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若者はMotoGPをどう楽しんだ?

世界最高峰のバイクレース「2025 FIM MotoGP™ 世界選手権シリーズ」(以下、MotoGP)の第17戦日本グランプリが、2025年9月26日(金)から28日(日)の3日間、モビリティリゾートもてぎにて開催されました。ホンダ、ヤマハといった国産メーカーの躍進に加え、トップカテゴリーで奮闘する日本人ライダー 小椋 藍選手(トラックハウス・レーシングチーム)の活躍、さらにはワールドチャンピオン決定の可能性もある大一番とあって、9万人を超える来場者で会場は賑わいました。

熱気に包まれたレース会場で、観戦に訪れた若者たちにMotoGPの魅力や感想を伺いました。

MotoGP 日本グランプリ ダイジェストレポート

日本グランプリでは国産メーカーチームの活躍に期待が寄せられます

結果次第では、マルク・マルケス選手(ドゥカティ・レノボ・チーム)のワールドチャンピオンが決定する大一番となった今回のレース。日本開催とあって、ホンダとヤマハのバイクを用いるレーシングチーム、日本人ライダーの奮闘に大きな期待が寄せられました。

初のMotoGP参戦となった今年の開幕戦では5位入賞を果たし、ポイントランキングでもトップ10入りした小椋選手や、ワイルドカードとして参戦した中上 貴晶選手(ホンダHRCテスト・チーム)には、モビリティリゾートもてぎの会場でもひときわ大きな歓声が上がっていました。予選の結果、スターティンググリッド(スタート位置・順位)は小椋選手が13番手、中上選手は20番手となりました。

ワイルドカードでの出場となった日本人ライダー中上選手。ポイント獲得に期待が集まります

予選2位のジョアン・ミル選手と予選7位のルカ・マリーニ選手(ともにホンダHRC)、今年の鈴鹿8時間耐久レースに参戦したヨハン・ザルコ選手(カストロール・ホンダLCR)とジャック・ミラー選手(プリマ・プラマック・ヤマハMotoGP)、2021年のMotoGPワールドチャンピオンであるファビオ・クアルタラロ選手(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)、初のタイ人ライダーとなるソムキャット・チャントラ選手(イデミツ・ホンダLCR)など、国産メーカーのバイクに乗る選手も実力派揃い。決勝レースは熱戦が予想されます。

MotoGPクラスの決勝レースの火蓋が切って落とされました
序盤にマシントラブルが発生したものの、そのまま首位を走り続けるバニャイア選手

決勝当日、前節サンマリノGPでの転倒時に負傷した右手の状態が悪化した小椋選手が欠場するという残念なニュースが入りました。唯一の日本人ライダーとなった中上選手や国産メーカーのチームに期待が寄せられるなか、レースはスタートしました。

スタートからまもなく、ポールポジションから出走したフランチェスコ・バニャイア選手(ドゥカティ・レノボ・チーム)のマシンから白煙が噴き出すトラブルが発生。バニャイア選手はピットに戻ることなく、そのまま走り続けます。

マルク・マルケス選手(左)とミル選手の激しい順位争い!

ワールドチャンピオンを獲得するには2位以上でフィニッシュしなければならないマルク・マルケス選手は、2位のミル選手を抜いてバニャイア選手を追走します。一時は5位まで順位を落としたミル選手でしたが、2周目には再び4位に浮上し、その後も激しいバトルを繰り広げ、14周目には3位に浮上します。

活躍が期待される中上選手は20周目(日本グランプリは全24周)までポイント圏内(MotoGPでは1位から15位までポイントが与えられます)を走っていましたが、その20周目の10コーナーで転倒してしまい、無念のリタイアとなりました。

レース終盤、マシントラブルの懸念を抱えながらも、バニャイア選手はそのまま走り続け、見事優勝を飾りました。マルク・マルケス選手は2位でフィニッシュし、見事2025年度のワールドチャンピオンに輝きました。3位には、ホンダHRC所属としては初、そして自身は4年振りの表彰台となったミル選手が入りました。

(左から)2位のマルク・マルケス選手、優勝したバニャイア選手、3位のミル選手

マルク・マルケス選手のワールドチャンピオン決定、バニャイア選手の今シーズン初優勝、ミル選手の4年振りの表彰台など、話題に溢れた2025年のMotoGP日本グランプリ。来年は国産メーカーのレーシングチームによる表彰台の独占や、日本人選手の活躍など、日本のメーカーや日本人が輝くシーンをぜひ見てみたいですね。

MotoGPを楽しむ若者の声

3日間で9万人を超える動員を記録したモビリティリゾートもてぎで、迫力のレースは若者たちにどう映ったでしょうか?

