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競って高めるバイクの安全運転技能!「二輪車安全運転」東京大会をレポート

警視庁交通部と一般財団法人東京都交通安全協会、一般社団法人 日本二輪車普及安全協会の共催という形で、二輪車の運転技能の向上と交通マナー、交通事故の防止を目的とした「第52回二輪車安全運転東京大会」が、2024年5月26日(日)に警視庁府中運転免許試験場で開催されました。二輪車安全運転東京大会の模様とともに、表彰された参加者や活動にかける想いについて、警視庁 交通部 交通総務課長(警視正)の尾嵜涼太さんにお話を伺いました。

二輪車安全運転大会とは

全国各地で開催されている「二輪車安全運転大会」は、二輪車運転者の安全運転技能と交通マナーの向上を図ることによって、交通事故を防止するとともに二輪車の普及や安全利用の促進を目的としています。2021年までは全国大会も行われていましたが、現在は都道府県ごとの開催のみとなっています。

今回取材した「二輪車安全運転 東京大会」は、コロナ禍の2020〜2022年に開催が見送られましたが2023年に再開され、この2024年大会で通算52回目の開催となります。各地の大会でクラス分けの基準が異なりますが、この東京大会では以下の4クラスに分けられます。

  • 原付クラス(50cc以下)
  • 小型二輪クラス(51〜125cc)
  • 普通二輪クラス(126〜400cc)
  • 大型二輪クラス(401cc以上)
今回の東京大会に参加した方々のバイクがずらりと並びます

参加条件は以下のようになっています。

  • 二輪免許保有者であれば誰でも参加可能(拒否や保留も含めて、過去3年以内に運転免許の取消や停止処分を受けた人は除外対象)
  • 各クラス40名までで、申し込み先着順
  • ご自身で保有されている一般市販車を持ち込み(50cc以下は貸し出し車両あり)
  • ヘルメット、グローブ、二輪乗車用靴、胸部プロテクターが参加装備として必要

二輪車安全運転大会の詳細

競技開始前、コースの下見をしながら二輪車安全運転指導員より説明を受けます

受付を済ませた参加者は、二輪車安全運転指導員とともにコース内を徒歩で下見しながら一連の流れを説明してもらい、最後に競技方法と規則についての説明を受けます。そして開会式の後に競技が開始されます。競技は原付クラスから始まり、小型二輪クラス、普通二輪クラス、そして大型二輪クラスの順で進んでいきます。

競技種目は大きく分けて2種目あり、運転技能の向上を図る4種類(コーススラローム走行、応用一本橋走行、応用千鳥走行、ブレーキング)の「技能走行」と、交通ルールやマナーが実践でき、模範ライダーの育成に繋がる「法規走行」で構成されています。

コーススラローム走行の模様

競技が始まり、まずは「技能走行」から。連続するカーブを緩急を付けながら抜けていくコーススラローム走行からはじまり、次に一本橋の前後にパイロンで作られた緩やかなカーブを擁した応用一本橋走行、そして随所にゲートが設けられた傾斜角が制限された狭いコースを安全かつ的確に通過していく応用千鳥走行と続きます。

応用一本橋に挑む参加者

これらをクリアすると、タイトな二輪コースから広い四輪コースに出ての「法規走行」が開始されます。四輪コースにはさまざまなポイントが設けられていて、一時停止や進路変更、合図、右左折等、交通法規に従った運転を行ないながらポイントを通過していきます。

技能走行におけるブレーキング(制動)の模様

そして最後の競技となるのがブレーキング(制動)で、指定されたギアと速度で走行し、ブレーキ開始位置からブレーキをかけて指定された停止距離内で停止せねばなりません。無事停止できたら、すべての競技が終了となります。

コースの各所に二輪車安全運転指導員がいてチェックしています

採点方法は持ち点1000点からの減点方式で、指示違反や足つき、エンスト、安全不確認等の基準共通事項に加えて、競技別に細かく設定された減点項目によって厳しく採点されます。そして最終的に持ち点の高い人が評価されるのです。この大会で重視されるのは速さではなく、正確な操作と判断、そして平常心です。二輪免許取得者であれば、誰もが安心して挑戦することができます。

指導員からはブレーキングに関する講習が実施されました

また大会終了後には、交通安全教育センターの指導員による安全教育が行われ、今回は「ブレーキ」をテーマに、危険の予測やその際の対応策の必要性、安全意識を高める運転方法、そして実際のブレーキングの手順などがレクチャーされました。

今回の優勝者を紹介

表彰式では各クラスの上位3名が表彰されました。ここでは、各クラスの優勝者の方々にコメントをいただきました。

原付クラス優勝者
峯田雅臣さん

「普段バイクを運転する際に気をつけているのは、2車線でも他の車両と並走はしないようにすることです。それが自分のなかでの安全運転に対する心がけですね」

小型二輪クラス優勝者
長嶋信郎さん

「バイクに乗っているときは、特にクルマの流れを読むことに気をつけていますね。それが自分自身にとっての安全にも繋がってくると考えています」

普通二輪クラス優勝者
前嶋恵利香さん

「バイクを運転する際、普段から一番気をつけている部分はブレーキングですね。危険だと感じたときにしっかりと止まることができるようにしたいので」

大型二輪クラス優勝者
瀬古孔栄さん

「バイクに乗る際の心がけとしては、普段から事故を起こさないようにと頭で思いつつ、周囲に気を払って運転をしている感じですね」

二輪車安全運転 東京大会の主催者より

警視庁 交通部 交通総務課長 警視正
尾嵜亮太さん

「今回で52回目の開催となる二輪車安全運転 東京大会。その主旨としては、二輪車運転者の安全運転技術の向上と交通安全意識の向上を図り、二輪車による交通事故の防止に繋げるものとなっています。以前は全国大会もありましたが、現在は都道府県大会の在り方も各地で変わってきました。東京都も開催に関していろいろと検討をした結果、継続とする形となり、日本二輪車普及安全協会と一緒に開催をしております。

東京都は二輪の事故での死亡率の割合が全国と比較しても高く、二輪車のライダーに対しての啓発が必要だと考えるところもあり、二輪に対しての安全対策の一環としてもこの大会の存在があります。大会の告知は試験場内のポスターをはじめ、講習会での告知や警視庁のX(旧Twitter)などのSNSで発信を行ない、広く認知を図っています。コロナ禍で一度、参加定員を絞り、その後も大きな増員はしていません。その理由としては、参加者の人数に対して指導員の人員的に対応がしきれないこと、またしっかりと教えることができないというところからです。

参加いただいた方にはしっかりと安全に対しての知識や技術を伝えていきたいという考えもあります。参加者の傾向としては以前はリピーターが多かったのですが、最近は徐々に初参加の人も増え、今回は全体の3割が初参加となっています。より多くのライダーの人たちに安全に対しての知識や技術等を広めていくため、今後も大会を続けていきたいと考えています」

自身の技術レベルを理解することで安全意識を高める

中高年の男性ライダーが中心となるも、若年層や女性の姿も少なくないなど多くのライダーが参加していた二輪車安全運転 東京大会。参加者は指導員の説明に耳を傾けながら、疑問点やうまくいかなかったところの改善方法について質問をする場面が多く見られました。大会という技術を競う場ではあるものの、より良い運転技術を身につけて自身を向上させ、次のステップへと繋げられるという大会の意義や魅力が存分に感じられた取材となりました。

バイクライフを長く続けられるための技術と知識を身につけられる貴重な機会として、興味を持たれた方は是非お住まいの地域の二輪車安全運転大会に参加されてみてはいかがでしょうか。

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