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【ロードレース入門】レースの種類と魅力

二輪モータースポーツといえば、やはり「ロードレース」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。サーキットを限界域で駆け抜けるマシンは、現地観戦でも映像でも迫力満点です。ただ、いざ詳しく知ろうとすると「MotoGP」「WSBK」「鈴鹿8耐」「全日本ロードレース」など、次々と名前が出てきて「結局どれが何なの?」と混乱してしまいがちです。本記事では、世界と日本国内の主要カテゴリーを厳選してご紹介。MotoGPとWSBKの根本的な違いをはじめ、日本で開催される「鈴鹿8耐」や「全日本ロードレース選手権」、アマチュアも参加できるクラブマンロードレースまで、それぞれの特徴と見どころを一気に解説します。

MotoGPだけじゃない!ロードレースの種類

まず本題に入る前に、ロードレースというジャンルが「ひと言ではくくれないほど種類がある」という前提を共有させてください。大きく分けると、メーカーが技術の粋を尽くした専用設計車両で戦う「MotoGP」と、市販バイクをベースに戦う「WSBK / JSB1000」があります。さらに、長時間を複数のライダーで走り継ぐ「EWC(耐久) / 鈴鹿8耐」や、国内最高峰の「全日本ロードレース選手権」、そしてアマチュアも走れる「MCFAJ」まで、多くのレースが存在します。

少し変わり種に目を向けると、公道を封鎖した石垣スレスレのコースを最高速330km/h超えで駆け抜ける「マン島TT(Isle of Man TT)」や、電動バイクで競い合う「MotoE」、マカオ市街地が舞台の歴史ある大会「マカオグランプリ」、さらにはアジア地域を転戦し、日本メーカーと若手ライダーの登竜門的な存在の「ARRC(アジアロードレース選手権)」など、まさにバリエーションに富んでいます。

実際どんなレースなのか、本記事では国内4メーカーが特に深く関わる主要カテゴリーに絞ってご紹介していきます。

夢の頂点・究極のプロトタイプ対決「MotoGP世界選手権」

画像提供:本田技研工業

世界最高峰のロードレース選手権「MotoGP」の起源は、1949年にFIM(国際モーターサイクリズム連盟)が創設したロードレース世界選手権にさかのぼります。実は四輪車の世界最高峰カテゴリー「F1(Formula 1)」よりも1年古く、モータースポーツ世界選手権の中でも古い歴史を持ちます。当初は500cc・250cc・125ccなど複数クラスで構成され、2002年に4ストロークへの移行とともに最高峰クラスが「MotoGP」へと改称されました。

MotoGPといえば、カワサキ・スズキ・ホンダ・ヤマハといった日本メーカーの圧倒的な強さがこの競技を語る上で欠かせません。1975年から2006年にかけて、最高峰クラスではヤマハ、スズキ、ホンダといった日本メーカーのマシンがタイトルを獲得し続け、日本製マシンが世界の頂点を席巻する時代が続きました。

画像提供:ヤマハ発動機

その後、欧州勢、特にドゥカティ、アプリリア、KTMが急速に台頭。近年はドゥカティが圧倒的な存在感を示してきましたが、2026年シーズンはアプリリア勢の躍進も目立ち、勢力図は大きく変わりつつあります。マルク・マルケス選手はドゥカティ所属ライダーとして、自身のグランプリ通算100勝を達成。同時にドゥカティにとってもMotoGP通算100勝という節目となるなど、依然としてシリーズの中心人物の一人です。一方で日本メーカーも巻き返しを図っており、ホンダ(HRC)はマシン開発を進めながら復調を目指しています。ヤマハもV型4気筒エンジンを搭載した新型YZR-M1を投入し、Pramac Yamahaにトプラク・ラズガットリオグル選手を迎えるなど戦力強化を進めています。なお、スズキは2022年末でMotoGPから撤退、カワサキは現在ファクトリー参戦を行っていません。

また、MotoGPと同日開催されるMoto2とMoto3は、将来のMotoGPチャンピオンが腕を磨く登竜門です。Moto2は765cc・3気筒(全車共通エンジン)、Moto3は250cc・単気筒で、いずれもライダーの腕が結果に直結しやすいのが特徴です。現在MotoGPで活躍する小椋藍選手も、Moto2を制してMotoGPへ上り詰めた一人。現在のMoto2・Moto3でトップを走る若手が、数年後にMotoGPの表彰台に立つ姿を想像しながら観戦するのも、このシリーズならではの楽しみ方です。

2026年は1000cc最後の年

画像提供:ピアッジオグループジャパン

実は2026年はMotoGP史上大きな転換点となります。というのも、2027年からは排気量が1000ccから850ccへ引き下げられる新レギュレーションに移行します。つまり、2026年は1000ccで戦う最後のシーズンであり、各メーカーが現行マシンの集大成と次世代マシンの開発を同時進行させるという、二重の戦いが繰り広げられているシーズンでもあります。

