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女子ライダーがサーキットを走る!Kawasaki Ninja Team Green Cup レディースクラスに密着

マシンの性能を最大限引き出すサーキットでのレースはモーターサイクルの楽しみ方のひとつであり、ライダー自身のライディングテクニックを高めてくれる場でもあります。ハードルが高いと言われるサーキットでのレースですが、その人気は衰えておらず、日本各地に点在するサーキットでさまざまなカテゴリーのレースが実施されており、参加者はもちろん、レース観戦者も大勢います。

近年はレースに参加する女性ライダーの増加から、女性ライダーで構成されるクラスが設けられています。今回は株式会社カワサキモータースジャパン(以下、カワサキ)企画の「Ninja Team Green Cup」のレディースクラスに密着し、レースを終えるまでの一日の模様をお届けするとともに、参加者の感想、レディースクラスを設けた企画担当者にお話を伺いました。

Ninja Team Green Cupとは

Ninja Team Green Cupは、カワサキが2021年からスタートした Ninja ZX-25Rのワンメイクレースで、サーキットエントリーユーザーが安心してその第一歩を踏み出すことのできることをコンセプトとしています。一般的にレース用の車両を手に入れるというのはどうしてもハードルが高いですが、このNinja Team Green Cupでは公道仕様のモーターサイクルをベースに仕様を変更してレースを行う、言わば普段の街乗りの延長線上でレースが楽しめる大会なのです。

市販されている Ninja ZX-25Rに安全性を考慮した最小限の加工を加えた専用マシン

本大会は現在、「クラス1」「クラス2」「レディースクラス」の3クラスで構成されており、クラス1はNinja Team Green Cupがメインで迎えるサーキット初心者や未経験者が楽しむクラスで、クラス2はMFJ選手権で入賞やポイント獲得経験のある方やNinja Team Green Cupで上位入賞者(または優勝経験者)といった経験豊富な参加者で構成されています。そしてレディースクラスは、2024年より新設された女性向けのクラスです。

今年のNinja Team Green Cupはオートポリス(大分県日田市)、岡山国際サーキット(岡山県美作市)、鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)、SPA直入(大分県竹田市)、モビリティリゾートもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町)と全国に点在する各サーキットでの全5戦を予定しており、レディースクラスはそのうちの岡山国際サーキットとSPA直入での2戦が行われる予定です。昨年(2023年)からよりレースの雰囲気を盛り上げるために年間ランキングが設けられ、それによってリピーターも増えているそうです。

初心者向け講習会も用意されている午前の部

レース当日の2024年6月16日(日)、会場である岡山国際サーキットでは6時15分から正面ゲートにて出場受付が始まり、それから自身の車両を持ち込む参加者の公式車検が行われます。検査をパスした参加者は8時からコントロールタワーにて、レース出場に関する必要事項や注意事項等の説明を受ける「ブリーフィング」に参加します。ブリーフィングでは主にサーキットのコース説明やルール、シグナルやフラッグの説明、スタートとレース走行時の説明と注意点、そしてペナルティについて30分ほどレクチャーされます。

いよいよ予選開始。緊張感が走ります
予選でタイムアタックに挑む参加者

ブリーフィングを終えると、公式予選の開始です。参加者はレーシングスーツに着替えるなど準備を始めます。Ninja Team Green Cupの公式予選は9時20分から10分間設けられていて、そのあいだにコースを周回し、1周のタイムが早い順に決勝レースのスタートグリッド位置が決まります。なので、少しでも良いスタートグリッドから走ろうと、参加者は皆0.1秒でもタイムを縮めようと集中して走ります。

予選を走り終え、午後の決勝レースに挑むにあたってスタッフからアドバイスを受けます
現役の全日本ロードレーサー、岩戸亮介選手によるスタート講習会

公式予選から決勝レースまでは時間に余裕があるので、参加者は昼食を摂るなどレースに向けての準備に入ります。この時間帯には、サーキット初心者向けのスタート講習会も開催されます。パドックの真上にある控え室から、他のレースのスタート準備やスタート方法を実際に見学しながらレクチャーを受けるもので、ここで講師を務めてくれるのは、全日本ロードレース選手権に参戦するKawasaki Plaza Racing Teamの岩戸亮介選手です。プロのレーサーによるサーキット講習会は初心者でなくても貴重な機会、皆さん真剣に聞き入っていました。

いよいよ決勝レースが開始!

指定のスタートグリッドについて合図を待つ参加者。まるで本格的なレースのようです

14時からの決勝レースを前に、参加者は30分前には再びレーシングスーツに着替えてレーススタートを待ちます。マシンにまたがったら合図に合わせてパドックから順番にコースインし、公式予選のタイムによって取り決められたスタートグリッドにつきます。ライダーごとにスタッフがついてアドバイスするなど、その様相はプロのレースシーンを彷彿させます。

決勝レースの前、皆さんから笑顔が見られました

ほとんどの参加者が初参加というレディースクラス、初めての本格的なレースを前に皆さん緊張している……かと思いきや、どなたも笑顔でリラックスしていました。緊張よりも、これから始まるレースが楽しみで仕方がないようです。

レース開始3分前のコールがかかると、笑顔が一変して真剣な表情に変わります。レースへの集中力が高まる、参加者、そして観戦者にも緊張感が走るレース特有の雰囲気に包まれます。

