ファンが歴史を継承する間口の広いイベント「カワサキコーヒーブレイクミーティング(KCBM)」
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カワサキモータースジャパン(以下、KMJ)主催で、1998年から始まったライダーのためのミーティングイベント「カワサキコーヒーブレイクミーティング(以下、KCBM)」。
KCBMの目的は当初、カワサキのバイクを愛するライダーたちが、より楽しくバイクライフを送るための場を提供することでした。それから回を重ねるにつれてカワサキファンにとどまらず多くのライダーに愛されるイベントへと成長し、現在ではライダーとしての責任を自覚していただくとともに、バイクを運転するときには自分だけでなく周りの環境に配慮したマナーアップの啓発活動を行うことも目的となりました。
2022年もKCBMは、新型コロナウイルス感染症対策を講じながら6つの会場で開催され、合計18,002人のライダーが参加。特に2022年10月に佐賀県吉野ヶ里歴史公園西口臨時駐車場で開催されたイベントでは、一回のイベントとしては最高記録となる4,569人の来場者を記録しました。
そして、2023年にKCBMは25周年を迎え、初めてのスペシャルイベントがオートポリスサーキット(大分県)で開催され、1,970人のライダーが集まりました。
このように、KCBMはライダーとの接点を大切にし、バイクライフをより楽しむための重要な場として年々ファンを拡大しています。そこで今回は、ライダーとの接点作りを精力的に続けるKCBMがライダーに愛される理由とその真髄について知るべく、2023年6月18日に開催されたKCBM in秋田(@旧秋田空港跡地)を訪れ、KMJ/CS部KAZE運営課の安岡義人さん(以下、安岡さん)にお話を伺いました。
自由な楽しみ方と間口の広さでブランドの魅力を伝えるKCBM
“カワサキ”と聞いて多くのライダーが “時代に流されることのないバイク(特に大型スポーツバイク)”を作り続ける、歴史に裏打ちされた質実剛健なイメージを持っている方も多いことでしょう。
たしかに、他と比べて気骨あるデザインかつ大排気量の車両ラインアップが豊富であることから「我が道を突き進む姿勢=ワイルドで男らしい」というイメージにつながるのかもしれません。しかしながら実際にKCBMの模様を見てみると、来場者に対してとても気さくで細やかに対応されており、旧型絶版モデルを大事に乗り続けるユーザーから、ニューモデルに乗る新規/リターンライダーまで、新旧問わず敷居の低いオープンな印象を受けました。
イベントの開始と同時にKAZEギャルがステージに登場し、来場者を温かく迎えました。
また、今回はジャパンライダーズアンバサダーの梅本まどかさんが特別ゲストとして初来場し、ジャパンライダーズ宣言募集と交通安全の啓発を呼びかけました。
そして、KAZEギャルは新規オープンのカワサキプラザ山形、カワサキプラザ秋田のブースを筆頭に、すべての出展ブースを訪れて盛り上げていきました。こうしたフランクな対応も会場の雰囲気を和らげることに一役買っているのかもしれません。
KCBMの会場内にステージこそあるものの分刻みのステージイベントがあるわけではなく、来場者が自由に楽しみ方を見いだすのが基本スタンスです。
そのため、「コーヒーブレイク」という名の通り、無料で提供されるコーヒーを楽しみながら、一緒に来た友人や会場で知り合った仲間と、はたまたメーカーの方々と、バイクを軸に交流するのも楽しみのひとつです。また、出展ブースや会場に並んだ来場者の愛車を見て回るという楽しみ方もあります。
入口で迎えるKAZEギャル※は、KCBMのデザインが施された開催記念マグカップの購入を勧めながら気軽にツーショット撮影にも応じていました。
秋田県では2011年以来、4回目の開催ということもあり、当日限定の記念レーザー刻印を施してくれるブースには長蛇の列ができていました。
※KAZEギャルとはレースクイーンとしても活躍するカワサキイメージガールたちのこと
