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画像提供:渥美半島観光ビューロー「朝活cafe 蔵王山展望台集合写真」(2023年11月)

【今年注目!】広がる新しい取り組み「朝活Cafe」とは?

昨年5月の新型コロナウイルス第5類移行に伴う行動制限緩和により、少しずつ今までの日常が戻ってきました。読者のみなさまも久々にロングツーリングへ出かけるなど、気兼ねなく休日を過ごせている方も多いと思います。同様に二輪業界でもリアルイベントが再開されつつあり、各地でミーティングを楽しむライダーの姿を多く見かけました。さて、今回の記事ではそんなリアルイベントのなかでも特にユニークなバイクのミーティングイベント「朝活Cafe」に注目し、ご紹介していきます。

ところで読者のみなさまは「朝活」というワードをご存知ですか?これは普段の起床時間より少し早めに活動を始めることにより一日を有意義に過ごすことが目的で、ランニングなどの適度な運動をしたり、カフェでゆっくりと朝食を楽しんだり、朝の時間を趣味や勉強などに充てる活動です。

そして、今回ご紹介する「朝活cafe」の開催時間は午前6時〜9時と、バイクのミーティングイベントとしてはあまり聞いたことのない時間帯。では、いったいどのような背景でイベント開催に踏み切ったのでしょうか?気になる開催までの経緯や狙いについてお話を伺いました。

きっかけはデイトナと設楽町の観光パートナー協定

ことの発端はさかのぼること5年前の2019年8月、パーツメーカーの株式会社デイトナ(以下、デイトナ)と愛知県設楽町(したらちょう)観光協会の観光パートナー協定締結をきっかけに、バイクを観光施策に強く組み込んだ町づくりがスタートしました。

2021年5月にオープンした「道の駅したら」もバイク専用駐車場を40台分設置するなど、ライダーに配慮した工夫が施されており、休日の朝の利用者を対象とした効果測定を2022年同年8月〜10月の約2カ月間にわたって実施し「朝活ライダー」の需要を狙った取り組みが行われました。

たしかに、休憩スポットとして道の駅を利用するライダーをよく見かけるため、町おこしの要素として行政機関がそこに注目するのも頷けます。

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テスト運用を経て本格開催へ

前述のテスト運用を経て、設楽町とデイトナは翌年にイベントの開催を決定しました。

観光パートナーである同社は、はじめにロードマップの調査およびイベントコンセプトの構想に着手しました。その際、設楽町の地域特性と併せて、ある特定の利用者に注目しました。それは日中の家族サービスに配慮し、趣味の時間として早朝を選ぶ「家族を持つライダー」です。

こうした取り組みの結果、県内における片道1時間弱のショートツーリング感覚で集まれる範囲内に、トイレやオープンスペースといった設備が充実し、イベント終了後に購買が期待できるショップも併設されているスポット(開催候補地)がいくつか点在していることも把握できたため、朝活Cafe計画が本格的に動き始めました。

そんな同計画は、都市部から郊外へのライダー誘致手段の一つとして期待され、参加者のSNSなどによる口コミ新規獲得のほか、現地で知り合ったライダー同士のコミュニティの広がりなど、新たな観光資源としてのポテンシャルを大いに秘めています。

現場スタッフのモチベーション維持にもつながる

そんな期待が込められた「朝活Cafe」は、喜ばしいことに開催直後から十分な反響を得ることができました。設楽町観光協会によると「朝活Cafe」は昨年5月の「道の駅したら」、6月の「だみねテラス」のほか「遊べる花屋」の計3ヶ所で開催されました。各地で配布したノベルティステッカーも合計5,000枚を越え、参加者もほぼ同数という結果でした。

さらに物販成績も好調で「だみねテラス」に隣接する田峰特産物直売所の売上は前年比130%を記録しました。イベント参加者のなかには開催スポット全てを巡るリピーターも見受けられたと言います。また、こうした活動は早朝から働いているスタッフのモチベーション維持にもつながり、バイクへの理解や、おもてなし意識の向上、雇用創出、新商品開発などにもつながっているとのことです。

朝活Cafe参加ライダーは隣県から:設楽町の狙い的中

イベント開催にあたり予測された参加者の分布は見事的中し、当日は浜松や名古屋ナンバーが多くみられ、まさに「朝活ライダー」が集まる結果となりました。さらに年齢層は20代から60代と幅広く、リピーターも増えているそうです。

こうしたリピーターのなかには、やがて顔見知りとなって新しいコミュニティが形成されることもあるそうです。また、早朝にも関わらず提供される朝食メニューが実に魅力的。ゆったりできる空間で食卓を囲むことで、ライダー同士の親交も自然と深まります。

なお、メニューは開催スポットごとに異なるそうで、こうした点も参加者がリピートしたくなる魅力の一つとなっています。

設楽町 の成功を見て影響された他の市町村も

これまで紹介してきた「朝活Cafe」の盛り上がりを見て、自分の地域でも開催してみたいと考える自治体もあるそうです。設楽町の姉妹都市にあたる田原市「渥美半島観光ビューロー」の岡田さんもそのうちの一人。

これまでも田原署の白バイ隊員によるライディングスクールや「バイクの日」にちなんだイベント、観光ツーリング、SSTR勝手に見送り隊など、バイクに関係した”コトづくり”に取り組んできましたが、設楽町の事例のような”トキづくり”の経験はなく、以前からそれが生む波及効果について大変興味があったそうです。その後、実際に田原市の「サンテパルクたはら」「LaLaGran」「蔵王山展望台」の計3箇所でイベントが開催され、予想を超える大反響となりました。

なんと開催日の日曜日には150台を超える展望台の駐車場がパンク寸前になる事態もあり、こうした経緯から渥美半島観光ビューローでは、今年度さらにもう1か所(伊良湖クリスタルポルト)での開催を予定しているそうです。

近隣市町村と連携し相乗効果を模索中

今回紹介した「朝活Cafe」の発端である設楽町観光協会によると、今年の開催は4月もしくは5月から10月までの期間で検討されており、田原市を含めた近隣の市町村とも積極的に交流しながら、相互に経済効果が生まれるような連携を模索しているとのことでした。また、同イベントの最終目標は確かな波及効果を地域全体に及ぼしていくことにあり、今後はスタンプラリーなどによる参加者の回遊を狙った施策なども展開していくそうです。

観光産業において、こうしたライダー受け入れが積極的になり始めた昨今。朝活ライダーがライフスタイルの一つとして定着する日も、そう遠くないかもしれません。そして私たちはこの流れが途切れないように、普段からマナーや安全に気をつけてバイクライフを楽しむことが大切です。
なお、MOTOINFOでは過去にいくつかのカフェミーティングイベントを紹介してきました。今回ご紹介した「朝活Cafe」以外にも、全国には様々な魅力あふれるイベントがありますので、ぜひ以下の記事もあわせてお読みください。

ファンが歴史を継承する間口の広いイベント「カワサキコーヒーブレイクミーティング(KCBM)」

バイクライフを末長く楽しむためのきっかけづくり「ヤマハライダースカフェ」

バイク用品メーカーが続ける地道なライダーとのタッチポイント作りとは?

株式会社デイトナ

https://www.daytona.co.jp/

設楽町観光ナビ

https://www.kankoshitara.jp/

渥美半島観光ビューロー

https://www.taharakankou.gr.jp/news/001299.html

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