
「秋の全国交通安全運動」重点ポイントは?2025年は9/21~30
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2025(令和7)年9月21日(日)から9月30日(火)までの10日間にわたり実施される「秋の全国交通安全運動」は、交通安全思想の普及・浸透を図り、交通ルールの遵守と正しい交通マナーの実践を習慣化するとともに、道路交通環境の改善に向けた取り組みを推進することで、交通事故防止を徹底することを目的としています。
例年の3つの重点項目に加え、今年は新たに『ながらスマホの根絶』などが強調されていますので、合わせて詳しく解説します。
日暮れが早くなる9月は注意深く運転しよう

「秋の全国交通安全運動」は毎年9月下旬に開催されますが、その理由は「日暮れが早まる10月から交通事故死亡者数が増えているから」です。令和7年1月7日に警察庁 交通局 交通企画課から発表された「令和6年中の交通事故死者数について」の「月別交通事故死者数の推移」によると、令和6年1月から9月まで平均208人だった月別交通事故死者数が、10月が252人、11月が248人、12月が287人と増加しています。令和元年から6年にかけての平均推移を見ても10〜12月は増加傾向にあり、周囲が薄暗くなることで対向車や歩行者が見えにくくなって交通事故を引き起こしています。

バイク乗車中の交通事故での死者数は、令和5年と比べるとやや減少したものの、令和6年中は年間で372人の方が亡くなっています。「事故に遭わず無事に帰ってきてほしい」と願うご家族のためにも、普段以上に安全運転を心がけましょう。
日暮れが早くなると、普段ははっきり見えている景色が無意識のうちに見えにくくなります。特に夕暮れ時は、仕事終わりで目が疲れていることが多いでしょう。乗車前に休憩をとって目をしっかり休ませ、万全の状態で乗車することをおすすめします。また普段より速度を出さないよう心がけ、ハイビームを活用して歩行者や自転車、乗用車の存在に早めに気づけるようにしましょう。
万が一に備え、ヘルメットはPSC(消費生活用製品安全法)マークが貼られたサイズの合うものを選び、あご紐をしっかり結んで正しく着用しましょう。頭部に次いで死亡事故の原因となる胸部を守るためのプロテクターについても、JMCA(一般社団法人 全国二輪車用品連合会)認証マークがついた製品を推奨します。
秋の全国交通安全運動:3つの重点ポイント
今回の「秋の全国交通安全運動」における重要ポイント3つを解説します。
1:歩行者の安全な道路横断方法等の実践と、反射材用品や明るく目立つ色の衣服等の着用促進
夜間はもちろん、夕暮れ時に街灯の少ない道を走行する際、日中よりも歩行者の発見が遅れがちになります。「重要ポイント」の3つ目にも関わってきますが、暗がりでも発見されやすいよう歩行者は反射材用品や衣服を着用しましょう。
交通事故死者数全体のうち、歩行中の割合が最も高く、特に夜間における歩行中の交通事故による死者数が多くなっている。また、歩行者側にも走行車両の直前・直後横断や横断歩道外横断等の法令違反のほか、夜間の路上横臥(ろじょうおうが:道路上で人が寝そべっている)が認められる。このため、歩行者に対し、安全な道路横断方法等の実践と反射材用品や明るい目立つ色の衣服等の着用促進、歩行者が被害に遭う交通事故実態の周知を図る必要がある。
さらに、次代を担うこどものかけがえのない命を、社会全体で交通事故から守ることは重要であるにもかかわらず、交通事故による幼児(※1)・児童(※2)の死者・重傷者の割合の中では歩行中や自転車乗用中の割合が高く、特に、歩行中児童の死者・重傷者は登下校中の割合が全体の約4割を占めるなど、依然として通学路を始めとする道路においてこどもが危険にさらされている状況にある。また、歩行中の交通事故による死者数のうち65歳以上の高齢者の占める割合が高いことにも留意が必要である。
※1「幼児」とは、未就園児と就園児をいう。
※2「児童」とは、小学生をいう。
2:「ながらスマホ」や飲酒運転等の根絶と夕暮れ時の早めのライト点灯やハイビームの活用促進
飲酒運転はもってのほかですが、バイクにとっても注意が必要な「ながらスマホ」の根絶が今回の重要ポイントに含まれました。
近年、スマートフォン等を使用しながら自動車を走行させる「ながらスマホ」が要因となった死亡・重傷事故が増加傾向にあるほか、飲酒運転,妨害運転(いわゆる「あおり運転」)等の悪質・危険な運転による交通事故も後を絶たない。また、例年、日の入り時刻が急激に早まる秋口以降は、夕暮れ時から夜間にかけて重大事故が多発しているほか、死亡事故の第1当事者の多くは自動車の運転者で、歩行中の死亡事故の多くが道路横断中に発生している。このため、自動車等の運転者に対して、ながらスマホや飲酒運転等の根絶と、夕暮れ時の早めのライト点灯やハイビームの活用促進を図る必要がある。