大阪からMotoGP観戦に来た仲良し家族

岸本 隆宏さん(43歳)、彩さん(38歳)、貴治くん(7歳)、泰宏くん(5歳) (大阪府)

「家族で4度目のMotoGP観戦です。僕が大学生の頃からバイクに乗っていて、自宅でMotoGPをテレビ観戦していたら妻が興味を持ち出して、一家で観にくるようになりました。今はホンダ『NSR250』に乗っています。

日本人ライダーに活躍してほしいので、今回は小椋選手を応援しています。ホンダにも頑張ってほしいですね」(隆宏さん)

「夫の影響でバイクやレースに興味を持ち始めて、今では家族で誰よりもバイク熱が高いかもしれません。一昨年にバイクの免許を取得して、自分のバイクが欲しいところですが、レース観戦を十分楽しめているので満足です。

推しはマルク・マルケス選手です!息子2人もマルケス選手が好きで、今回の日本グランプリでワールドチャンピオンに輝いてくれるよう、全力で応援します!」(彩さん)

ともにMotoGPにのめり込むバイクカップル

左:ヨシハラ コトナさん(27歳 / 愛知県)
右:タカヒラ シュウマさん(28歳 / 愛知県)

「昨年、初めて一人でMotoGPを現地観戦して、すごく面白かったので、今年は彼女を誘いました。モビリティリゾートもてぎまでの観光を楽しみたくて、クルマで車中泊しながら来たんです。クアルタラロ選手が大好きで、今回も応援しています!チームを変えた選手がどんな走り方になるのかを見るのもMotoGPの面白さですよね」(タカヒラさん)

「マルク・マルケス選手を応援しています!MotoGPはレースはもちろんですが、イベントも多くて気になるお店もたくさん出ているので、会場の雰囲気が楽しいですね。MotoGPの世界を丸ごと楽しみながら、マルケス選手がワールドチャンピオンに輝くのを見届けたいと思います!」(ヨシハラさん)

バイクとライブを楽しみにきた高校生

左:徳原 悠人さん(17歳 / 栃木県)
右:金子 潤さん(18歳 / 栃木県)

「アイドルグループ『CANDY TUNE』のライブを観たくて来ました。通っている学校ではバイク通学が禁止ですが、バイクには興味があります。漫画に出てくるバイクを見ると、カッコいいなって思います。普段バイクに触れられる機会がないので、この会場でバイクやヘルメットなどに触れてみたいと思います」(徳原さん)

「徳原くんに誘われて来ました。MotoGPの会場に来たのは初めてです。栃木県が地元ですが、機会がないと(モビリティリゾートもてぎまで)なかなか来ることはないですね。

バイクには興味があります。アメリカンのスタイルが好きですね。これから受験で、大学生になったら自動車の免許を取りに行きたいと思っています。ここで学科試験に通っておけば、バイクの免許は実技試験だけになりますよね。懐事情にもよりますが、バイクに乗れるようになりたいですね」(金子さん)

家族全員でもてぎまで!

ナカノ ケンゴさん(55歳)、ユウコさん、リュウキくん(15歳)、カイキくん(13歳)、リオちゃん(11歳) (神奈川県)

「4年前、一人で生観戦したMotoGPがとにかく面白くて、その翌年には妻と二人で観戦しました。そうしたら妻もMotoGPの魅力にハマってくれたんです。家族のなかでバイクに乗っているのは私だけなのですが、子どもたちもバイクに興味津々で、それで今年は一家でやってきました。みんなMotoGPの会場の雰囲気を楽しんでくれていて、連れてきて本当に良かったと思います」(ケンゴさん)

「MotoGPの魅力は、なんと言っても生で聞くサウンドと迫力ですよね!本当に楽しいし、ワクワクします。私が好きなのは、イケメンのホルへ・マルティン選手(アプリリア・レーシング)です。

