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【習慣化してほしい】バイク用タイヤの定期的な点検とメンテナンス

バイク走行時に唯一路面と接地している箇所、それがタイヤです。つまり、バイクの安全性とパフォーマンスを最大限に引き出すためには、タイヤの定期的なチェックとメンテナンスが必要不可欠です。

2021年にJAFを取材した際のデータによると、高速道路および一般道路における出動要請で燃料切れに続き、二番目に多いのがタイヤトラブルです。パンクやバースト(破裂)、空気圧不足など、タイヤの問題はライダーの安全に多大な影響を及ぼします。

【JAF調査2021】バイク乗車前にチェックすべきポイントとは?

 

そこで今回は、世界トップクラスのタイヤブランド「DUNLOP(ダンロップ)」を展開する住友ゴム工業株式会社 第二技術部の大谷 匡史さん、技術サービス部の阿部幸也さんに、タイヤの保管方法、ツーリング前のチェックポイント、さらにはタイヤの開発について、深く掘り下げてお話しを伺いました。

 

タイヤをチェックするうえで重要な4つのポイント

 溝深さ

タイヤには溝が切ってあります。この溝はバイクが安全に走行するために欠かせないものであり、タイヤが擦り減って溝の深さが足りなくなったら新品のタイヤに交換しなければなりません。バイク用タイヤの場合、残り溝が0.8mm以下になるとスリップサインというタイヤ交換時期を表すサインが露出します。スリップサインの出ているタイヤのまま走行していると、整備不良車両とみなされ交通違反となるほか、安全性のためにもスリップサインが表面に現れる前に新品タイヤへの交換を推奨します。
※道路運送車両の保安基準第9条には、タイヤの使用限度は残り溝0.8mmと明記されています。

 

偏摩耗状況

イラストは四輪のタイヤです

偏摩耗(かたよった減り方)は、振動やタイヤ寿命の低下、走行音の増大などの原因となります。偏摩耗が見られたら早めにバイクショップに相談しましょう。

 

外観(外傷・ヒビ割れ)

タイヤのトレッド面※1やサイドウォール※2に異物が刺さっている、またはタイヤ内部のコード※3に達している外傷、ヒビ割れがあるタイヤは、タイヤ損傷のリスクがあるため継続使用せず交換を推奨します。気になる症状が見られた場合には、継続使用可否について一度バイクショップに相談しましょう。
※1: タイヤが路面と接触する部分
※2: タイヤ側面
※3: タイヤの形状を保持するための補強材

 

使用年数

タイヤはゴム製品であり、経時変化(経年劣化)により特性が変わります。劣化度合いは環境条件、保管条件、使用方法(荷重、速度、空気圧)などに左右されますが、基本的には使用開始後5年以上経過したタイヤについては、継続使用に適しているかどうか、すみやかにバイクショップで点検を受けることを推奨します。また、外観上使用可能のように見えたとしても(溝深さが法律に規定されている値まですり減っていない場合も)、製造されてから10年以上経過したタイヤは新しいタイヤに交換することを推奨します。

たとえ自分の所有しているバイクで、自分しか利用していないバイクであっても、他人から譲り受けたバイクであっても、上記のチェックポイントをしっかりと確認することが重要です。

 

ツーリング前のチェックポイントは?

ツーリング前の基本的なタイヤ点検項目は、外観確認(釘などの異物が刺さっていないか、外傷がないか)と空気圧チェックの2点です(前記の日常点検を定期的に実施している前提でのチェック項目)。

特に空気圧については定期的な点検が必要です。タイヤの空気圧は自然に低下していくため、タイヤメーカーとしては「1ヶ月に1回」の点検を推奨します。点検のタイミングは、走行によってタイヤ内部温度が上がる前(冷間時)が望ましいです。また、空気圧を測定するエアゲージは測定値に個体差がありますので(特に安価で簡易的なものは測定誤差が大きい)、ご自身のマイエアゲージを所有されることをおススメします。

 