生き生きとしたライディングを見せる参加者。(写真提供:株式会社カワサキモータースジャパン)
モーターサイクル用エアバッグを装着して走るライダーも。(写真提供:株式会社カワサキモータースジャパン)

コースを一周するウォームアップランを終え、再びスタートグリッドに戻ってきます。そして、グリーンシグナルが点灯していよいよ決勝レースがスタート。全長3.7kmの岡山国際サーキットを8周するこの決勝レース、いかに他のライダーより速く走って上位を目指すわけですが、それ以上にレースシーンでモーターサイクルを操る楽しさを存分に味わわれていました。

レディースクラスで見事優勝したのは、モーターサイクルジャーナリストの小林ゆきさん
最後は参加者全員で集合写真。Kサインと笑顔が素敵です

アクシデントもなく、全員が無事フィニッシュを迎えました。レース後にはシャンパンファイトも含めた本格的な表彰式が開催されるなど、皆さん満面の笑みでレースを楽しまれていました。

参加者に聞いたレース体験談

今回、Ninja Team Green Cup レディースクラスに参加した方々に感想を語っていただきました。

愛知県
柴田久佳さん

「サーキットは初めてでしたが、実際に走ってみて、際限なくスピードが出せる爽快感が最高でした。ツーリングとは全然違いますね。また機会があれば走ってみたいです。自分自身は自分のモーターサイクルで一般道を走るのがやっぱり楽しいので、街乗りでのライディングテクニックの向上を目的に、サーキットでの経験を重ねていけたらと思います」

京都府
橋本淳子さん

「レース出場は今回が初めてでした。少し恐怖心はありましたが、結果がきちんとタイムとして出てくるのが面白くていいですね。今回乗車したNinja ZX-25Rは、今年3月にこの大会に出場していた人から譲ってもらったもので、何度か練習もしました。今回、その練習の成果として自己ベストのタイムが出たのも良かったです。次は鈴鹿サーキットでの大会に出ようかなと考えているところです」

大阪府
上田知加さん

「(サーキット走行は)公道とは違うので、最初は恐怖心があったのですが、走ってみると人やクルマもいないし、自分のペースで自由に走れるのが楽しいなと感じるようになりました。慣れてくるにつれて、もっと速く、もっと速く走りたいと思っちゃいますね。今回は完走するのが目的だったので、やりきれたという達成感があります」

Ninja Team Green Cup企画担当者に話を聞いた

今回Ninja Team Green Cupに新設されたレディースクラスについて、企画を担当するカワサキモータースジャパンの國川こはくさんにお話を伺いました。

株式会社カワサキモータースジャパン 
CS部 KAZE運営課
國川こはくさん

「昨年までのNinja Team Green Cupでは、男女ともにクラス1にご参加いただいていました。このレディースクラスは女性がモータースポーツに一歩踏み出すことのできる、また楽しんでもらえる場をカワサキとして作りたいと考えたところから新設されました。

昨今Ninja ZX-25Rに乗っていただいている女性の方も多く、街乗りやツーリング、ワインディングなどさまざまあるモーターサイクルの楽しみ方のひとつとしてサーキットを走る楽しみを知ってほしい、それによってライダーとモーターサイクルの関わりがより豊かなものになってもらえたらという願いが(レディースクラス新設の)根底にあります。

実際、ご参加いただいた皆さまから『女性だけのクラスが設定されたことで、これまではサーキットを走ることに興味はあっても自信がなかったのが、私でも参加してもいいのかなという気持ちになれました』という声を聞くことができて、レースに参加するハードルを少し下げることができたのかなと思っています。

レディースクラスはこの2024年が初開催となるので、どんな方がご興味を示してくださるのかはこれからになりますが、今回『レディースクラス開催記念キャンペーン』を実施した影響もあってか、挑戦してみたいという女性ライダーから応募がたくさんありました。レディースクラスの導入により、これからも幅広い層のライダーに参加いただき、モータースポーツの世界がもっと広まっていくと、企画運営側としては嬉しい限りです。

Ninja Team Green Cupはレース、モータースポーツの入り口という位置付けなので、よりたくさんのライダーにモータースポーツを楽しんでいただけるようなイベントにしていきたいと考えています」

エントリーにふさわしいレースの世界へ

今回参加された方が揃って口にされたのは、やはり「サーキット走行やレースへの興味はあるものの、やはり敷居は高い」ということでした。Ninja Team Green Cupのクラス1はもちろん、このレディースクラスが参加へのハードルを大きく下げたのは間違いありません。そして実際に参加した方々は皆笑顔で「楽しかった」「面白かった」と話し、今後のレース参加に関しても前向きな言葉も聞かれました。

いつもとは違ったモーターサイクルの楽しみ方を体験できるとともに、サーキットを走ることで自分自身の走りを理解し、自分のライディングと向き合えるのがサーキット走行やレースの魅力です。このレースイベントは、サーキット走行やレースに興味を持つライダーに最初の一歩を踏み出させるとともに、実体験することでその魅力に気づいて新たなモーターサイクルの楽しみ方を広げてくれるものとなっていました。普段のモーターサイクルライフへのフィードバックも得られる機会にもなるので、サーキット未体験の方も参加を検討されてみてはいかがでしょうか。

Kawasaki Ninja Team Green Cup レディースクラス

https://www3.kawasaki-motors.com/mc/ninjateamgreencup/ladiesclass/

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