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機能とスタイルを兼ね揃えたライダーファッション最前線!

アニメやYouTubeにアップされたバイク動画などをきっかけとし、アウトドアやレジャーと絡めた遊び方(趣味)の多様化などによる相乗効果が一因となってバイク業界は近年活況を見せており、若年層ライダーも増加しています。また、ライダーの安全意識も年々高まっており、ファッション性と安全性を兼ね備えたライディングウェアを選択する傾向にあります。

それに応えるべく各ライディングウェアブランドでも、潮流の変化を敏感にキャッチし、製品作りやラインアップも大きく変化しています。

そこで今回は、主なライディングウェアブランドである株式会社クシタニ東京の井上千晶さん、株式会社コミネの阿知波直哉さん、株式会社アールエスタイチの藤井清次さんに、昨今のユーザーから寄せられる要望とそれに対する作り手側の見解について伺ってみました。

 

ファッショントレンドにみるライディングウェア

まずはじめに、ファッショントレンドの移り変わりと、それによってライディングウェアに求められるユーザーニーズの変化について伺いました。

アウトドア要素を取り入れつつ日常に溶け込むカジュアルなスタイリング – アールエスタイチ公式サイトより

株式会社アールエスタイチ 藤井清次さん(以下、RSタイチ藤井さん)

ニーズの多様化が一番のポイントです。時代の節目ごとに存在した”〇〇ブーム”のような画一的ファッションがもはや存在しないことと同様に、バイクの車種に合わせたファッション(ウェア)と考える方が非常に少なく感じます。

どのような車種だろうと自分のファッション感でウェアを選択する傾向が強いので、専門的なウェアの知見だけでは対応ができず、いかに世の中の潮流とバイク向けの機能の融合を達成できるかが重要なポイントと考えています。

株式会社クシタニ東京 井上千晶さん(以下、クシタニ井上さん)

大きくブランドロゴの入ったデザインや、ビビッドな色味よりも、見た目はシンプルで、素材やシルエットの良さが重視される傾向がみられます。アウトドアブランドのウェアが、登山の趣味が無い人にも広く受け入れられているように、高機能素材・商品を日ごろから身に着けることにメリットを感じる人が増えているようです。

バイクウェアは一般アパレルと比較するとどうしても高額になってしまうものもありますが、耐久性の良さや汚れのつきにくさ、透湿性等の機能性が高く、普段使いもできるとなれば、お得に感じていただけることもあるようです。

株式会社コミネ 阿知波直哉さん(以下、コミネ阿知波さん)

最近のライダーを見ていて感じることとしては、機能アパレルウェアを着用している方が増えた印象です(とりわけ通勤通学などでバイク使用されている方々)。しかし、これらのウエアの多くは安全装備が十分ではないので、通勤通学などにこそ安全装備に目を向けて頂いたいと考えています(ツーリング時よりも通勤通学時間帯のバイク死亡事故発生件数は高いため)。

また、我々の考え方として、コミネのバイクウエアはバイクファッションではなく、安全性を高めるための工業製品としてのプロテクションギアだと考えております。外見でファッションを求められるお客様に対してもインナープロテクターを充実させることで、お好きなファッションの下にも十分なバイク用プロテクターを装備できるとするなど、多様なお客様の要望に対応できることが重要であると考えます。

ライディングウェアは身につけて楽しむファッションとしての要素もありますが、忘れてはならないのが自身を守るプロテクションウェアでもあるということ。さらには、バイク走行中の過酷な環境下においても高い快適性を担保した”機能服”としての品質も求められており、各社とも世の潮流を掴みながら高次元でのモノづくりをしていることが伺えます。

 

普段使いにも適したデザインへの需要が高まる

アウトドアウェアのような切り返しがファッショナブルなクシタニ製「アメニタジャケット」

次に、ユーザーがライディングウェアに求めるファッション性や機能性などといった具体的な要望について伺いました。

クシタニ井上さん

見るからにバイク専用品、といった”いかにも”なデザインよりも、カジュアルなスタイルが求められる傾向にあります。例えば同じデザインやカラーのジャケットでも、フードが付くのとそうでないのとでは見た目の印象に大きな差が出ます。そこで、ライディング用のジャケットとしては、フードは走行風でばたつくためご法度というイメージがあったところ、形状や固定方法を工夫し、フード付きライディングジャケットの開発を進めました。特にメッシュジャケットにフードを付けたモデルは、真夏に着るジャケットという、バイク専用品の代表格のようなメッシュジャケットのファッション性を高められたことで、発売から好評で、今では夏の定番商品となっています。