また、その際の空気圧(車両標準空気圧)については、ほとんどの車両がスイングアームやチェーンガードなどに表示されているほか、取扱説明書やメンテナンスノートなどにも記載されています。インターネットで調べた数値が間違っている場合もありますので、もしも不明の場合はバイクショップまでお問合せいただくことをおすすめします。

 

タイヤの劣化と保管方法

タイヤはゴム製品であり、紫外線、オゾン、熱、油などが劣化の要因となります。特に直射日光や雨、熱源、電気火花の出る装置や海辺などオゾンの発生し易い環境は避けましょう。タイヤの保管には、涼しく暗い場所(屋根付き車庫など)で専用カバーを掛けることが理想的です。また、タイヤの洗浄は水洗いが基本で、洗剤やツヤ出し剤、タイヤワックスなどの使用はタイヤ表面の劣化防止剤の失活を促し、ヒビ割れなどの劣化を助長する可能性がありますので、タイヤメーカーとしては推奨されていません。
※劣化防止剤:ゴムに含まれる薬品名で走行によりタイヤ内部から表面に染み出すことで、オゾンや熱からゴム(ポリマー)を保護し劣化を抑制します

 

バイクの進化につれてタイヤはどのような進化(変化)をしている?

バイク用のバイアスタイヤは乗り心地が良い、旋回力が高いという特徴を持っており、
またクルマ用と比べて高速耐久性が高い為、クルマ用と比べてラジアル化が遅れましたが、1983年に実用化され、1983年に実用化され、その後は急速に発展してきました(クルマ用では1948年に実用化)。

ラジアルタイヤは強靭なベルトを持ち、高速でも遠心力による外径変化が小さいため、高速耐久性能を高めることができるメリットがあります。また、タイヤ幅のワイド化、低偏平化により、よく曲がるタイヤとなりました。

旧型車に装着されているタイヤをイメージしていただけると分かり易いですが、細くて高偏平のバイアスタイヤから、太くて低偏平の現代のラジアルタイヤへと進化していったのです。また、トレッド剛性の高さから、ラジアルタイヤはバイアスタイヤと比べて乗り心地が劣るという特徴がありましたが、コンピューターシミュレーションなどの最新技術を駆使することで乗り心地を向上させています。

このように、車両の進化や高速化に比例してタイヤ性能も大きく進化しているのです。

 

電子デバイスとタイヤの関係

ABS(アンチロック・ブレーキシステム)やトラクションコントロールなどの電子デバイスの登場により、ブレーキング時やトラクション付加時の挙動、リアタイヤの摩耗形態が異なってきています。これに対応するため、最新の車両に合わせた配合、構造チューニングが行われています。

電子デバイスの登場でタイヤの基本設計が大きく変わることはありませんが、車両のチューニングは主に新車装着タイヤで行われるため、新車装着のタイヤ特性が市販タイヤの相場値から大きく離れないようにするなど考慮しながら開発が進められています。

 

タイヤブランドとしてライダーに伝えたいこと

ダンロップサーキットステーションの様子

一般的にバイクを楽しむライダーの方がタイヤカタログをじっくりと見る機会はなかなか無いかもしれません。

しかし、市販用タイヤはそれぞれのパターン・シリーズで特徴を持たせて開発を行っており、例えば、スポーツタイヤは軽快で思う通りに曲がるハンドリング性能を、ツーリングタイヤは優れた乗り心地やハンドリングで“疲れにくさ”を実現しています。

履き替えるタイヤを検討される前にそれぞれのタイヤが持つ特長を確認し、自分のバイクライフに合ったものを選ぶことでタイヤ性能を実感する楽しみも増えます。

 

梅雨明け間近、ご自身のバイクのタイヤ点検はもとより、仲間のバイクに異変を感じたら迷わず教えてあげましょう。タイヤの知識を持つことで、より安全で安心に楽しいバイクライフを送ることができます。ぜひタイヤの点検を習慣化されてみてはいかがでしょうか。

DUNLOP二輪用タイヤ公式サイト

https://dunlop-motorcycletyres.com/products/

DUNLOPサーキットステーション2023

https://dunlop-motorcycletyres.com/circuit_station2023/

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