また、2026年6月時点では、日本人ファンにとってうれしいニュースも続いています。2024年Moto2チャンピオンの小椋藍選手は、MotoGP参戦2年目に第5戦フランスGPで3位表彰台を獲得。さらに第9戦チェコGPではMotoGPクラス初のポールポジションを獲得し、決勝でも2位表彰台に入るなど、世界最高峰の舞台で存在感を示しています。

昔と今でまったく違う、レーシングマシンの進化

選手権が始まった1949年当初、主役は英国製の単気筒・2気筒マシンで最高速は200km/h以下。1960年代に日本メーカーが参入すると多気筒化が一気に進み、世界の常識が塗り替わりました。1970〜90年代は2ストローク500ccの全盛期。2002年にMotoGPが4ストローク990ccへ移行して以降、電子制御・カーボン素材・空力などを取り入れながら急速に進化していきました。現代のMotoGPマシンはトラクションコントロールや多軸IMUなど数十種類の電子デバイスを備え、157kgの車体から約300psを発揮。2016年頃から導入されたウィングレット(空力フィン)はF1マシンを彷彿とさせ、かつての写真と並べると同じ競技とは思えないほどの変貌を遂げています。

市販車世界一決定戦 「WSBKスーパーバイク世界選手権」

1988年に始まったスーパーバイク世界選手権(WSBK)。最大の特徴は、「市販車ベース」のマシンを使うことです。カワサキのNinja ZX-10RR、ヤマハのYZF-R1、ホンダのCBR1000RR-R Firebladeなど、ショールームで購入できるバイクを改造したマシンが「世界最速の市販車」の座を争います。「あのバイクがあんなに速く走れるのか!」という驚きと身近さが、このシリーズ独自の魅力です。

WSBKの歴史を語るとき、外せないのがカワサキとジョナサン・レイ選手の存在です。2015年からの6年間、同選手はカワサキのNinja ZX-10Rで前人未到の6連覇を達成。これはWSBK史上最多連覇記録です。なお、ジョナサン・レイ選手は2025年限りでフルタイム参戦を終了しています。

ドゥカティは歴代最多のタイトル数を誇るWSBKの雄ですが、日本メーカーも常にトップ争いに加わってきました。ヤマハは2021年にトプラク・ラズガットリオグル選手をチャンピオンに育て上げました。また、2026年は大きな転換点となっています。2024・2025年と連続してWSBKチャンピオンになったトプラク・ラズガットリオグル選手がMotoGPに移籍し、6連覇王者のジョナサン・レイ選手も2025年限りでフルタイム参戦を終了。主役2人が不在の中シーズンを迎えました。現在の選手権リーダーはドゥカティのニコロ・ブレガ選手で、カワサキは「Kawasaki WorldSBK Team」と「Bimota by Kawasaki Racing Team(KB998 Rimini)」の2体制で6年ぶりのタイトル奪還を狙っています。

日本人ライダーのこれまでを振り返ると、芳賀紀行選手の年間ランキング2位(2000・2007・2009年)が最高位で、タイトル獲得はまだ達成されていません。

日本最大のバイク祭典!「FIM EWC(耐久世界選手権)&鈴鹿8時間耐久ロードレース」

鈴鹿8耐の歴史は1978年7月にさかのぼります。第1回大会の初代優勝は吉村秀雄氏率いるヨシムラスズキ(ライダー:ウェス・クーリー選手 / マイク・ボールドウィン選手)。ホンダがワークスマシンで優勝候補と目されながら無念のリタイアを喫し、プライベートチームが制したというドラマから鈴鹿8耐は始まりました。その後日本最大の二輪耐久レースとして今日まで続き、2026年は47回目となります。

鈴鹿8耐はFIM世界耐久選手権(EWC)の一戦でもあり、ル・マン24時間、スパ8時間、ボルドールなどと並ぶシリーズを構成します。8時間という長丁場を2名または3名のライダーがローテーションしながら走り継ぐ独特の形式で、タイヤをいつ交換するか、誰をいつ乗せるか、雨が降り出したらどう判断するかなど、チームのピット判断が勝敗に直結します。転倒やマシントラブルへのリカバリー力、刻一刻と変化する路面コンディションへの対応など、「耐久力+判断力」の総合戦と言えるでしょう。

