合言葉は「メットヨシ!」。仕事猫と学ぶヘルメットの正しいかぶり方

ヘルメットは、ただかぶればいいというものではありません。頭に合わないサイズを選んでいたり、あごひもが緩んでいたりすると、万一のとき衝撃で脱落し、本来の保護性能を発揮できないおそれがあります。そこで一般社団法人 日本自動車工業会(以下、自工会)が、ヘルメットの“適正着用”をあらためて伝える映像を制作しました。主役はおなじみの「仕事猫」。あわせて「メットヨシ!」を日々の習慣にしてもらうためのステッカーキットも展開します。この記事では、映像とステッカーに込めた狙いとともに、意外と知らない「サイズ」と「あごひも」の正しい合わせ方を紹介します。

ヘルメットは「ただかぶっているだけ」では守れないことも

まず、少しドキッとする数字から。警視庁によると、都内における過去3年間の二輪車乗車中死者のうち、27.4%でヘルメットの脱落が確認されています。4人に1人を上回り、依然として約3割にのぼります。「ヘルメットをかぶっていたのに、事故の衝撃で脱げてしまった」。そんなケースが、いまも起きているのです。

あごひもに目を向けると、事情はより具体的になります。警視庁が2026年7月から8月にかけて、都内の二輪車利用者3,520人を対象に行った街頭調査では、あごひもを「ゆるく結着」または「結着なし」という不適正な状態で着用していた人が24.7%。前回調査より1.8ポイント増加しました。せっかくヘルメットをかぶっていても、あごひもが緩ければ、事故の衝撃で脱落するおそれがあります。正しくかぶれていないヘルメットでは、いざというとき本来の保護性能を十分に発揮できません。あなたは、大丈夫でしょうか。

仕事猫と「メットヨシ!」。新しい啓発映像に込めた狙い

映像の監修は、自工会の二輪車委員会 二輪車企画部会 安全教育分科会が担いました。正しいサイズ選びと、あごひもの確実な結着という基本の2点に絞られています。

登場するのは、「ヨシ!」でおなじみのキャラクター“仕事猫”。「あれ? ヘルメットぶかぶかじゃない?」「あごひも、締まってないよ」と、テンポよくツッコミを入れていきます。堅くなりがちな安全啓発を、肩の力が抜けた語り口で見せてくれるのが持ち味です。難しい話ではなく、誰もが今日から見直せるポイントに絞り込まれています。

サイズぴったり、あごひもびしっ、で「メットヨシ!」。仕事猫の決めゼリフ「ヨシ!」に、乗る前のひと確認を重ねたフレーズです。みんなで守って、楽しいバイクライフを。そんな願いが、短い合言葉に込められています。

衝撃の瞬間、ヘルメットは脱落することがある

映像の中でとりわけ目を引くのが、衝突試験の実験映像です。適正に着用できていないと、衝撃を受けた瞬間にヘルメットが前へ、あるいは後ろへと抜けていく。その様子が、包み隠さず映し出されます。

しかも、脱落するのは簡易的な半キャップ(ハーフ型)だけの話ではありません。実証実験では、あごひもを締めていない状態では、ハーフ型、オープンフェイス型、フルフェイス型のすべてで脱落が確認されています。また、サイズが合っていなかったり、あごひもが緩かったりすると、条件によっては脱落したり、脱落しなくてもヘルメットが頭部から大きくずれたりすることが確認されました。

「しっかりしたヘルメットだから大丈夫」ではなく、大切なのは自分の頭に合ったサイズを選び、あごひもを確実に締めること。頭を守るためのヘルメットも、正しく着用してこそ本来の性能を発揮できます。この現実を、まず“見て”知ってもらう構成です。

あなたのヘルメットは大丈夫?「サイズ」と「あごひも」をチェック

では、正しいかぶり方とは。ポイントは、映像の2本柱と同じ「サイズ」と「あごひも」です。

サイズは、頭囲の数値だけで決めないのが鉄則です。同じメーカー・同じサイズ表記でも、モデルによってフィット感は驚くほど違います。必ず実際に試着し、かぶった状態で頭を前後左右に動かしてみる。このとき、頬や額の肉は一緒に動くのに、ヘルメットだけが大きくずれるようなら、そのサイズは緩すぎます。

