して話を伺ったが、若干浅はかな仮説だったと反省した。モンベルはいわゆる流行には流されることなく、しっかりと地に足をつけ我が道を進んでいる、そして一方、アンテナの高いライダーの存在にも気づかされた、というのが取材を終えての考察だ。

株式会社モンベル

https://www.montbell.jp/

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