なお、自動車乗車中における後部座席シートベルトの着用率やチャイルドシートの使用率がいまだ低調であり、チャイルドシート使用率は、年齢が上がるにつれて低下する傾向にあるほか、75歳以上の高齢運転者による交通死亡事故は、免許保有人口当たりでみると、75歳未満の運転者と比較して多く発生しており、その要因としてハンドル操作不適やブレーキとアクセルの踏み間違いなどが多くなっていること等にも留意が必要である。
近年、スマホをハンドル周りにマウントさせるライダーが増えていますが、乗車中の操作はもちろん、注視することも取り締まりの対象です。安全な場所に停車してから操作しましょう。
ヘッドライトが常に点灯しているバイクなら、日暮れを迎えても前方を明るく照らしますが、人通りの少ない道に入る際は、ハイビームを活用して前方を明るく見通せるようにしましょう。
3:自転車・特定小型原動機付自転車の交通ルールの理解・遵守の徹底とヘルメットの着用促進
本項で主な対象となるのは、自転車ならびに電動キックボードなどの特定小型原動機付自転車の利用者ですが、ヘルメット着用義務があるバイクにとっても関係がある内容です。
自転車乗用中の交通事故死傷者数は、15歳以上19歳以下の若年層の割合が顕著に高く、自転車乗用中の死者の約半数は頭部に致命傷を負っているほか、自転車乗用中における乗車用ヘルメット非着用時の致死率は、着用時と比較して高い。また、自転車乗用中の死亡事故では、自転車側の多くに法令違反が認められる。さらに、道路交通法の一部を改正する法律(令和6年法律第34号。以下「改正道路交通法」という。)により、自転車運転者のながらスマホの禁止や酒気帯び運転に対する罰則が創設され、令和6年11月1日から施行されたほか、令和8年4月1日からは、自転車について交通反則通告制度(いわゆる「青切符」)が導入される。また、特定小型原動機付自転車に関しては、16歳未満の運転禁止や車道通行の原則など、利用者には交通ルールを理解した上で安全に利用することが求められており、乗車用ヘルメットの着用についても努力義務が課されている。このため、自転車・特定小型原動機付自転車の利用者を始め、広く国民に対し、自転車の通行場所を始めとする交通ルールについて分かりやすく周知し、その理解・遵守の徹底と乗車用ヘルメットの着用を促していくことが必要である。
自転車や特定小型原動機付自転車の利用者には、交通ルールについての理解はもちろん、ヘルメットの正しい利用法を知らない人もいます。私たちライダーがそのお手本となるよう、サイズの合ったヘルメットを選び、あご紐をしっかり結んでの正しい着用を心がけましょう。
期間
1:運動期間 令和7年9月21日(日)から30日(火)までの10日間
2:交通事故死ゼロを目指す日 令和7年9月30日(火)
主催
| 内閣府、警察庁、総務省、法務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、防衛省、都道府県、市区町村、独立行政法人自動車技術総合機構、独立行政法人自動車事故対策機構、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構、自動車安全運転センター、軽自動車検査協会、(一社)全日本指定自動車教習所協会連合会、(一社)日本二輪車普及安全協会、(一社)日本自動車連盟、(一社)全国ハイヤー・タクシー連合会、(一財)全日本交通安全協会、(公社)日本バス協会、(公社)全日本トラック協会、(公財)日本道路交通情報センター |
悲しい事故をひとつでも多く減らそう

バイク乗車時の交通事故での死者数は一昨年に比べて減少したものの、年間で300人以上に及ぶ状況が続いています。世界に通⽤する素晴らしいバイク⽂化の創造を⽬指すとともにバイク産業の振興、市場の発展等を図ることを⽬的とする「BIKE LOVE FORUM(バイクラブフォーラム)」では、「⼆輪⾞産業政策ロードマップ2030」と題した取り組みにおいて、2030年までに二輪事故死者数を半減させるべく「実⽤・趣味利⽤の双⽅に向けた安全運転啓発・教育」と「安全装備の普及拡⼤」を推進しています。
正しく乗ればバイクは安全で楽しく便利な乗り物であることを周知してもらうためにも、まずは私たちライダー一人ひとりが安全運転を心がけ、ヘルメット等の装備を正しく着用するようにしましょう。
令和7年秋の全国交通安全運動推進要綱(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/koutu/keihatsu/undou/r07_aki/youkou.html
交通事故統計(警察庁)
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/toukeihyo.html








