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キャンプのプロ三橋 淳が指南!キャンプツーリングを楽しむためのポイント

二輪車の「ライフスタイルギア化」の大きな流れの中で「アウトドアを楽しむ相棒」としてバイクを手に入れ、キャンプツーリングに行くライダーも多いことでしょう。キャンプサイトには家族連れや仲間と来ている人たちが多くいるので、ともにキャンプを楽しむ者同士として迷惑をかけないよう配慮することも重要です。バイクに馴染みのない利用者からは、複数台のバイクでキャンプしているグループを煙たがれてたり、怖いイメージを持たれることもあるので、ライダーとしてのエチケットを知っておきたいところです。

今回はプライベートでもキャンプを楽しみ、自らキャンプツーリングイベントも主催するレーシングライダー&ドライバーの三橋 淳さん(以下、三橋さん)に「キャンプを楽しむライダーとして守るべきマナー」をお聞きしました。

三橋 淳

1970年7月2日生まれ、東京都出身。

高校生で免許を取った当時、人気だったパリダカールラリーに憧れる。その後国内エンデューロレースで頭角を表し、30歳の時に最後のパリスタート、ダカールゴールのリアル・パリダカに出場。それ以降バイクで4回出場、最高位は総合12位を記録。バイクでのパリダカ参戦では全て完走している。2004年より四輪に転向し、11回参戦。トップカテゴリーの改造部門と市販車部門をいずれも経験し、市販車部門では5回の優勝を収めた。現在はアウトドアの経験を活かして遊びに関するアドバイザー的な活動を中心に、自身も完全オフグリッドで住む場所を自由に選べる多拠点生活プロジェクト「未来SUMIKA実験箱」を立ち上げ活動している。

一般的なキャンプ場でのマナー

まずはバイクを利用しない一般的なキャンプ場でのマナーを振り返りましょう。以下のような内容は読者の皆さんならご承知だと思います。

一般的なキャンプ場でのマナー
・チェックイン/アウトの時間厳守
・キャンプ場内は徐行する
・周りの人への挨拶
・他のキャンパーのサイトに接近してテントを張らない
・施設や駐車場への導線をふさがない
・スピーカーや歓談など騒音トラブルに注意
・自然を荒らさない
・直火可か、焚き火台必須なのか確認
・消灯時間を守る
・ゴミ出しのルールは厳守
・使用した場所は来たときよりも綺麗にする
・その他管理人やキャンプ場スタッフの指示に従う

この内容を踏まえ、三橋さんにご意見を伺いました。

「キャンプやアウトドアといえば“自然のなかで自由を味わう”、そんなイメージをお持ちの方も多いでしょう。その考えが間違っているわけではありませんが、なんでもかんでも自由に振る舞っていいわけではありません。

キャンプ=自然と思われがちですが、厳密に言えば少し違います。日本のキャンプ場は、多くの場合は誰かが保有する土地で、管理されているものです。手付かずの“自然”を味わうことは、日本では難しいものです。誰かの土地や管理された場所である以上、そこにはルールが存在します。それゆえに(上記のような)マナーを守ることが必要なんです」

チェックインやチェックアウトの時間厳守や消灯時間、直火OKなのかの確認などは、まさに「キャンプにもルールがある」という証です。他に騒音トラブルや自然を荒らさない、周りの人への挨拶などは、キャンプを楽しむなら守るべきマナーだと言えるでしょう。

バイクでキャンプする際に気をつけたい6つのポイント

ここからは、キャンプツーリングを楽しむ際にライダーが気をつけたいポイントを紹介します。

1, 早朝・深夜のエンジン指導やアイドリング

近年のバイクであれば排気音はかなり小さくなっていますが、クルマと比べるとやはり大きく感じてしまうものです。ライダー同士であれば「バイクだから、これぐらいの音は仕方がない」と思うこともあるでしょう。

しかし、キャンプ場にはバイクに縁のない方も多くいますし、小さいお子様を連れた家族連れも少なくありません。また、キャンプ場は人里離れたところにあり、早朝や深夜は街中とは比べものにならないぐらい静かです。むやみにエンジンを始動するのは控えましょう。やむを得ない事情でエンジンを始動する場合も、空ぶかしなどは厳禁です。

