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【ライダー必見】救急処置の知識が命を救う!

ライダーの皆さん、ツーリング中に突然事故に遭遇したらどうしますか?あるいは、仲間が怪我をしたらどう対処しますか?想像したくないかもしれませんが、予期せぬ事故はいつでも起こり得ることです。そこで、今回はライダーが知っておくべき救急処置について解説します。この記事を読むことで、あなた自身や大切な仲間を救うための一次救命処置や応急手当の基本知識を少しでも理解することができます。

一昨年、田んぼに落下し横転した軽トラックの中で、身動きの取れない女性を救出したライダーの動画が、ニュースなどで取り上げられ話題となりました。例えばツーリング中に仲間が事故に遭ったり、山間部で事故に遭遇する可能性がないとも言えません。

 

ライダーにとって「自助」「公助」「共助」とは、どのような意味を持つのでしょうか。

自助とは、日常的な安全運転や運転技術の向上、そして走行時の安全装備(プロテクターの着用やヘルメットのあご紐を締めるなど)を指します。

公助は、行政が車両の安全基準策定や交通安全キャンペーン、道路整備などを行うことを意味します。

一方、共助とは、ライダー同士が助け合うことや他の人々を助けることを指します。

もしも事故に遭遇した場合、加害者であれば当然ですが、加害者でなくても負傷者の救護にあたらなければならない状況になる可能性があります。そんな状況を想像すると、多くの人々が一次救命処置や応急手当の方法を実践できるようになりたいと考える方も多いことでしょう。

こうした意味で、応急救護の知識を身につけることは非常に重要なのではないでしょうか。

そこで、今回は日本赤十字社で一次救命処置や応急手当などの講習を担当している救護・福祉部健康安全課長の齋藤紀彦さん(以下、齋藤さん)に、一次救命処置や応急手当の基本についてお話を伺いました。

 

一次救命処置の重要性

日本赤十字社は2022年11月、日本全国の男女1,200名を対象に「一次救命処置に関する国民の意識と行動」について調査を実施しました。

一次救命処置を実践できることについて、「とても必要だと思う」と回答した人は全体の67.5%、「やや必要だと思う」と回答した人は18.9%と、8割を超える人が一次救命処置の必要性を認識しているとの結果が出ています。

また、一次救命処置習得の必要性を実感したきっかけとしては「交通事故(62.1%)」「レジャーや運動中の事故(42.8%)」「地震や豪雨などの自然災害(33.6%)」が上位回答でした。

これを受けて齋藤さんは以下のようにコメントしました。

『交通事故』や『レジャーや運動中の事故』が上位であったという結果から、一次救命処置に対する関心は“より身近な”日常生活中の出来事によって形成されていると考えられます。

 

一方、一次救命処置の必要性を認識している8割の人のなかで、実際に救命講習の受講など行動に移さず「特に何もしていない」と回答した方は54.1%と半数を上回る状況でした。

その理由として、「何をすればいいのかわからなかったから」が47.1%にのぼり、次いで「調べたり学んだりしても、自分には実践できる自信がなかったから(21.2%)」と続きました。

この調査結果のように、読者の皆さんの中にも必要性を感じつつも、具体的に行動に移せていない人が多いのではないかと感じました。

そこで本稿では、日本赤十字社の講習で使用している教本の中から一次救命処置や、応急手当などの方法の一部をご紹介します。

 

はじめに〜交通事故に遭ったら

万が一、ツーリング中や旅先で仲間が転倒したり、第三者の事故に遭遇した場合、すぐに事 故現場に近づくことは危険です。

現場では、後続もしくは対向車両、または事故現場を避けることで起きる二次的事故、そして現場の周囲環境など、さまざまな危険を予測しなければいけません。そのため、十分に自分の車両や事故車両を含む周囲の環境をしっかりと把握して現場の安全確保に努め、その後、必要に応じて一次救命処置や応急手当をする必要があります。

それでは、一次救命処置や応急手当の内容(日本赤十字社の教本から抜粋)を見ていきましょう。

 

心肺停止に対する一次救命処置(BLS)

一次救命処置(BLS:Basic Life Support)とは、心肺蘇生やAEDを用いた電気ショックなど、心臓や呼吸が停止した傷病者を救命するために行う緊急処置です。