コミネ阿知波さん

現在日本のマーケットにおけるユーザーの嗜好はこの20年余りの間に大きな変化が起きていると感じます。具体的には昔のように”いかにもバイクウェア”という、原色を交え大きなロゴを配置した商品から、より街に馴染むおとなしいデザインテイストが好まれるようになりました。

これらの変化が、先入観もなく、とりわけレースシーンに憧れる若いライダーも多くないので自然に受け入れられるものとなっていると考えています。

なお、要求機能についてはメーカー主導と考えており、自然なデザインテイストの裏側に安全機能をふんだんに盛り込んだものを常に提供し続けることが最も重要であると認識しています。

RSタイチ藤井さん

バイクに乗るのが目的というより、バイクを使ってのコト消費の傾向が目立っています。そのため販売動向としても普段のファッションにある程度リンクするようなカジュアルなタイプや日常使いを彷彿させるようなモデルの販売比率が10年以上ものあいだ上がり続けています。

その反面、コト消費としてのSNSにおけるメリハリの効いた写り方を狙って、オーソドックスなモデルの復権の兆しも少々垣間見えています。弊社のラインアップは様々なニーズにお応えできる豊富な横展開が特徴的と認識しています。

各社ともトレンドの捉え方に微妙な違いはありますが方向性は概ね一致しており、一目でライダーとわかる往年のデザイン・スタイリングから、日常に溶け込むカジュアルなものへと需要がシフトしているようです。

これまでライディングウェアはバイクに乗るために着用するものでしたが、遊び方の多様化に伴い、ライディングウェアでありながらキャンプや観光などライディング以外のシチュエーションでも馴染むデザインが求められるようになったということでしょう。

 

プロテクター内蔵は当たり前!用途や規格で選ぶ傾向

プロテクター内蔵を感じさせないスッキリしたシルエットのコミネ製「 PK-753プロテクトコットンジョガーパンツ」

コミネ阿知波さん

とりわけ若いライダーの安全意識が高まっているという実感はありませんので、教習所を含めて楽しいバイクライフのためにプロテクターを含めた安全な装備を継続して薦めています。

RSタイチ藤井さん

私たちのブランドのコンセプトとして安全性に重きを置くというスタンスもユーザーには見ていただいていると思いますが、みなさまの年齢に関係なく安全意識はとても高いと感じます。教習所の入り口段階から環境が変わったのではないでしょうか。

昔と比べるとパンツとシューズの販売数が伸びていることからも全身をしっかり保護する流れになってきていると感じます。

以前はCE(ヨーロッパの工業製品規格における乗車用プロテクターの認証)認可のない商品なども混在していたのですが、数年前から全てのジャケット、パンツはCE認可のプロテクターを搭載しています。

ライフウェアのカジュアル化で着心地を気にするユーザーが非常に多くなったことから薄くて軽く、やわらかいというプロテクターに求められる内容と相反する要素の両立が近年のテーマとなりやすく、高い開発技術が必要になっています。

クシタニ井上さん

プロテクターに関する啓発活動の広まりを感じており、大半のお客様がプロテクターを身に着けることを当たり前に感じられている印象です。プロテクターを付けた方が良いかどうかではなく、どのプロテクターを選んだらいいか、というご質問を多くいただきます。

教習所でもプロテクターの装着を強く推奨していることから、近年ライダーの安全意識とともにプロテクターのリテラシーも高まってきています。言い換えれば、自分にとってベストなライディングウェアをチョイスすることが、最もカッコイイことだと認識するライダーが増えているということなのかもしれません。

 

アパレル業界におけるファッションスタイルの多様化・細分化は、ライディングウェアにおいても同様であり、従来までのような流行という大きな波がないからこそ、様々なシチュエーションに順応するデザインが求められているということでしょう。

そうした各々の好みに合わせつつ、デザイン性・安全性・快適性に優れたアイテムを生み出し続けるライディングウェアブランドのプロダクトから今後も目が離せません。

株式会社アールエスタイチ

https://www.rs-taichi.com

株式会社クシタニ

https://www.kushitani.co.jp

株式会社コミネ

https://www.komine.ac

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