MotoGPの会場に来たら、いろんな選手やチームのことを家族で話しながら楽しめるんです。今日1日、MotoGPの世界を堪能したいと思います」(ユウコさん)

はるばる台湾から日本GP観戦のカップル

左:チャーリーさん(21歳 / 台湾)
右:ウィリアムさん(23歳 / 台湾)

「この日本グランプリを観るために台湾から来ました。初めてのMotoGP観戦で、とても興奮しています。彼女も一緒に楽しんでくれているのも嬉しいです。僕が好きなのは、マルク・マルケス選手です。とても強いハートの持ち主で、魅力的なライダーです。彼の活躍が今から楽しみです」(ウィリアムさん)

「これまでMotoGPはずっとテレビ観戦でしたが、彼が誘ってくれて、初めてMotoGPの会場に来られました。とても感激しています。私も彼と同じく、マルク・マルケス選手を応援しています!」(チャーリーさん)

バイク大好き親子ライダー

左:サトウ ミサオさん(53歳 / 新潟県)
右:サトウ タケルさん(16歳 / 新潟県)

「新潟から息子と二人で来ました。今年の注目は、やはり小椋選手ですよね!

息子もバイクに興味がありまして、親子で一緒にレース観戦できるのはとても嬉しいです。いつか二人でツーリングしながら、モビリティリゾートもてぎを訪れてみたいですね」(ミサオさん)

「MotoGPを初観戦したのは一昨年(2023年)で、そのときはものすごく感動しました。昨年は受験のため生観戦を見送りまして、今年再びモビリティリゾートもてぎに来ることができました。

ヤマハが好きなので、クアルタラロ選手を応援しています。レースに集中しているときの彼の姿がカッコよくて憧れます。まだバイクの免許を持っていませんが、免許を取れたらヤマハ『SR400』に乗りたいです!」(タケルさん)

カレシはバイクに詳しい人がいい

左:ミサキさん(22歳 / 岩手県)
右:アイさん(21歳 / 岩手県)

「小さい頃からテレビでMotoGPを観ていて、生観戦は今回で4度目です。Moto2クラスやMoto3クラスも好きで、選手が成長してクラスアップしていくのを見守っています。今注目しているのは、Moto2のジェイク・ディクソン選手(ELF Marc VDSレーシングチーム)です。

実は、父がヘルメットメーカーのSHOEIに勤めているのですが、父からバイクを勧められるようなことは全然ありませんでした。ただ、家のなかにバイクやレースの世界が広がっていたので、自然とバイクの世界にハマっていった感じです。家族でのMotoGP観戦も恒例行事になっています」(ミサキさん)

「今年で3度目のMotoGP観戦です。興味を持ち始めたキッカケは選手の顔からで、みんな本当にカッコよくてどんどん惹かれていきました。そこから、乗っているバイクやヘルメット、レーシングスーツのデザインを覚えていって、MotoGPの世界が楽しくなってきたんです。私の推しはクアルタラロ選手です!」(アイさん)

憧れのMotoGP、雰囲気は最高!

左:イノウエ ユウキさん(26歳 / スズキ「GSX-R1000」)
中央:オオサキ イツキさん(27歳 / カワサキ「ZX-10R」)
右:コヤモト タクヤさん(25歳 / ホンダ「CB1000 HORNET」「GROM」)

「会社にバイクのレーシングチームがあって、その仲間と来ました。MotoGP観戦は今回が2度目で、初めてのときの感動をまた味わえてとても嬉しいです。マルク・マルケス選手とバチバチな雰囲気で走るクアルタラロ選手が大好きです!」(イノウエさん)

「MotoGP観戦は今回が4度目です。いつもマルク・マルケス選手を応援しています!ワールドチャンピオンに輝く瞬間に立ち会えるかもしれないなんて、嬉しすぎます!

何度来ても、現場の生音と迫力はすごいですね。(MotoGPに)まだ興味がないという人でも、ここに来たら絶対感動します。ぜひ一度はMotoGP観戦に来てみてほしいですね!」(オオサキさん)

「普段からサーキットを走っていることもあって、その最高峰に位置するMotoGP観戦は本当にワクワクしますね。パドックパスチケットでいろんなところに行けるので、観戦スポットを渡り歩きながらレースを観たり、ピットウォークを歩いている選手に遭遇できたりと、MotoGPをとことん満喫できています!」(コヤモトさん)

家族でレースもイベントも満喫!

