駐車場シェアリングに勝機!? 拡大を続けるバイク駐車場の現状を知る
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2024年4月に自工会が発表した「2023年度 二輪車市場動向調査 報告書」において、バイク駐車場の整備拡大を望むユーザーからの声が今なお非常に高いことが伺えました。モトインフォでは昨年、主に都心部で不足するバイク駐車場問題の解決策として「予約制駐車場の利用拡大」について記事化しましたが、あれから1年が経った現在、状況はどのように変わってきたのでしょうか。現在のバイク駐車場の状況を分析したうえで、今後期待される取り組みについて一般社団法人 日本二輪車普及安全協会(以下、日本二普協)と駐車場シェアリングサービス「アキッパ」に話を聞きました。
今なお要望の多いバイク駐車場の整備拡大
「2023年度二輪車市場動向調査 報告書」の「施設やインフラに対する整備・改善期待(複数回答)」を見ると、「任意保険料の低料金化」や「高速道路の低料金化」など二輪車業界の重要課題とされる項目に並ぶ形で、「施設・出かけ先、二輪専用駐車場の整備拡大」が複数回答の46%と多くの票を集め、2位に位置しました。モトインフォがレポートした記事「予約制駐車場が慢性的なバイク駐車場不足の問題解決につながるのか?」が公開後に実施されたアンケートの結果ではあるものの、バイクユーザーとしてはやはり「二輪専用駐車場はまだまだ足りていない」が改めて顕在化しました。
バイク利用時に困ったこととしては、「出先や自宅周辺などにおいて駐車できる場所がない」が全体の37%に及び、東京23区に絞ると67%となるなど、都市部ほどその要望が高まっています。駐車で困った場所は、1位が「駅周辺」(65%)、2位が「繁華街」(61%)と続き、東京23区になるとこの2つに加えて「オフィス街」「住宅街」「自分の学校・職場周辺」「自宅周辺」と、多岐にわたります。安心してバイクが停められる駐車場が不足することでバイクに乗る頻度が下がり、購入に際して二の足を踏んだり、保有しているバイクを手放してしまうことにもつながるため、バイク駐車場の拡充は喫緊の課題なのです。
「2023年度二輪車市場動向調査 報告書」の「定量調査・FGI調査結果から得られる示唆点」で挙げられた8つの項目の7番目に「駐車場問題」が含まれるなど、今後の二輪車業界において改善が求められる重要事項と位置付けており、活用されていない四輪車用駐車スペースを二輪車用に転用するための提案を積極的に行っています。
このような状況下、昨年ご紹介した民間企業サービス「予約制駐車場」がこの半年ほどで大きく増加しているのです。
大幅に登録数を伸ばす「予約制駐車場」
日本二普協が運営するバイク駐車場検索サイト「全国バイク駐車場・駐輪場案内」の「駐車場掲載数」の推移を見ると、2023年度3月の段階で25,912件だった時間貸駐車場は4ヶ月後の今年7月では28,484件と、2,572件も増加しています。中でも大幅に伸びたのが「予約制駐車場」で、2023年3月の段階で24,166件だった登録数が、7月には26,683件と、2,517件増加したのです。前述の2,572件増と比べると、その伸びのほとんどが「予約制駐車場」であることがわかります。
「全国バイク駐車場・駐輪場案内」では現在、「アキッパ」「特P」「いつでもニリーン」「パラカ」の予約制駐車場の情報もご案内しています。その中の「アキッパ」広報の森村優香さん(以下、森村さん)に、現在の予約制バイク駐車場の登録推移や利用状況についてお話を伺いました。
ますます拡充している予約制駐車場の今
アキッパは、個人宅やマンション、事業所などの空いているスペースを駐車場として登録し、利用したいユーザーに貸し出せるサービスです。駐車場所の予約や駐車場料金の支払い等はすべてオンライン対応なので、簡単にお住まいの空いたスペースを有効活用できます。
「全国バイク駐車場・駐輪場案内」でも大きな伸びを見せる予約制駐車場の登録数は、アキッパでも同様なのでしょうか。
「昨年(2023年)段階の予約できる駐車場数は常時約35,000件で、今年は常時約45,000件と1万件も増加しました。また、こちらは四輪車を含めるのですが、アキッパ登録者数も累計350万人(2023年)から累計410万人(2024年)まで増えています。四輪車と二輪車の内訳までお出しできていないのですが、アキッパでは常時45,000件以上の駐車場のうち、約7割近い駐車場でバイクでの予約が可能なので、バイクユーザーが利用できる場所はかなり多いです」(森村さん)
アキッパでは毎年8月19日(バイクの日)に合わせて、アキッパのバイクユーザーに回答してもらったアンケート結果を公表しており、バイク移動での困りごとについて問いかけたところ「目的地にバイク駐車場がない」「バイク駐車場が混雑していて停められないことがある」という回答が上位を占めました。
「寄せられる声の大半が『(目的地、またはその近くに)バイクの駐車場がない』『駐車場が混雑している』です。バイクが停められなくて困っているライダーがこんなに多くいるんだと改めて実感しています」(森村さん)
昨年のアンケートの「バイクが停められる駐車場が増えて欲しい場所を教えてください」という質問では、東京都がダントツの1位となり、大阪府、神奈川県、京都府、愛知県と三大都市圏を含む政令指定都市の街が続きました。
「実際に弊社で集計しているデータを見ても、東京と大阪での利用が多いです。2024年9月のバイクの予約数を見てみると、東京が約45%、大阪が約21%を占めています。
利用目的は、『通勤・通学』が最多の約41%で、そこから大きく開いて『旅行・観光』です。都心部の駐車場不足を如実に表した結果と、私どもも受け止めております。『バイクを駐車する場所が確保できる』という安心感を求められて(アキッパを)ご利用くださっているのだと思います」(森村さん)
すべてオンラインで対応するというアキッパの性質上、困難な状況が生まれてしまうこともあるそうです。
「二輪車に限った話ではないのですが、なかには『停める場所に別のもの(バイク)がある』という問い合わせがあります。前の利用者が延滞停車していたり、場所を間違えておられたり、というのが主な原因です。『アキッパの情報ページに載っている写真と似た別の家のスペースに停めてしまった』という話もあります。アキッパに掲載されている場所の情報や写真をしっかりご確認の上、ご利用いただければと思います。停められない場合にはアキッパのサポート窓口にお問い合わせいただければ、状況に応じた対応を案内します」(森村さん)
登録者と利用者の増加に比例する形となったトラブルも、それぞれが注意を払って利用することが解消の第一歩になるのだと思います。バイクに対する印象が良くなれば、予約制駐車場サービスの登録数もさらに増えていき、私たちの利用環境もより良くなることでしょう。
バイク駐車場を正しく利用してさらなる拡充を
バイクの楽しさ、利便性をより多くの人に知ってもらい、バイクを利用する人を増やしていきたいという私たちの思いや、ユーザーの需要に対して、まだまだ供給が追いついていないバイク駐車環境ですが、今回民間企業のサービスがスピード感をもって環境改善に寄与していることが伺えました。私たちライダーもバイクを正しく利用することで、バイク駐車環境がより良くなるため積極的な働きかけの手助けができればと思います。モトインフォでは、引き続きバイク駐車場問題に関する取り組みやニュースをお届けしていきます。