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バイク用エアバッグの今に迫る

今やクルマでは標準装備となっているエアバッグ、バイクの世界でもその流れが見られます。ライディングウェアはもちろん、車体にもエアバッグが備わるなど、事故の際にライダーを守ってくれる装備は進化しています。

そんなバイク用エアバッグの現在位置を知るべく、ライダー用とバイク用、それぞれの最新状況をリサーチしました。

利用者の増加とともに増えるエアバッグウェア

白バイ隊員も着用する一体型エアバック・ハーネスタイプ
白バイ隊員も着用する一体型エアバッグハーネス

国内外のバイク用エアバッグの普及状況はどのようになっているのか、エアバッグが搭載されたウェアブランドのうち、「hit-air(ヒットエアー)」を展開する無限電光株式会社の竹内 貴哉さん(以下、竹内さん)にお話を伺いました。

竹内さん

近年、大手海外メーカーのエアバッグ製品が日本でも販売されたこともあり、また一部レースでの着用義務化など、バイク用エアバッグの認知度は年々向上し、一般ライダーのエアバッグの着用率も若干ではあるものの増加傾向にあります。

実は、海外でも新規エアバッグメーカーが増加しており、エアバッグ製品の市場は非常に大きくなっているのです。

そうした状況を反映するように、現在は全10種類ほどのラインナップと、初期のラインアップの倍近くになりました。中でも今年発売開始したHDSフーデッドジャケットはカジュアルなバイクスタイルに合わせられる現代のライダーの要望に合わせて開発したため、販売店やSNSなどの反応もよく、年始からイベントも開催しています。

エアバッグが搭載されたウェアを選択するライダーは、主にどういった方々なのでしょうか。

竹内さん

コロナ禍の影響もあって、自動二輪免許を取得する新規ライダーの増加やリターンライダーの存在と、これまで以上にライダーの数が増えていることは私たちも感じていました。

エアバッグ搭載ウェアを購入するユーザー層の一部を担っているのは、久々の運転に不安があるリターンライダーでした。

一方で若年層のライダーは、教習所でのプロテクター着用が必須であることから免許取得後も自然とプロテクターを付ける傾向にありますが、経済的な面などからエアバッグ搭載ウェアを選択するライダーはまだ少ないですね。

今後の展望については、次にように語りました。

竹内さん

エアバッグを身近に感じてもらえるような取り組みを計画しています。アフターサービス(点検、修理)などが可能なイベントブースを2024年3月、関西と関東での実施を予定しています。

何より重要なクオリティを維持はもちろんですが、一般的なライディングウェアと比べても高額になってしまうので、付加価値を感じてもらえるアフターサービスをより充実させていく予定です。こうした取り組みとともに、多くのライダーに身近な存在として着用いただければと思っています。

その取り組みの一環として、春夏シーズンに向けてカジュアルなウェアとスポーティなウェア、それぞれデザインしたメッシュジャケットを計画しています。このジャケットはエアバッグシステムを取り外せる仕様でも考えています。

万が一の際の備えとして期待されるバイク用エアバッグについて、同社は以下のようにアドバイスしています。

竹内さん

まずはライダーの皆さん自身が安全性について強く意識をお持ちいただき、バイク用エアバッグがどういうものなのかを知っていただくことが第一歩になるかと思います。

現在ヨーロッパにおいてバイク用エアバッグの市場が発展しており、ライダーにとってのマストギアとなりつつあります。

日本国内でも海外メーカー含めて数社が製品展開していますが、メーカーによって一長一短があるので製品ごとの違いをよく理解したうえで自身のバイクライフに合った製品を洗濯してほしいと思います。

他にもまだある!バイク用エアバッグ

ウェア搭載エアバッグはこのほかにもDainese(ダイネーゼ)やalpinestars(アルパインスターズ)といったライダーに馴染み深い海外ブランドがバイク用エアバッグをラインナップしています。

ダイネーゼのワイヤレスエアバッグシステム「D-air」

ダイネーゼが手がけているエアバッグシステムが「D-air」。危険な状況を自動的に察知するワイヤレスシステムを採用しています。他メーカーとは異なるアプローチをはかっている点が興味深いです。

アルパインスターズのエアバッグシステム「TECH-AIR」

アルパインスターズの「TECH-AIR」もダイネーゼと同じワイヤレスシステムを採用しています。すでにMotoGPでも実証済みの高い性能が魅力的で、バイクはもちろんジャケットとの接続が不要なので気軽に着用できます。

バイクにもエアバッグが

二輪車用エアバッグシステムが備わったホンダ・ゴールドウイング

現在ラインナップされているホンダ・ゴールドウイングにはエアバッグシステムが標準装備されています。発表は2005年、バイクが前面衝突した際にライダーの損害を軽減させる「二輪車用エアバッグシステム」を量産二輪車用として開発しました。

このシステムは、エアバッグ本体や展開用の気体を供給するインフレーターなどを収納している「エアバッグモジュール」、衝撃を検知する「加速度センサー」、衝突判定の演算処理を行う「エアバッグECU(電子制御ユニット)」の3点で構成されています。

ホンダ・ゴールドウイングのエアバッグシステム

左右のフロントフォークに装着された衝撃センサーで衝突時の加速度を検知してエアバッグが展開されます。衝突のエネルギーを吸収してライダーが前方に投げ出される際のスピードを抑制し、相手車両や構造物などとの衝突による傷害を軽減するのです。

エアバッグのサイズ感もあって、標準装備されているのはビッグクルーザーの代表格であるゴールドウイングにとどまっていますが、今後の技術の発展や開発によって他モデルにも搭載されていくのかもしれません。

今以上にバイクライフを楽しむための安全への備えとして

警察庁「損傷部位別二輪車乗車中死者数(令和元年〜令和5年合計)

2023年に警視庁が発表した「二輪車の交通死亡事故統計(2022年中)」によると、​​バイクによる交通事故の致命傷部位は1位が「頭部」、2位が「胸部」、3位が「腹部」となっています。ヘルメットで守られる頭部は改めてあごひもをしっかり締めることが推奨され、胸腹部は胸部プロテクターの着用の重要性が解かれています。

将来的にエアバッグを標準搭載した新たな車種が登場するかもしれませんが、今回紹介したエアバッグ搭載ウェアもライダーの身を守る選択肢のひとつであることを改めて知ることができました。しかし、安全技術が進化を続ける一方で、もっとも重要なのはバイクを操るライダーひとり一人が安全運転に対する意識を高めていくことです。MOTOINFOでは過去に二輪車事故防止を目的とした「セーフティライディング」動画もご紹介しています。まだご覧いただいていない方は、末長くバイクライフを楽しむためにも是非チェックしてみてください。

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