【メディア×自工会の意見交換】初の屋外開催となった第6回メディアミーティングの模様をご紹介!
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2023年5月25日(木)、日本自動車工業会(以下、自工会)二輪車委員会は、「二輪車委員会 日髙委員長と箱根でライダーのマナーと安全を語る」をテーマに第6回メディアミーティングを開催しました。第5回までは自工会の会議室で行われていましたが、今回は趣向を変え、静岡県田方郡函南町のバイカーズパラダイス南箱根で開催されました。
なお、本ミーティングの参加者には、自工会二輪車委員会の日高祥博氏(以下、日髙委員長)、自工会常務理事の江坂行弘氏(以下、江坂常務理事)、ゲストにモータージャーナリストのKAZU中西氏(以下、中西氏)に加え、バイク専門誌などを含む多くのメディア関係者が会場に招待されバイクで駆けつけました。
「バイクを楽しむライダーのマナーと安全」について各メディアとどのような議論が繰り広げられたのでしょうか。今回はその内容について順を追ってご紹介いたします。
自らバイクを駆り、ライダー目線で安全について語るカズ中西氏
まず、本ミーティングの主題であるバイクの安全について、モータージャーナリストの中西氏が、自身の活動について解説してくれました。
静岡県にあるライダーに人気のツーリングスポット「伊豆スカイライン(以下、伊豆スカ)」。伊豆半島を南北に走り、富士山や駿河湾などを一望することができる絶景が魅力の有料道路ですが、さかのぼること2003年、ここ伊豆スカで発生した交通事故のうち、なんと8割がバイクによる事故でした。
一時は“バイク通行止め”の危機に立たされた伊豆スカですが、この事態を憂いた地元在住の中西氏をはじめ管轄する警察署や関係団体が一丸となり、伊豆スカにおけるバイクの重大事故撲滅、ひいては事故ゼロを目標に掲げ、利用者の安全運転意識を高めてもらうことを主旨に “伊豆スカイライン・ライダー事故ゼロ作戦”という活動をスタートしました。
本活動が功を奏し、2023年現在、伊豆スカにおけるバイクの物損・人身事故は非常に減ってきているとのことでした。
中西氏による活動紹介の後「啓発だけでは耳を傾けないライダーもいるのでは?」という質問も出ましたが、中西氏は「ライダーと笑顔の関係を築き、彼らの心に寄り添いながら会話をすることで、メッセージが伝わるようになっていった」と述べました。
この意見に日高委員長も、自身と同年代の中高年層のライダーよりも昨今の若者ライダーはむしろマナーが良いと感じており、中西氏のライダー目線でのヒューマンタッチなアプローチが好効果の一因ではないかと述べました。また、江坂常務理事もドライバーにライダーの気持ちを理解してもらうことで、日常の交通やレジャーでの出先において、お互いに譲り合いやすいバイクに優しい交通文化が築けるのではないかと話しました。
バイクの高速利用料金引き下げ恒久化に高まる期待
今回のミーティングで自工会とメディアが一体となって活発化した話題の一つが、2022年に二輪車定率割引を利用した件数は25万件を超えたことでした。
この定率割引を適応し、実質的にクルマの高速料金の半額となるためには2つの条件があります。まず、対象となる高速道路において各インターチェンジ相互間の一回の走行距離が100km以上(一般道に降りることなく)であること。そして、2022年4月2日から11月27日(北海道は10月29日)までの期間内かつ土日祝日に限定されていました。
こうした制約があったものの、先の通り昨年は25万件と利用件数が多いことから、これらの制限がなかった場合はより多くの利用が期待されます。
利用する側(ライダー)、される側(高速道路各社)の双方にとってもメリットが期待されるバイクの高速料金 適性化(クルマの半額)は、業界全体の悲願であり、ともに一歩前進するための重要な機会となりました。
バイク乗車前のチェックで忘れがちなポイントとは?
また、バイクの安全における重要な要素としてメディアから意見があったのが車両乗車前の日常点検、なかでもチェックを怠りがちなタイヤのチェックです。
過去にMOTOINOFOでも記事でご紹介しましたが、ロードサービスで有名なJAFの調査によると、高速道路・一般道路問わず2番目に多いロードトラブルはタイヤのバースト(破裂)、パンク、エア不足に起因しています。
一般的な乗車前点検として、ガソリン残量やブレーキの効き具合などは多くの方がチェックするものの、タイヤの残量や空気圧チェックは意外と見落とされがちであるため、今以上に啓発が必要であるという議論が交わされ、日高委員長、江坂常務理事も深くうなずいていました。
そのほかにも、実際にライディングスクール(バイクの安全講習会)を受講したという記者からは「スクールを受講するライダーは多いものの、初めてのバイクで初めての公道デビューには非常に不安要素が多い。持続可能な仕組みを整えることでマナー向上にもなり、安全にもつながるのではないか」という意見が出されました。
まさに先日、東京モーターサイクルショー2023で取材した若年層の初心者ライダーたちから多数上がっていた不安の声と通じるところがありました。
普段とは趣向を変えたカジュアルな会議体が功を奏したのか、終始なごやかな雰囲気でディスカッションを終えた第6回メディアミーティング。自身の愛車を目の前に、業界人としてではなく、いちライダーに近い目線で終了後も様々な意見交換が続きました。
“バイク“は初対面のライダー同士が話しかける“きっかけ・媒体”になると言われていますが、まさに今回バイクで会場を訪れた自工会とメディア間のコミュニケーションがいつも以上に闊達になり、両者の距離を縮めるミーティングだったのではないでしょうか。
日髙委員長のコメントは動画からもご覧いただくことができます。ぜひご視聴ください。