普及が加速する電動バイク用交換式バッテリーシェアリングサービス「Gachaco」の今
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2022年4月、ENEOSホールディングスおよび国内バイクメーカー4社(本田技研工業、カワサキモータース、スズキ、ヤマハ発動機)の共同出資によって設立された株式会社Gachaco(以下、ガチャコ)。
電動バイク用交換式バッテリー(共通仕様)シェアリングサービスの提供、つまり電動バイク用のインフラ整備を目的とするガチャコは、同年10月より電動バイク向けのバッテリーシェアサービスを開始しています。会社設立から3年目に差し掛かろうとしている今、交換式バッテリー(以下、B/T)のシェアリングビジネスはどこまで進んでいるのでしょうか。ガチャコの代表取締役である渡辺 一成さん(以下、渡辺さん)に進捗を伺いました。
渡辺さんによると、ガチャコ設立から現在までの活動で見えてきたポイントをまとめると以下の通りです。
- B/Tステーション(以下、Gachacoステーション)の設置場所が着実に増えている
- SDGsへの取り組みとして協力的な企業も増えている
- 交換式B/Tはバイク以外の需要も顕在化しつつある
上記3つのポイントについて詳しくお話を伺うことができました。
【新たな選択】EVバイクバッテリー シェアリングの今を知る!
約2年間で東京と大阪(北摂エリア)を中心に事業展開
ガチャコでは、Gachacoステーションを3km四方に設置するという目標が掲げられています。現段階では電動バイクの利用環境を鑑み、補助金や助成金の後押しによって利用拡大が期待される東京都や大阪府など都市部で集中的に事業展開し、利用率の高いエリアでは設置を追加検討しながら、着実に設置場所を拡大しています。
災害時にも役立つGachacoステーション
Gachacoステーションの全12個のスロットのうち、交換式B/Tが常時10個セットされており、B/Tがセットされていない2個の空きスロットは返却用として空いています。また、交換式B/T専用給電機(Honda Power Pod e:)を用いれば、ポータブル電源として屋外などで家庭用電気製品の充電を行うこともできます。また、災害による停電など有事の際には、設置場所を提供している店舗などへの電力供給のほか、地域住民のスマートフォン充電などへの幅広い活用が期待できます。
ガチャコが提供するGachacoアプリを用いると、全国のGachacoステーション設置場所や交換式B/Tの利用状況が確認できるので、出先でも安心して利用可能です。またGachacoステーションの設置場所検索は、ナビゲーションサービスのNAVITIMEアプリからでも実施可能とのことです。
SDGsへの取り組みとして協賛する企業も増加
特に最近は、さまざまな企業からSDGsの観点でパートナーシップを求められるケースが増えています。電動モビリティの普及に伴うインフラ課題の解決としても、前向きな方向へと進んでいます。協賛する側にとっても、デッドスペースの活用策だけでなく、企業としてのSDGsへの取組の一環として社外へアピールできるメリットもあり、効率的な社会課題取組みとして捉えていただいているようです。
Gachacoステーションの設置拡大が社会の電化を推し進める
採用しているHonda Mobile Power Pack e:のB/T自体は一個約10㎏と容量が大きいものになりますが、それゆえにパーソナルモビリティ以外の建設機械・投光器などへの活用検討も広がっており、すでに水上モビリティなどへの実証も始まっているようです。また、電動バイク自体の利用も、警備会社での巡回、銀行、電気工事、デリバリーなど、利用される業務や用途が拡大しています。
なお、ガチャコでは誰にでも利用しやすい環境を作り上げるため、利用のニーズを徹底的に解析し、サービスにおいても24時間体制でコースセンター対応しているとのことでした。
「簡便な利用方法」「設置場所の普及」「利用車両の拡大」で伸びしろ大
最後に、今後の展開と期待について尋ねました。
今後も体験キャンペーンなどの機会を増やし、まずは簡便さを体験して頂きたいと思います。設置場所については、前例としてクルマがそうであったように、バイクショップ・用品店、ガソリンスタンド、あるいは“eやんOSAKA”で実証実験がなされたようにコンビニや多くの人が集まる学校などの施設などへも展開が期待されます。それに伴い、バイクのみならずさまざまなモビリティへ交換式B/T利用の拡大も期待できると思います。
既に一部のバイクディーラーや用品店にも設置され、着実に利用者の利便性に繋がっていくと思います。
見えた!交換式バッテリーによる電動バイク普及の可能性【eやんOSAKA】
今回ガチャコへの取材を行い、B/TおよびGachacoステーションの活用方法は電動バイク以外にも可能性を秘めており、着実に電動化に向けたインフラ整備を進めていることが判りました。
コンパクトなGachacoステーションから大きな価値を生み出すガチャコの今後に期待が持てます。