
楽しさ倍増!秋ツーリングの服装と防寒対策
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空気が澄み、紅葉も楽しめる秋は、春と並び、一年でもっとも気持ちよく走れるツーリングシーズン。ですが「気温だけ」を見て服装を決めると、思わぬ寒さに震えることになりかねません。朝晩の気温差に加え、走行風によって体感温度は気温よりもぐっと下がるからです。この記事では、秋ツーリングの服装・防寒アイテムの選び方に加え、見落とされがちなタイヤの空気圧管理まで、秋ツーリングを楽しむために押さえておきたいポイントをまとめて紹介します。
秋は「時間帯・標高・走行風」で体感温度が変わる
秋は、一日のなかの寒暖差が大きい季節でもあります。日中の陽気につられて軽装で出かけると、日が落ちた途端に体が冷えることがあります。標高の高い峠へ上がれば、それだけ気温も下がります。さらに走行風が加わることで、停車中は平気でも、走り出すと同じ気温でも寒く感じやすくなります。また、秋は天候も変わりやすく、山間部ではトンネルを一本抜けただけで天気が変わることもあります。
つまり秋の体感温度は、「時間帯」「標高」「走行風」の3つで大きく振れます。気温だけを基準に服装を決めないことが、秋ツーリングの服装選びの出発点です。では、秋のツーリングでは具体的にどのような備えが必要なのでしょうか。株式会社クシタニの村田氏に、服装選びのポイントを聞きました。
秋の基本はレイヤリング

寒暖差の大きい秋を快適に乗り切るなら、一枚の厚着ではなく「重ね着(レイヤリング)」で調整するのが基本です。汗を逃がすベースレイヤー(インナー)、保温するミドルレイヤー、風雨を防ぐアウター。この3層を、暑くなったら一枚脱ぎ、冷えてきたら一枚加えられるようにしておくことがポイントです。
「秋は気候の変化が激しいので、思ったより薄着で出てきてしまう方は多いですね。日が暮れて寒くなる、峠道に上がったら思いのほか寒い、というのはよく聞く話です」

夏物と秋物では、生地の厚みだけでなく、「風の通し方を調整できるか」という点にも違いがあります。その違いについて、村田氏は次のように説明します。
「夏物は一枚で着る前提で、通気性に特化しています。いっぽう秋物は重ねて着る前提なので、体感温度を調整しやすい作りになっている。アイテムによっては、生地の厚み自体は春夏とそれほど変わらないものもあるんです」

さらに村田氏が重要なポイントとして挙げるのが、首元や手首、足首などにできる「隙間」です。首元・手首・足首といった開口部から冷たい風が入ると、それだけで一気に寒くなります。
「手首や足首は、風が入らないように閉じるのが基本。お腹まわりから入る風には、ストームガードが有効です。とにかく冷たい風を入れない、というのは大事なポイントです」
ただし、隙間を塞いで重ね着すると、今度は暑くなりすぎることもあります。そこで役に立つのが、アウターに備わったダクト(通気口)です。開閉するだけで風の通りを変えられるので、気温や走行環境に応じて暑さ・寒さを調整しやすくなります。服装だけでなく、持参するアイテムにも余裕を持たせておくと安心です。村田氏は、自身のツーリング経験を振り返ります。
「乗り始めた頃は、荷物を最小限にして身軽に、と思っていたんです。でも遠くへ行くほど、備えがないと帰りがしんどい。2年ほど前、京都からの帰りがずっと雨で、海老名あたりで力尽きそうになって。それ以来、レインコートや薄手のジャケットなど、どんな天候でも対応できる“プラスの備え”を大事にしています」
天気が変わりやすい秋こそ、いざというときの一枚を備えておきましょう。
部位別に見る、選び方のポイント
ここからは部位別の選び方です。初めて秋冬ツーリングに挑む人がやりがちなのは、「重ね着しすぎて動きにくくなる」か「防風性のない普段着のまま走ってしまう」かのどちらか。アウター、つまりジャケットは、防風性があることが大前提です。そのうえで、ダクトなどで通気を自分で調整できるものを選ぶと、街乗りから本格ツーリングまで幅広く使えます。

最初の一着について、村田氏は「ごわつかず、体になじむ扱いやすいものから選ぶと失敗が少ない」とアドバイスします。パンツは、フィット感を細かく調整できるものが便利です。調整幅が広ければ、体格や着ぶくれにも対応しやすく、一本で幅広い場面に使えます。
次に、ミドルレイヤーの選び方を見ていきましょう。市販されている防寒ジャケットには保温インナーが付属していることも多く、まずはそれをミドルレイヤーとして活用できます。買い足すなら、合わせるジャケットに応じて選ぶのがコツです。

たとえば、レザージャケットを着る場合を考えてみましょう。保温性が高いとは限らず、腕まわりがタイトで重ね着もしづらいのですが、それでも秋にレザーを着たいというライダーは少なくありません。そんなときは、袖のない保温ベストのように、身ごろだけ暖かくできるインナーが合わせやすいです。
「レザーはタイトなデザインが多いので、袖がないぶんスッキリ着られるベストが合わせやすいんです。身ごろだけ保温性を高められるので、秋にレザーを楽しみたい方にはおすすめですね」
手や指先は、一度冷えると温め直しにくい部位です。近年は、電熱グローブやグリップヒーターで積極的に温める選択肢も広がってきました。寒さで走るのがおっくうになるようなら、こうした装備を活用して快適性を高めるのも有効です。
村田氏自身も、天候に応じてグローブを使い分けています。秋のロングツーリングでは、防水タイプと、テキスタイルまたはレザーのタイプを両方持参するそうです。
「雨のときは防水がちょうどいいのですが、晴れると蒸れてくる。グローブは付け替えるしかないので、種類の違うものを持っていると調整しやすいんです」
服装だけじゃない。秋の路面とタイヤのこと
秋の備えというと服装に目が行きがちですが、もうひとつ意識したいのが足元のタイヤです。気温が下がると路面温度も低くなり、タイヤも温まりにくくなります。加えて秋は、落ち葉が積もった路面や、朝露・秋雨で濡れた路面など、滑りやすい場面が増える季節です。そのため、走り出す前にタイヤのコンディションを確認しておくことが重要です。

点検のポイントを、日本自動車タイヤ協会に聞きました。まず確認したいのは、溝の深さが十分にあるかどうかです。濡れた路面を走る機会もある秋は、溝の状態がより重要になります。あわせて、亀裂や損傷、異物が刺さっていないかも確認しておきましょう。空気圧は自然に少しずつ抜けていくため、最低でも月に一度は点検し、車両メーカーが指定する空気圧に調整することが大切です。調整は、走行前のタイヤが冷えた状態で、エアゲージを使って行うのが基本です。
空気圧が不足したまま走り続けると、ハンドリングが不安定になったり、片減り(偏った摩耗)を招いたりします。服装で体を守るのと同じように、タイヤを適切な状態に整えておくことも、秋のツーリングに向けた大切な準備のひとつです。タイヤの状態を整えておけば、路面状況の変化にも落ち着いて対応できます。

秋は、朝晩の冷え込みや走行風で「気温以上に寒い」と感じやすい季節です。だからこそ、重ね着で脱ぎ着を調整できるようにし、首元・手首・足首の隙間から風が入らないようにすることも大切です。そこにレインウェアや予備のグローブといった“プラスの備え”があれば、天候の急変にも慌てずにすみます。あわせて足元のタイヤも整えておけば、装備と車両の両面から、秋のツーリングをより快適に楽しめます。今シーズンの準備に、ぜひ役立ててください。

