バイクを共通言語に年齢・性別を超えた交流が生まれる
こちらは、先ほどKCBMの楽しみ方の一例として挙げた来場者用バイク駐車場の様子。
さすがはKMJ主催のイベントだけあって、最新モデルのみならず、ご覧のとおり各年代のカワサキ製銘車もズラリと並んでいました。
若年層ライダーにとっては新鮮に映り、ベテランライダーには懐かしくもあり当時注目の的だったこれらのモデルを眺めながら、年齢や性別、職業やバイク歴など一切の分け隔てなく交流する様子を目の当たりにし、KCBMが支持されている理由を理解しました。
KCBMがツーリングのきっかけに
KCBM in秋田に埼玉県から2台で参加していた20代の男性二人にお話を伺うことができました。
MKさん:前日の夜9時に埼玉を出発して、朝の5時半頃に秋田に到着しました。もちろんETC定率割引を使いました。
バイクに乗りたいと思ったきっかけは、友人のバイク納車日に付き合いでバイク屋さんに同行した4年前のことです。これまでになくバイクを間近に見るきっかけとなり、その時にバイクへの興味に火がついてしまいました。
KKさん:スポーツタイプのバイクには乗っているものの、峠道などのワインディングロードへは行かないんです。本当に普段から構えずに乗っていて、どこかへ行ってみたいという動機も、テレビ番組などで紹介された名所や、道の駅、美味しそうなグルメを見て、そこへ気軽にツーリングに行くというパターンです。ちなみにKCBMは3回目の参加です。
実は母親がキャンプ道具を一式持っているので、今年こそ道具一式を借りて“キャンツー”するのが目標です。
MKさん:“キャンツー”は、「事前の準備」から「目的地へ向かうこと」「現地でのキャンプ」と、全てのプロセスが楽しみなんです。KCBMは今回で4回目の参加ですが、到着したときの達成感はもちろん、他のユーザーの様々なバイクを一気に見ることができてとても楽しいです!
選んだバイクのスタイルに捉われることなく自由にバイクライフを楽しんでいる様子は、現在のバイクブームを映すリアルな意見としてとても参考になりました。
バイクを愛でる家まで建ててしまったご夫婦
秋田県開催と聞いて1976年式のKZ900でKCBMを訪れた秋田県在住のご夫婦にもお話を伺うことができました。
「ゼファー」「GPZ900R Ninja」「Z1000MarkⅡ」など、歴代のカワサキ銘車を乗り継いできたというSYさん。今回のKCBMには二人乗りで参加されていましたが、なんと現在、奥様も免許取得中とのことで、いずれは夫婦でツーリングをしたいと笑顔で話してくれました。
ご夫婦の住むここ秋田県では、田沢湖や仁賀保高原など、家を出てから渋滞の心配もなく気持ち良く走れる環境がたまらなく楽しくて、バイクのために家を作ってしまったそうです。
バイクを肴にグラスを傾ける、そんな羨ましいライフスタイルを手に入れたSYさんは、奥様と美味しいグルメを探し求めるツーリングや、毎年春と秋に筑波サーキットで開催されるテイストオブツクバ(通常TOT)にバイクで観戦しに行くことに胸を膨らませていました。
バイクを楽しむ喜びの醸成へと進化
12時半をまわり、イベントを締めくくるステージイベントが始まりました。KAZEギャルが免許証の確認をして、最年少の来場者や最も遠くから来た来場者(愛媛県から参加)に特別なプレゼントを進呈し、最後には来場者参加型のじゃんけん大会でイベントを締めくくりました。
イベント会場では、久しぶりの再会に話が弾むライダーから、遠方からロングツーリングに挑戦した若者ライダー、つかの間の非日常を求め趣味と休息を兼ねて訪れたご夫婦ライダーなど、さまざまなライダーが思い思いに楽しむ姿が見られました。
“モノからコトへ”という価値提供の枠を超え、バイクを楽しむ体験価値と喜びの醸成へと進化を続けるKCBM。
KCBMは今後もバイクに乗り続ける動機を作り出しながら、新旧問わずあらゆるファンがカワサキブランドに触れる喜びや歴史を継承する特別なイベントとして、ユーザーの心を掴み続けながらさらなる発展を続けるのではないでしょうか。