あごひもは、留め具の種類に応じた結着方法があります。Dリング式なら、正しい順序でひもを通し、あごとの間にすき間がないようにしっかり締めます。余った先端は、スナップなど所定の方法で必ず固定します。ラチェット式やバックル式も含めて、それぞれの取扱説明書に従い自分に合ったサイズに調整しておくことが大切です。緩みは「あとで直そう」はもしものときに遅すぎます。出発前のひと締めを、忘れずに。

「メットヨシ!」を広げる、仕事猫ステッカー

映像のメッセージを日常に持ち込む仕掛けが、名刺サイズのステッカーキットです。表には仕事猫。裏には“サイズ”と“あごひも”のチェックポイントに加え、自工会の啓発特設ページへ飛べるQRコードを配置しました。QRコードが読めない場面でも、「メットヨシ」で検索すればたどり着けます。

このステッカーは、今後ツーリングイベントなどで配布していく予定です。ヘルメットや工具箱、ツールバッグの見えるところに貼っておけば、乗るたびに「サイズよし、あごひもよし」を思い出すきっかけになります。小さな一枚が、毎回のひと確認を後押ししてくれるはずです。

なぜ今、あらためて「適正着用」なのか

映像とステッカーの背景には、監修を務めた自工会 安全教育分科会・飯田分科会長の、一貫した問題意識があります。

二輪の死亡事故のおよそ3割でヘルメットが脱落し、その状況が長年変わっていません。だから伝えたいのは、特別なテクニックではなく、正しいサイズを選び、あごひもを緩みなく締めるという基本の徹底だといいます。「いざというときに自分を守る、いちばん大切なこと」。

現場で目立つのは、二つの“もったいない”着用です。ひとつは思い込み。「緩いほうが楽」「かぶってさえいれば、あごひもは締めなくても大丈夫」という誤解が、いまだに根強い。もうひとつは、留め方そのものの誤り。Dリングの通し方を知らず、フックにパチンと留めているだけ、とくに原付に乗る若い層で目立つといいます。半キャップを後ろ前逆にかぶったり、キャップ帽の上からかぶったりするスタイルも、かえって脱げやすさを招く。締めると苦しいから、とあごひもを緩めがちな傾向も、根は同じです。

「難しいことは言いません。自分の頭に合った正しいサイズを選ぶ。そして、あごひもを緩みなく締める。たったそれだけのことです。『緩いほうが楽』『かぶっていれば大丈夫』その小さな油断が、もしもの場面でヘルメットを役立たずにしてしまう。死亡事故になれば、あのときちゃんと締めていれば…は通用しません。悲劇が起きてからでは、遅いのです。だからどうか、乗る前のほんの数秒、あごひもの結着状態を確かめてほしい。そのひと手間が、いざというとき、あなたの頭と命を守ってくれる。ヘルメットは、正しくかぶってこそのヘルメットです」

乗る前に「サイズよし、あごひもよし、メットヨシ!」

ヘルメットは、「サイズ」と「あごひも」の両方が適正であってこそ、本来の保護性能を発揮できます。まずは映像を見て、脱落という現実を知る。ステッカーを貼って、乗るたびの合言葉にする。「メットヨシ!」を習慣にすることが、いざというとき自分の頭を守るための大切な備えになります。次に走り出す前に、ぜひ一度確かめてみてください。サイズよし、あごひもよし、メットヨシ!

メットヨシ! 仕事猫と動画で学ぶ 安全なヘルメットのかぶり方|一般社団法人 日本自動車工業会

https://www.jama.or.jp/operation/motorcycle/helmet2026/

梅本まどかと宮城光のセーフティ ライディング|一般社団法人 日本自動車工業会

https://www.jama.or.jp/operation/motorcycle/safety_riding2023/index.html

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