三橋さんは以下のように付け加えます。

「なるべく早くキャンプ場に入り、設営を始めましょう。(周囲の騒音の影響だけでなく)慣れない人は暗闇でテントを立てるのは大変だし、崖など危険な場所かどうかも見えにくいからです」

2, バイクの駐車場所

キャンプ場によってバイクの駐車場所は異なります。サイト内に停めておけるキャンプ場もありますし、駐車場に停めなければならないキャンプ場も少なくありません。荷物をおろすための一時停車であればサイト内に乗り入れてもOKというキャンプ場もあります。

愛車を眺めながらキャンプを楽しみたいと考えている方は多いでしょう。そういう方は駐車場所について、事前にキャンプ場に確認しておくことをおすすめします。

柔らかい地面の場合サイドスタンドが地面にめり込んでしまうことがあります。補助プレート(無い場合は板や潰した空缶でも可)で沈み込みを防止ぎます。また不慮の転倒に備えバイクはテント側に傾けないように停めましょう

「サイドスタンドには気をつけましょう。地面が柔らかくてスタンドがめり込んでしまいます。大丈夫だと思ってバイクを停めておいたら、ゆっくりとスタンドが沈んでいき、朝にはバイクが倒れていた、なんてこともありますよ」

3, 許可なくテントサイトに乗り入れない

前項の「駐車場所」と続きますが、いきなりテントサイトやキャンプ場の奥までバイクで乗り入れるのは控えましょう。多くのキャンプ場は入り口に受付窓口があり、その手前で停車して受付を行うのが一般的です。そこでテントサイトの位置や駐車場所を確認して、OKであればテントサイトに乗り入れましょう。もちろんサイト内への乗り入れが禁止されている場合は、指示に従ってください。

「意外と多いのが、管理人さんとのトラブルです。こだわりを持って運営している管理人さんも多く、自分本位な利用者とトラブルになることも少なくないのです」

4, 荷崩れを起こさぬよう適切な積載

最近ではサイドバッグやパニアケース、シートバッグなど、キャンプツーリングを快適に楽しめるギアが充実しています。それらをうまく活用すれば、シート上に荷物を括り付けて荷崩れを起こす可能性は少なくなります。

しかし中には、あえてゴム紐を使ってシート上に荷物を括り付ける「旅感」が好きだというライダーも多いようです。ただ、道路上で大きな荷物を落としてしまうと、自分自身だけでなく後続車を巻き込む事故になりかねません。荷物が崩れないか、しっかりと確認してください。

荷物の積み方について、三橋さんにアドバイスをいただきました。

「荷物はシート上に山積みにすると自重心が高くなってバイクが不安定になり、最悪転倒のリスクも高くなります。キャンプ場へのアプローチ路は未舗装路など悪路も多いですし。サイドバッグで車体の左右に振り分けて積載したほうが重心が低く抑えられて車体が安定しますよ」

5, 過積載に注意

キャンプは達人になればなるほど、荷物が減っていくと言われています。これは裏返せば、ビギナーは荷物が多くなりがちだということです。日常生活では当たり前のように揃っている寝具や調理器具等を自分で持ち込まねばならず、初めてのキャンプでは「どんな道具を」「どれだけ」用意すればわからず、不安になっていろいろと積んでしまうのです。

しかし、バイクに積載できる荷物の量は限られています。多すぎるとバランスを崩し、その結果バイクで気持ちよく走れなくなってしまうことも。荷物は最小限に止め、重い荷物や大きい荷物は下側に配置して重心を安定させるなど、荷物のチョイスや積載時のバランスに注意してください。

三橋さんは、パニアケースなどが備わった積載能力の高いアドベンチャーバイクやツアラーも要注意だと言います。

「アドベンチャーバイクやツアラーはどんどん荷物を詰めるから、ついついいろいろな物を詰みがちですよね。そういった車種は元々車重もあるので、パニアケースいっぱいに荷物を積むと本当に重くなってしまいます。その状態でもし転倒したら、一人で起こせなくなるでしょう。積めるからといってなんでも積んでしまうのはおすすめできません。

