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合言葉で覚えるメンテナンス!バイクの日常点検

大切な愛車と長く付き合っていくうえで必要なメンテナンスの知識は正しく知っておきたいところです。初心者でも点検に使える基本的なバイクのメンテナンス方法が【ネンオシャチエブクトウバシメ】という合言葉にまとめられており、警視庁から「バイクの点検ポイント」として愛車のメンテナンスに役立ててもらうよう呼びかけています。今回はその内容を解説します。

合言葉は【ネンオシャチエブクトウバシメ】

【ネン】燃料

ガソリンの残りや漏れのチェック

ガソリンはバイクを動かすために絶対必要なもの。燃料切れを起こすと、当然ながらバイクは動かなくなってしまいます。一般道であれば、近くのガソリンスタンドまで押して歩くか、JAFなどのレッカーを呼ぶことになるでしょう。また、高速道路での燃料切れは路肩に止めざるをえず、大変危険です。

最近のバイクは燃料計がついていることが多いですが、できればガソリンキャップを開け、車体を左右にゆらして残量を目視で確認しましょう。その際、燃料が漏れていないかのチェックもしてみてください。

【オ】オイル

オイルのチェック

バイクにはさまざまなオイルが使用されていますが、ここでは主にエンジンオイルのチェックについて説明します。数多くの機械部品が高温・高速で擦りあうエンジン内部は、潤滑のためのオイルが重要です。しかし、エンジンオイルは走行距離や経年により劣化するため、バイクの説明書に記載された交換時期を確認し、定期的に交換しましょう。

また、記載の交換時期に達していなくても、オイルが黒く劣化していたり、白っぽく乳化していたら要交換です。加えて、オイルが減っていることもあるので、オイル量も定期的に点検しましょう。一般的には、走行距離3,000〜5,000km、または6ヶ月での交換が推奨されています。

【シャ】車輪・タイヤ

タイヤのチェック(空気圧と溝の深さ、ヒビや傷など)

バイクの走行中、路面に触れる唯一のパーツがタイヤです。タイヤのグリップ力維持はバイクを安全に走らせるために重要です。

まずはタイヤの空気圧をチェックしましょう。適正空気圧は通常、ステッカーがチェーンガードなどに貼ってあります。見当たらない場合は、インターネットなどで検索してみましょう。空気は自然と抜けていくので、最低でも1ヶ月に1回はチェックしてください。

タイヤ側面には三角マークがあり、そのマークの延長線上の溝部分に「スリップサイン」があります。スリップサインは溝が少し浅くなっていて、タイヤがすり減るといち早く、タイヤ表面と同じ高さになるのです。このスリップサインが出たら、タイヤ交換の合図です。可能なら、完全に同じ高さになる前に交換しましょう。

他に釘などの異物が刺さっていないか、側面がひび割れていないかなどをチェックしましょう。

【チエ】チェーン

チェーンの遊びやたるみ、オイル(錆び)

エンジンのパワーを後輪に伝えるのがチェーンの役割です。走行時にチェーンには大きな負荷がかかるのですが、チェーンが張っていると力が逃げずに最悪切れてしまうことがあるため、チェーンのテンションに余裕を持たせる「遊び」が設けられています。一方で緩すぎるとエンジンのパワーを正しく伝えられないうえに最悪チェーンが外れるおそれがあるため、張りすぎず緩すぎず、といった適度な遊びが必要になります。

バイク停車時にチェーンを上下に動かして遊びの量を確認しましょう。車種によって多少異なりますが、オンロードモデルで2〜3cm、オフロードモデルで3〜4cmの遊びが適正値とされています。

チェーンの錆びチェック、そしてチェーンの給油も行いましょう。給油方法は、まずチェーンクリーナーで古い油汚れを落として清掃し、それからチェーンルブ(防錆潤滑剤)を吹きかけてやります。雨天走行後は洗い流されたりするので、錆びチェックと給油は行うようにしましょう。

【エ】エンジン

オイル漏れやラジエターからの水漏れ、異音など

エンジンを始動してみて、ガチャガチャといった不快な機械音がしないかを確認しましょう。オイル漏れによってエンジン内のオイル量が減っていたり、タペット調整が必要だったりと、エンジンの異音は何かしらのサインであることが多いです。

