安全なライディングに不可欠なタイヤのメンテナンス「空気圧」の重要性を学ぶ
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タイヤはバイクが路面にコンタクトするための唯一の重要なパーツであり、性能やコンディションによってライディングに大きく影響する重要なパーツです。空気圧のチェックはタイヤのメンテナンスにおける基本で、そのチェックをおろそかにするとバイクを安全に走らせることができなくなります。こまめなメンテナンスが必要な理由と、正しいチェック方法をご紹介します。
タイヤの空気圧チェックが大切なワケ
教習所ではバイクに乗るたびに確認するようにと習ったものの、面倒で後回しにしたり、やろうと思いながも忘れてしまったりと、タイヤの空気圧チェックをおろそかにしている人は少なくないでしょう。
タイヤの空気圧トラブルとして、主に四輪車で耳にする「スタンディングウェーブ現象」というものがあります。これは、タイヤの空気圧が低いままスピードを出して走ると高速回転によってタイヤがたわみ、まるでタイヤが波打っているような現象のことです。これによってタイヤは大きく痛み、最悪の場合はパンクやバースト(破裂)を引き起こしてしまいます。四輪車と二輪車とではタイヤの形状や構造、荷重の掛かり方など異なる部分があるため、稀ではあるものの二輪車で絶対に起こらないとは言えない現象です。
スタンディングウェーブ現象は、タイヤの空気圧不足が引き起こす最悪の現象ですが、そこに至らずとも、タイヤの空気圧が基準値に達していないことで発生する弊害が存在します。
タイヤの空気圧が基準値に満たない状態だと、十分に空気が入っているときよりもタイヤが潰れた形で走ることになり、偏磨耗(※)が発生してタイヤを痛めたり、耐久性を損なわせてしまいます。さらに燃費の悪化や、さらには、ハンドリングにも影響して事故につながることもあります。
※偏摩耗とは、路面との設地面となるタイヤのトレッドが諸条件によって部分的に異常に磨耗する現象のこと
逆に、タイヤの空気圧が基準値よりも高い場合は、地面との接地面が少なくなってグリップ力が損なわれ、空気圧が足りない場合とは違った偏摩耗を起こしてしまいます。タイヤを痛めることで交換タイミングを早めてしまうと、経済的なダメージにまで及んでしまいます。タイヤの空気圧チェックをこまめにすることで、安全性の確保はもちろん、タイヤを長持ちさせられることでバイクライフを長く楽しめられるのです。
空気圧のチェック方法
最低でも1カ月に一度は空気圧点検を
タイヤは、バイクに乗っていなくても自然に空気圧は下がっていきます。車両の保管状況によって多少異なりますが、おおよそ1カ月に5〜10%ほど空気圧は下がると言われています。バイクの場合はフロントとリアでエアボリューム(タイヤの空気量)が異なっていて、リアよりもフロントのエアボリュームが少ないのです。ハンドリングに直結するフロントタイヤの空気圧の低下は、ライディングそのものに大きな影響を与えます。フロントはもちろん、リアもしっかりチェックするようにしましょう。
空気圧チェックの頻度は、多ければ多いほどいいのですが、「乗るたびにチェックするのはちょっと」という方は、最低でも1カ月に一度のチェックは必ず必要です。
メーカー指定空気圧を把握する
タイヤの空気圧は、そのバイクのメーカーが指定する基準値が設定されています。基準値は車種ごとに異なるので、車体のスイングアームやチェーンカバー、フェンダーの内側などに基準値を記載したステッカーが貼られているので、そちらをご確認ください。
「タイヤ空気圧」のステッカーには、「2名乗車時(積載時)」と「1名乗車時」それぞれの数値が記載されています。乗車状況に適した数値に則って空気圧を整えましょう。
このステッカーがなくなっている中古車などを購入した場合は、購入したバイクショップやメーカー系列ショップで確認するか、「車種名 空気圧」でインターネット検索すると情報が出てくるので調べてみてください。
空気圧の調整方法
一般的な自転車の手押しや足踏み式の空気入れや、コンパクトなエアーコンプレッサーとエアーゲージを購入すれば自身でも行えます。使い方も簡単で、エアーコンプレッサーにエアーゲージを取り付け、エアーゲージのチャック(空気の噴出口)をタイヤがわのバルブに差し込んで空気を入れていきます。エアーゲージの目盛りを見ながら基準値に達するよう送り込んでいくのが基本です。
近年はいくつかのメーカーから、空気圧の数値を入力すると自動的に適した空気を注入してくれる電動エアポンプが販売されています。デジタル表示されるエアーゲージ機能が備わっていて利便性も高いので、こちらも選択肢に加えてみてください。
エアーコンプレッサーやエアーゲージを購入せず、お手軽に済ませたいという人はガソリンスタンドやバイクショップ、バイク用品量販店、タイヤ専門店などでチェックすることをおすすめします。
ガソリンスタンドやバイク用品量販店での空気圧チェックは、セルフが一般的です。思っているほど難しい作業ではありませんが、初めて空気圧チェックに行く人は事前にHowTo動画などを見ておくとスムーズにできます。
自動車への対応が主なガソリンスタンドでは、エアーを送り込むバルブが真っ直ぐなタイプになっています。それだとバイクの場合、ホイールが干渉して差し込み口に入らないことがあります。バイクショップやバイク用品量販店といったバイクの取り扱いを心得ているお店ならそのような心配はありませんが、ご自宅でチェックしたり、ガソリンスタンドを利用される方はあらかじめバルブの形状を確認しましょう。
タイヤ専門店などでは、空気よりも抜ける速度が遅くて、空気以上に適正な空気圧を保てる「窒素ガス」を勧められる場合があります。窒素ガスの充填は空気を入れるよりもコストがかかりますが、温度変化にも強い側面もありますので、機会があれば是非試してみてください。
習慣化したいメンテの基本
タイヤの空気圧調整はメンテナンスの基本ですが、習慣化している人は決して多くありません。特に寒い季節だと、乗る頻度が減りタイヤの空気が下がった状態で、そのまま走り出したところバイクの動きが不安定になることも珍しくありません。
タイヤは、バイクの挙動に大きく影響するので、常に安定したコンディションを保っていないと、バイクの性能を正しく発揮できなくなってしまいます。タイヤのメンテナンスの中でも、空気圧のチェックは基本のキ。バイクと同様にタイヤにも愛情を注ぐ意味でも、こまめな空気圧のチェックを心がけてみてください。