カオリさん、ナツキちゃん(7歳)、トウヤくん(2歳)(東京都)

「家族でMotoGP観戦に来ました。もちろんレースがメインですが、小さな子どもが楽しめるイベントや設備がたくさんあるので、家族みんなでMotoGPを楽しめています。息子はまたがったり触ったりできるバイクがたくさんあって嬉しいみたいですし、娘は大好きなマルク・マルケス選手が直近にいるとあって喜んでいます。私は中上選手が大好きなので、ワイルドカード参戦してくれて嬉しいです!」(カオリさん)

MotoGP観戦にハマってしまった一家

ウチガサキ グンさん(30歳)、アカリさん(29歳)、ユズちゃん(5歳)、シキくん(3歳)(宮城県)

「バイク乗りの父の影響から根っからのバイク好きで、私の名前も某バイク漫画の主人公から付けられています。6年ほど前からオンライン動画配信サービスでMotoGPを観るようになり、昨年には一人でMotoGP観戦に来たのですが、もうその迫力に魅了されてしまって、今年ついに家族揃って観戦に来ました。小椋選手の走りが観られなかったのは残念ですが、来年元気に走る姿を観にきます!」(グンさん)

「応援していたマルク・マルケス選手が日本でワールドチャンピオンになれて、本当に嬉しいです!ここまで来た甲斐がありました。

バイクの免許を持っていないのですが、今はバイクに乗りたくて仕方ありません。早く免許を取らないと、子どもたちに追い越されちゃうかも」(アカリさん)

バイクでつながる大学生チーム

左:ヤジマさん(22歳 / 神奈川県 / カワサキ「ZX-6R」)
左から2番目:マツオさん(22歳 / 神奈川県 / スズキ「SV650」)
右から2番目:ヤマウチさん(22歳 / 神奈川県 / カワサキ「Ninja 250」)
右:マルコさん(22歳 / 神奈川県 / カワサキ「Ninja 250」)

「バイクが縁でつながるようになった4人組です。普段はみんなで一緒にツーリングしていて、宮ヶ瀬湖や横浜赤レンガ倉庫まで走りに行ったりしています。

3人が『MotoGPを観戦したことがない』というので、僕が誘いました。小学6年生のときに一度だけ来たことがあるのですが、『大きな音だなぁ』という印象があっただけですね。バイクに乗るようになって、改めてMotoGPライダーのすごさを実感しました。会場もお祭りのような雰囲気で、賑やかで良いですね。みんなでMotoGPを楽しんでいます!」(マルコさん)

番外編:MotoGPを目指すチャンピオンライダーも観戦!

左:国立 和玖さん(13歳 / 愛知県)
右:知識 隼和さん(14歳 / 大阪府)

「2024年 FIM MiniGP World Seriesチャンピオンです。世界最高峰であるMotoGPを直に観るのは勉強になるし、何より面白いですね。マルク・マルケス選手とクアルタラロ選手が抜群にカッコいいです。自分も近い将来、ここでMotoGPライダーとして走りたいと思っているので、応援よろしくお願いします!」(国立さん)

「2024年 FIM MiniGP Japan Seriesチャンピオンです。今回、国立選手とMotoGP観戦しながら、先輩ライダーの走りを勉強させてもらいました。僕もMotoGPを目指して頑張っていきますので、ぜひ応援に来てくださいね!」(知識さん)

ライダーを惹きつける世界最高峰のバイクレース

推しのライダーやチーム、お目当てのアイドルのステージ、会場の雰囲気そのものと、楽しみ方は千差万別ながら、誰もが世界大会の雰囲気を存分に楽しんでいました。これまでのレースの歴史やライダーについて深く知らなくても、世界各国で開催されているワールドワイドなイベントを存分に味わえるのがMotoGPです。

「まだ観戦したことはないけど、日本中からライダーが集まるビッグイベントに行ってみたい」と思われた方は、ぜひ来年モビリティリゾートもてぎまでお越しください。初めて観る世界最高峰のレースは、その迫力とともにあなたに大きな感動をもたらしてくれるでしょう。

心を震わせる音とスピードのなかに、きっとあなたの新しい“バイクの原点”が見つかります。

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