乗って培う感性の教育!バイクで繋がる親子三世代(中津川さん)
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スポーツや趣味など、自分が好きなことを我が子にもさせる教育方針には、いつの時代も賛否両論があるものだ。それはバイクに乗せることも同様である。
それでは、上手くバイクと向き合い、楽しんでいる親子は、どのように“バイクのいろは”を教え、ともに楽しんでいるのだろか。
そこで今回は、二世代にわたってバイクを楽しむ親子に秘訣を伺ってみた。
バイクに乗る事はごくごく自然の流れだった
今回お話を伺ったのは、静岡県で広告制作会社を経営されている中津川(なかつがわ)さん。
中津川さん一家は、両親共に大型二輪免許を保有しており、バイクという共通の趣味によって距離を縮め交際・結婚に至ったとのこと。
すでに家族の日常風景としてバイクが存在していたため、その後誕生した娘さんがバイクに興味を持つまでに、そう時間はかからなかったとのこと。そのため、娘さんが幼稚園に通う頃になると、自発的にバイクのキッズスクールへ何度も通うようになった。
家族の典型的な例として、母親がバイクの危険性を危惧し、乗車を反対するケースが多いが、中津川さん一家の場合は母親自身もバイクに乗っているということもあり、バイクに乗せて教える安全教育の方針をとっていたようだ。
つまり、バイクに興味を持っている娘さんに対し、危険だからとバイクを遠ざけるのではなく、バイクに乗せて良し悪しを学ばせたということだ。
アクティブな性格である娘さんの人生をバイクが加速させる
娘さんも高校生になり留学する機会があったそうだが、この時すでに彼女の中には、全ての経験がいつか将来の仕事に役立つかもしれないという考えがあったようだ。
さらに遡ると、実はバイクに興味を持った段階から、そのような意識を持っていたとのこと。
バイク一筋に傾倒するわけではなく、バイクに乗ることが出来れば良い。様々な経験をすることは自分にとってプラスであり、将来何かの役に立つかもしれないと。
アクティブで前向きな彼女の性格は時に功を奏し、ワーキングホリデーで外国に行く機会があった時は、働き口を求め、時には突然解雇を通告され、時には差別を受けたこともあった。職探しでは49か所から断られるも、粘り強く50か所目で仕事に就いた。
彼女いわく、何度でもチャレンジする姿勢や、諦めない精神は、幼少期のバイク経験で養われたとのことだった。
バイクが彼女の感性を刺激し、訴えかけ、育てた
時は流れ、アクティブな性格である娘さんの関心は映画となった。もちろん現在もバイク好きだが趣味の一つとして。
「映画は、どんな場面で、どんな言葉や表情が人の感情に訴え、心を突き動かすのか、こういったことを考えるきっかけを与えてくれます。」と語る彼女。映画が与える様々な刺激が彼女の感受性に訴えるようだ。
「バイクに置き換えると、バイクから出てくる音も色々ありますよね。エンジンの音、マフラーから出る音、ギアを変速する時の音など。走り出したら、路面から受ける振動やエンジンの振動、身体に受けるG(重力)や風など、ライダーの五感全てが刺激されますよね。」
それが彼女を惹きつける、映画とある意味共通する要素のようだ。
父と娘、母と娘、祖父と娘を繋ぐバイクの存在
取材の途中で判明したこと、それは中津川さん一家は二世代ではなく、三世代でバイクを楽しむ家族であったということ。
やはりバイクの楽しさは、乗って教える安全なバイク教育によって、代々受け継がれていくのかもしれない。
最近は、娘さんの就職が決まったこともあり、親子でバイクに乗る機会を噛み締めながら、近場へのんびりとツーリングに出かけることが多いとのことだった。
バイクとは、一度楽しさを知ると傾倒しやすい魅力ある乗り物だ。そしてまた、常に危険と隣り合わせであることも忘れてはならない。
だからこそ、バイクの良し悪しをしっかりと教育し、理解させることが親の責務であり、その先に代々バイクを楽しむ未来が待っているのであろう。
親子孫、三世代にわたってバイクを楽しんでおられるとは、実に羨ましい限りだ。