キャンプに持っていくべき荷物ですが、テントとシュラフ、マットさえあれば、あとはなんとかなりますよ(笑)。そこだけしっかり押さえて、あとは必要なものを精査していけばいいのではないでしょうか。キャンプ場でレンタルを利用するのもいいと思いますよ」

6, むやみにバイクでキャンプ場内を走り回らない

テントサイトに乗り入れ可能なキャンプ場であっても、受付や水場、トイレへの行き来などの際にバイクで走り回ることはやめましょう。先述の通り、バイクはその構造上、車検対応マフラーであってもクルマより排気音が大きい傾向にあります。静かさを楽しみたいキャンパーにとって、大きくても小さくても排気音そのものを迷惑だと感じる方がいるのも事実です。

また残念ではありますが、バイクに馴染みのない方々の中には、複数台のバイクが走っているだけでも「怖い」と感じられてしまうこともあります。複数台でキャンプをする場合、キャンプ場の入り口からサイトまで近いなら押し歩きをしてもよいでしょう。距離がある場合はバイクを押すのも大変なので、キャンプサイトがOKしていれば徐行して指定の場所まで向かいましょう。

7, 自身の健康状態に注意を払う

ライダーに限ったことではありませんが、キャンプでは天候が急に変化することがあるので、雨具の準備や防寒対策をしておきましょう。天気予報が「晴れ」でも、キャンプ場がある山中や川沿いは天候が大きく変わるものです。三橋さんにも失敗談があったようです。

「春先に首都圏近郊のキャンプ場で油断したら天候が急変してサイトが水浸しになってしまい、シュラフがぐっしょり。さすがに寒くて寝られませんでした……」

夏場であれば、虫除けや虫刺され治療薬も忘れずに用意しておきましょう。

楽しいキャンプでついついやってしまいがちな深酒も、当然ながら二日酔いになってしまうのはNGです。次の日のライディングに影響しない程度の楽しい飲酒を心がけましょう。

寝不足もライダーにとっては大敵です。気持ちよく眠りにつける寝具を取り揃えましょう。

マナーを守ってこそ楽しめるキャンプツーリング

キャンプツーリングを楽しむためには、さまざまなマナーやルール、そして安全運転のための積載などが必要です。しかし、三橋さんは「軽いトラブルであれば、それもまたキャンプの魅力」だと笑います。

「非日常を味わえるのがキャンプの醍醐味のひとつですから、人に迷惑をかけていないトラブルなら、それもまた楽しみのひとつとして考えて、まずは行動してみるのも良いのではないでしょうか。だけど、それはあくまでも怪我や命の危険がないレベルでのお話です。

荷物が落ちたり、疲れがたまって翌日のライディングが危なかったりなど、危険なことがないように気をつけましょう。特に河原のテントサイトは大雨やダム放流による増水などがあって危険。中洲などはもってのほかです」

では、キャンプの楽しみとは、どこにあるのでしょうか。先ほど三橋さんは「キャンプと自由は違うし、自然とも違う」とおっしゃいました。

「キャンプとはアウトドア……つまり、ドアの外側で活動することです。これは人間にとって非常に大切なことだと僕は思います。バイクで道路を走るときには厳格な法律が適用されますよね。だけどキャンプ場やアウトドアには、キャンパーやライダーを縛る法律はありません。法律がないからこそ、各自の判断が必要なのです。この判断の元となるのがマナーです。また、キャンプ場には独自のルールもあります。これらを守りつつ、アウトドアを楽しむことが人間の感覚を研ぎ澄ますことに非常に役立っていると僕は考えています。

アウトドアで判断力を高めることは、交通ルールを守ることと同じぐらいライダーにとって有意義だと思いますよ」

アウトドアのプロである三橋さんには、個人の判断に委ねられる要素が多いからこそ、同じキャンプ場で過ごす周囲の方々への配慮が重要だと教えていただきました。この記事が皆さんの楽しいキャンプツーリングの一助となればと願っています。

【動画】ラリースト三橋淳:キャンプツーリングを楽しむためのポイントを解説

jun38c.com -三橋淳公式サイト-

http://www.jun38c.com/

tCAMP camp & touring

https://www.jmp.fun/tcamp

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