もしも傷病者が意識を失い、呼びかけに反応がなく、正常な呼吸ではない場合、またはその判断に迷った場合は心停止と判断し、ためらうことなく直ちに心肺蘇生を開始する必要があります。具体的な手順については、以下を参考にしてください。

 

出血している場合の止血方法

成人の体内にはおよそ4〜5リットルの血液が存在し、体重の約8%を占めています。出血によって1リットル以上の血液が失われると、生命の危険が及ぶこともあります。

一般的に、急速に体内の血液量が20%以上失われると“ショック”と呼ばれる状態になると言われています。

出血している傷口には、ガーゼやハンカチなどを直接押し当て、強く圧迫することで止血を行うことが基本的な止血方法です。多くの場合、この方法で出血を止めることができます。

 

骨折している場合の基本手当

骨折した患部は安静にしたうえで固定します。もし骨折箇所が曲がっている場合は、無理に元に戻さずそのまま固定し、傷病者が楽な体勢をとれるようにしたうえで可能であれば患部を高い位置にしましょう。

開放骨折の場合は、まず出血を止め、傷口を手当した後に固定します。固定のポイントは「患部の痛みを和らげる」「出血を防ぐ」「傷病者が動いたときに新たな怪我を防ぐ」です。

 

知れば知るほど役立つ講習内容

赤十字救急法の講習は、コロナ禍以前の平成30年度には全国で1万回以上開催され、年間52万人以上が受講していました。コロナ禍の影響で一時的に中止された期間もありましたが、現在では徐々に開催回数も増え、コロナ禍前を取り戻しつつあります。

講習を担当する齋藤さんから以下のようなコメントをいただきました。

一次救命処置や応急手当が必要な状況に遭遇するかどうかは誰にも予測できません。万が一の備えとして、1回のみの学習にとどまらず、定期的に最新の手当方法を学んでいただくことが望まれます。そして、実際に行動が必要な時には、少しの勇気を持って行動に移してほしいです。

実際に事故に遭遇しても、思い通りの対応ができるかどうかは別の話です。ツーリングを頻繁に楽しむライダーのなかで、もしも誰かが講習を受けていると知れば、少しだけ安心感が増しますね。

 

赤十字救急法講習について

最後に、赤十字救急法講習を受講してみたいと思った方へ、日本赤十字社が開催している講習についてご紹介します。

一次救命処置や日常生活における応急手当の基本、急病人などを医師や救急隊に引き継ぐまでの手当に関する知識と技術を学べる講習会として、全国各地で定期的に実施されています。

具体的な内容は以下のとおりです。

「赤十字救急法」の講習内容

  1. 手当の基本(観察、体位)
  2. 心肺蘇生(胸骨圧迫、気道確保、人工呼吸)
  3. AEDを用いた電気ショック
  4. 気道異物の除去
  5. 急病の手当
  6. キズの手当(止血、包帯)
  7. 骨折の手当(固定)
  8. 搬送

一次救命処置や応急手当の知識は、自分自身や仲間、さらには他のひとの命を救うために必要不可欠な知識です。しかし、実際に事故に遭遇したときに冷静に対処できるかは、知識だけではなく、その知識をどれだけ実践できるかにも関わってきます。

ライダーのプレゼンス向上はもちろん、自助・共助の考え方にご賛同いただけるスマートライダーの方は、ぜひ一度講習を受講してみてはいかがでしょうか。
詳細な講習内容や参加方法については、各都道府県にある日本赤十字社の支部WEBサイトよりご覧ください。

 

参考文献
  • 日本赤十字社「赤十字救急法基礎講習教本」株式会社日赤サービス(令和4年4月1日)
  • 日本赤十字社「赤十字救急法講習教本」株式会社日赤サービス(令和4年4月1日)
  • 日本赤十字社『一次救命処置に関する意識調査』
救急法 - 日本赤十字社

https://www.jrc.or.jp/study/kind/emergency/

講習の内容について- 日本赤十字社

https://www.jrc.or.jp/study/safety/

講習に参加する- 日本赤十字社

https://www.jrc.or.jp/study/join/

よくあるご質問- 日本赤十字社

https://www.jrc.or.jp/study/qa/

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