国内4メーカー(カワサキ・スズキ・ホンダ・ヤマハ)が揃い踏みし、世界のトップライダーが一堂に会す鈴鹿の夏は、日本のバイクファンにとって最大の祭典です。

なお、2026年の第47回大会は7月3日(金)〜5日(日)に開催されます。注目はHonda HRCの5連覇挑戦です。鈴鹿8耐で単独最多勝記録となる7勝を誇る高橋巧選手、現役MotoGPライダーのヨハン・ザルコ選手、そして2025年限りでWSBKのフルタイム参戦を終えた6連覇王者ジョナサン・レイ選手という豪華3名体制で臨みます。一方のヤマハファクトリーは、全日本ロードレース13冠の中須賀克行選手に、現役MotoGPライダーのジャック・ミラー選手、WSBKで活躍するアンドレア・ロカテッリ選手を加えた3名体制で2018年以来の優勝奪還を狙います。

画像提供:スズキ

スズキも水野涼選手を起用したチームスズキCNチャレンジで参戦。カワサキ勢では、Kawasaki Plaza Racing Teamが新型Ninja ZX-10Rを投入し、SSTクラスに挑みます。かつての黄金時代を知るジョナサン・レイ選手がホンダのマシンで鈴鹿に帰ってくるというドラマも、今年の8耐を盛り上げる大きな要素です。 

国内から世界へ「全日本ロードレース選手権」

全日本ロードレース選手権の歴史は1967年にさかのぼります。最高峰クラスはF750・GP500・スーパーバイクと時代に合わせて変遷し、2003年に現在の「JSB1000」クラスへ。市販スーパースポーツをベースとした車両が最高速300km/h超で争う、国内最高峰のカテゴリーです。

このカテゴリーを語る上で欠かせないのが、ヤマハファクトリーの中須賀克行選手です。2005年のJSB1000参戦開始から2025年までに通算94勝・13回のチャンピオンという前人未到の記録を誇り、2026年シーズンも現役でYZF-R1を駆り続けています。

対するホンダはAstemo Pro Hondaから野左根航汰選手が出場し、王座奪還を狙います。スズキは津田拓也選手が100%カーボンニュートラル燃料を使用した「チームスズキCNチャレンジ」として独自のテーマを掲げて参戦。なお、Kawasaki Plaza Racing TeamはJSB1000ではなくST1000クラスを主戦場としており、全日本では岩戸亮介選手らが参戦しています。

全日本ロードレースは全国のサーキットを転戦し、2026年は全7大会が予定されており、JSB1000クラスは全10レースが行われます。ここで活躍したライダーがWSBKやMotoGPへステップアップしていく、そんな成長物語を追う楽しさがあり、初めてサーキット観戦に挑戦するには最適な入口のひとつです。

観るだけじゃない!参加型レースの入口「MCFAJクラブマンロードレース」

全日本ロードレース選手権が厳格なレギュレーションの下でトップライダーが競うのに対し、MCFAJクラブマンロードレースは「楽しみながら走る」ことを根底に置いているため、より幅広いライダーが参加できます。開催クラスは、入門者向けの「NP150」(〜150cc)から、最高峰の「アンリミテッド」(750cc超)まで排気量で細かく区切られた現代車クラス、80年代の鉄フレームマシンで争う「スーパーモンスター’80s」、1972年以前の英国車や、1980年以前の日本旧車が走る旧車クラス(COTT、LOCなど)、1940〜1960年代のハーレーやインディアンが走る「HD-AVCC」、そしてサイドカーレースまで、「何でもあり」な懐の深さが最大の特徴です。

参加者は20代〜80代と幅広く、「競いながらも楽しむ」雰囲気が特色。ワンデーライセンス制度によりスポット参戦も可能(いくつかの条件はあります)なので、「いつか自分も走ってみたい」と思わせてくれる、このシリーズならではの間口の広さがあります。

なかでも異彩を放つのは、ハーレーダビッドソンやインディアンの旧車(1940〜60年代)が筑波サーキットを走る「HD-AVCC」クラス。いわゆるハンドシフト時代のアメリカンが走る光景は、バイクファンでなくとも見入ってしまう迫力があります。著名芸能人などが複数台でエントリーするなど、エンタメとしての注目度も高いです。

ロードレースはMotoGPだけでなく、WSBK・耐久・全日本など多様な舞台があり、それぞれにドラマやこだわりが詰まっています。カワサキ・スズキ・ホンダ・ヤマハという日本メーカーが最高峰の舞台で世界と戦い続けている事実は、二輪文化の誇りであり、観戦するための大きな理由にもなります。
まずは難しく考えずに、YouTubeや各公式チャンネルで気になったシリーズのダイジェスト映像を検索してみてください。そして一つでも魅力を感じたら、ぜひサーキットへ足を運んでみてください。

MotoGP公式サイト

https://www.motogp.com/

WorldSBK(WSBK)公式サイト

https://www.worldsbk.com/

鈴鹿8時間耐久ロードレース公式サイト

https://www.suzukacircuit.jp/8tai/

全日本ロードレース選手権(MFJ)

https://www.mfj.or.jp/

MCFAJクラブマンロードレース

https://mcfaj.com/

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