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バイクで日本一周した私が得たモノ「一人だからこそ向き合えた自分。楽しく生きるコツを見つけた!」(下川原リサさん)

道のりは19,740kmという途方もない長さで、宿泊はキャンプ中心。しかも、相棒は原付二種(51cc〜125cc)の小型バイク。

そんなチャレンジングな日本一周の旅に挑んだ若干20代の女性がいます。それがタレント・ライターとして活躍する下川原(しもかわら)リサさん。

彼女はなぜ休業してまで旅立っていったのでしょうか。その旅路の中で気づいたソロツーリングの魅力についても語っていただきました。

 

自分に自信を持ちたかった

バイクに興味を持ち始めたころから、「バイクで日本一周」という雑誌の記事やブログをよく見ていたんです。いつも「すごいな」と思う反面、ビビリで度胸のない自分には決して縁のない話だと思っていました。

でもバイクの免許を取得してから、ツーリングやサーキット走行、それにオフロードとどんどんバイクの楽しみ方に幅がでてきて。お仕事でもバイクと触れ合う機会が多くなるにつれて、いつかバイクで日本一周することが私の密かな夢になっていました。

私って、もともと自分に自信がないんです。中学生まではオドオドしてばっかりだったんですけれど、高校生に上がってからはこれじゃダメだって感じて。「もっと自分を好きになりたい!自信を持ちたい!」という思いから、色んなことにチャレンジしてきました。

バイクで巡った日本一周の旅もそのひとつ。

「夢を夢のままで終わらせたくない、今やらなければ一生後悔する!」と思い切って4ヶ月間仕事を休んで旅に出ることにしました。

 

人の温かさに触れた旅

「絶対成し遂げる!」と意気込んではみたものの、旅立った当初は不安ばかりでした。いつもは友人や家族とワイワイ連れ立ってツーリングに行くことがほとんど。だからソロで、しかも日本一周なんて少し寂しさもあって。とにかくスタートしたときはただひたすら目的地の先にあるワクワクする出来事だけを考えるようにしたんです。気持ちを作らないと安全にゴールできる気がしませんでした(笑)。

 

旅の醍醐味といえば、やっぱりその土地土地の景色やグルメですね。毎日絶えず移動しているから、同じ朝日や夕日だって違って見えるし、温泉やキャンプだって場所によって楽しみ方が違う。毎日が初めての場所で、その風景を見るたびに感動しました。

 

雨の日も暑い日も台風が迫る風の日もバイクに乗っていたせいか、五感をフル活用してその瞬間を楽しんでいた気がします。ヘルメットに響く雨の当たる音だって、肌を切るような寒さだって新鮮。美味しそうなラーメンの香りや牛の匂いもダイレクトに伝わってくるので、いつもよりついつい食欲もでちゃう(笑)。ご当地の名物をほんとに端から橋まで食べ尽くす勢いでしたね。

 

それに、旅の中で出会う多種多様な人々にもワクワクしました。立ち寄ったお店の店員さんや居合わせたお客さんはもちろん、パーキングエリアやキャンプ場で出会ったバイク乗りにしても、その地域ならではの雰囲気みたいなのを感じることが多くて。「遠いところからよく来たね」と温かい声をかけてくれたり、「美味しいから持っていきな」なんてお土産をくれたりと、みなさん心配してくださって。人の温かさに触れる機会も多かったです。

そのおかげか、ホームシックになるなんてことは一切なくて。移り変わる景色に驚き、出会う人々に感謝していたら、いつのまにか4ヶ月が過ぎてしまっていました。

 

心の声に向き合うことが楽しく生きるコツ

旅を経て、一番変わったと思うのは1人の時間を楽しめるようになったことです。考えてみれば、みんなでワイワイしていたいっていうのは、自分に自信がないことの裏返しだったんです。1人を楽しめるようになったことで「どんな事もできる!」という自信も湧いてきました。

それに、楽しく生きるコツを掴めた気がしています。旅をする中で、自分の決めたルールを守ろうとするあまり、自分がいかに苦しめられていたか気づくことも多くて。

 

例えば旅の当初は、「今日はここまで行かないといけない」「あそこに寄らないといけない」など、その日その日のスケジュールを必ずクリアするように考えていたんです。

ところがあるとき、駐車場が定休日でバイクが取り出せなくなってしまって。「旅程が台無しになる」と不安が襲ってきましたが、思い直してもう一泊してその日はバス旅に変更することにしました。

 

でも、そのおかげからか気持ちがスッと吹っ切れて。「スケジュールなんてポイ!なるようになる!」と無計画で自由に走り出すと、一気に気持ちも晴れてきたんです。思うままに進んでいくと良いお店や、良い人と次々に出会えました。

不思議と気持ちが落ち込んでいたり、がんばり過ぎて一杯一杯になっているといい運気がやってこないですね。道中、それが面白いほどに分かりました。

 

予定になくても、気になったら即移動。ある島に行こうとしたときなんて、着いた途端に雨で散々…なんてこともありましたけど、今ではいい思い出です。旅の終わりに残ったのは、「行ってよかった!」という満足感だけです。

これだけ情報の溢れた世の中ですし、誰もがいろんなしがらみの中で生きています。そうなると自分の思いを圧し殺してしまいがちですけれど、そこは一度思い直すべきなんです。「自分は本当に何がしたいのか」と心の声に耳を傾けてあげることが楽しく生きるコツ。そう私は旅の中で学べました。

 

一人で旅したからこそ、気づけた自分がいた。そして自分なりの生き方を掴めたという下川原リサさん。日本自動車工業会による2019年市場動向調査によれば、ツーリングを楽しむ方の83%がソロ。自分と語らう時間を楽しむバイク乗りが多いのかもしれません。

 

プロフィール

下川原リサ

2015年のミスユニバース埼玉大会グランプリ獲得、ツインリンクもてぎエンジェル、2りんかんギャル、埼玉県富士見市PR大使などを経て、現在はBS11で放送中のテレビ番組「大人のバイク時間”MOTORISE”」に出演するなど、バイク業界を中心に幅広く活躍中。バイク誌ヤングマシン・レディスバイク他でも記事を連載中。 愛車はCBR600RR、セロー225、クロスカブ、スーパーカブ50、FTR223。著書として『カブで、ちょっと日本一周に行ってきます!』(内外出版社)がある。

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