異音がしていなくてもエンジン周辺を確認して、オイルやラジエターフルード(冷却水)が漏れていないかチェックしましょう。

【ブ】ブレーキ

効きは悪くないか、フルードの量は適切か

重要なパーツであるブレーキもしっかりチェックしておきたいところです。まず、走行前に必ずブレーキが効くかを確認しましょう。エンジンをかけていきなり走り出す人もいますが、少しでいいのでエンジンはかけずにまずは手で押して、ブレーキをかけてみてください。

ブレーキフルードやブレーキパッドの残量も定期的にチェックしましょう。少しでも違和感や不安を感じたら、走行はやめて、専門店で点検してもらうことをおすすめします。

【ク】クラッチ

切れはよいか、伸びていないか

クラッチは多くの場合、ワイヤー式を採用しています。ワイヤーは性質上、使っているうちに伸びてきます。クラッチワイヤーが伸び切ったまま使用していると、しっかりとクラッチが切れなくなります。クラッチレバーを握ったり離したりして、クラッチがしっかり切れているかをチェックしましょう。切れにくくなっている場合は、レバーの手元にあるダイヤルで調整します。レバーの位置も調整しましょう。

まれに油圧式クラッチを採用しているモデルもあります。その場合は、フルード(油圧ブレーキ用の作動液)の残量を確認してください。

【トウ】灯火類

前照灯、ウインカーはきちんとつくか

ヘッドライトやウインカー、テールランプの点灯チェックをしましょう。ブレーキレバーやブレーキペダルを入力しながら、車体後方のブレーキランプがついているかを確認するのはなかなか難しいので、車体後方に何か光を反射するものを置いたり、反射するものの前に駐車してチェックするのがおすすめです。

【バ】バッテリー・ハンドル・バックミラー

バッテリー弱り、ハンドルガタ、ミラーはきちんとついているか

バイクの始動スイッチであるセルスイッチを押したときにセルモーターがしっかり回らなければ、バッテリーが弱っている可能性があります。最近のモデルではバッテリーが上がってしまうとエンジンがかけられなくなるモデルも多いため、エンジンのかかりが悪かったり始動しない場合はバッテリーの確認をしましょう。

その他、ウインカーをつけたらヘッドライトが暗くなったり、メーター内のインジケーターランプが暗くなったりした場合も、バッテリーが弱っているサインです。

ハンドルのガタは、バイクに跨ってハンドルを前後に振ってみて確認します。しっかりホールドされていればOK、多少でもガタガタとおかしな動きをしたら、ハンドルポストを増し締めしましょう。またバックミラー(サイドミラー)も緩み等がないか確認しておきましょう。

【シメ】各部締め付け

締め付けネジ部に緩みやたるみはないか

最後に、各部の締め付けねじ部に緩みがないかをチェックしましょう。前後ホイールの中心軸であるアクスルシャフトやサスペンションの取り付け部、ボルト留めされているネジ部の緩みチェックをします。緩みを感じたら、愛車を点検してもらっているバイクショップに相談しましょう。整備士資格のない方が自分の手で増し締めをすると、オーバートルク(規定を超えるトルク値で部品を締め付けること)になる危険性があるので、整備士の方にお願いするのがベストです。

コンパクトにまとめた【ブタと燃料】も覚えておこう

10項目にわたる点検項目について解説しましたが、これを走行前に毎回やるのは大変です。そこで、特に安全に関わる4項目に絞った【ブタと燃料】を紹介します。

【ブ】ブレーキ

【タ】タイヤ

【と】灯火類

【燃料】ガソリン残量

その内容は、上記の中から【ブ】ブレーキ、【タ】タイヤ、【と】灯火類、【燃料】ガソリン残量の4項目をピックアップしたもの。もちろん、10項目すべてを点検することをおすすめしますが、例えば通勤や通学などで毎日バイクに乗る人は、この4項目を常に確認し、週に1回は10項目をあらためて確認することをオススメします。状況に応じて点検を実施してみてください。

安全なバイクライフのためのメンテナンス

バイクは走行距離を重ねることで、各部が必ず劣化します。性能に優れた近年のバイクでも、劣化した部分があるとそのモデル本来の性能を楽しめないのはもちろん、安全性にも問題が出てしまいます。

今回紹介した【ネンオシャチエブクトウバシメ】は、バイク初心者でも比較的チェックしやすいものばかりです。愛車を調子よく、そして安全にバイクライフを楽しむためにも、ぜひ実践してみてください。

なお、ご自身でできるメンテナンスは必要ですが、しっかりとしたメンテナンスはプロのメカニックに診てもらうのが一番です。定期的にバイクショップでの定期点検をお勧めします。

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