
二輪文化の創造と二輪車の活性。メディアミーティングで示された2026年の方向性
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2026年1月14日、一般社団法人 日本自動車工業会(以下、自工会)は「第13回メディアミーティング」を開催し、2025年の国内二輪車市場の振り返りと、2026年の市場展望および活性化策について発表・議論を行いました。本記事では、当日の模様を詳しくお伝えします。
委員長 設楽元文からの挨拶

設楽 元文
はじめに、自工会 二輪車委員会 委員長の設楽が挨拶を行い、委員長へ就任した2024年11月からの約1年間を振り返りました。
「皆さま、本日はお忙しい中、第13回二輪車委員会メディアミーティングにご参加いただき、誠にありがとうございます。二輪車委員会 委員長の設楽でございます。少し遅くなりましたが、改めまして本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。まずは、昨年度の自工会活動に対する皆さまのご理解とご協力に、心より御礼申し上げます。今年も変わらぬご支援をいただければ幸いです。
昨年度は、米国の相互関税政策や、中国のレアアース輸出規制といった、自由貿易の根幹を揺るがす出来事が続きました。加えて、今年に入ってからも、米国によるベネズエラへの軍事介入による原油高騰リスクなど、先行きが見通しにくい状況が続いております。資源高による物価上昇、賃金の伸び悩み、社会保険料の負担増なども重なり、国内消費も力強さを欠く状況です。こうした厳しい環境の中、私が委員長を拝命して一年が経ちました。今日はその一年を、少し振り返らせていただきます。
手前みそではございますが、国内二輪車業界の活性化に向けた取り組みは、概ね計画どおり進められたと感じています。昨年もお話しした「二輪文化の定着と活性化」。その象徴のひとつが鈴鹿8時間耐久ロードレースでの取り組みです。皆さまご存じのとおり、日本最大級の二輪レースイベントで、ライダーと観客が一体となる、独特の熱気があります。若い世代にもその魅力を知っていただくため、今回は16〜23歳を対象にした“ZERO円パス”、さらに音楽フェスの併催といった取り組みを実施しました。その結果、3日間で約6万1,500人、前年比110%という来場を達成しております。
さらに、昨年11月開催のジャパンモビリティショーでは、4メーカー合同の屋外イベントを開催し、鈴鹿8耐マシンのピットパフォーマンスやレジェンド・現役ライダーによるトークショーなどを実施しました。このモビリティショーにおいては、自工会正副会長によるトークショーも開催し、各社のトップが自分の体験に基づいて、四輪・二輪への想いを語る新たな取り組みも行いました。開催事務局より非常に大きな反響があったと報告を受けております。私自身も愛車を展示し、思い出話とともに「もっと二輪に乗ろう」というメッセージをお伝えできました。これらが広く発信されたのは、ひとえにメディアの皆さまのお力添えのおかげです。この場を借りて、改めて感謝申し上げます。
一方、需要面では大きな変化もありました。半世紀以上親しまれてきた50cc以下の原付一種の生産が終了し、今年4月の道路交通法改正により、50cc超〜125cc以下・出力4kW以下の車両が原付免許で運転可能となるなど、新たな時代を迎えています。今後は新基準原付の普及を図りながら、原付二種を含めた需要の推移を注視してまいります。また、カーボンニュートラルへの対応も、二輪車業界にとって重要な課題として継続して取り組んでまいります。
2025年の国内総需要は36万1,990台で、前年からは微減となっています。排気量別に見ますと軽二輪のみが約108%と前年伸張となり、自動二輪、原付二種は4%、原付一種は2%ほど僅かながら減少しております。また昨年10月末をもって原付一種の生産が終了しましたので、今年はその影響が少なからずあると想定しております。また昨年のBIKE LOVE FORUMでも議論されたとおり、今後は「総需要」だけでなく、保有台数やアフターマーケットといった観点も含めて、業界全体を捉える視点がますます重要だと感じています。後ほど、2025年の総括、2026年の展望、国内二輪車市場活性化策について詳しくご説明いたします。
本年は『二輪文化の創造と二輪車の活性』をテーマに、より力強く取り組んでまいります」
小鹿野町がバイクで大盛り上がり!「第13回バイク・ラブ・フォーラム」
2025年国内二輪車市場統括

宇津井 秀人
第13回メディアミーティングは「2025年市場概況振り返り」と「2026年展望と国内二輪車市場活性化策」をテーマに行われました。
2025年11月10日に二輪車企画部会 部会長に就任した宇津井より、2025年の国内二輪車市場について説明が行われました。
排気量別に見る2025年の市場動向


排気量別登録・出荷実績の合計は36万1,990台となり、前年比98.4%という結果でした。国内の登録・出荷をみると、2021年以降40万台を維持していたものの2024年は40万台を割る結果となりました。2025年には軽二輪のみが前年を伸長し、自動二輪、原付二種、原付一種はそれぞれ約2%~4%ほどの微減となっております。しかしながら、10月末をもって原付一種が生産終了となったため、今年以降は全体的に原付一種の出荷減の影響があると想定されています。
軽二輪・小型二輪の保有推移とバイクブームの変遷



1980年から2023年までの保有台数を見ると、全体では約10%減少していますが、その主な要因は原付一種の減少です。一方で、軽二輪や小型二輪、特に大型二輪の保有台数は着実に増加しています。年代別に見ると、ミニバイクやレーサーレプリカ、ビッグスクーター、そして近年の250ccスポーツモデルなど、それぞれの時代でバイクブームが形成されてきたことがわかります。一方、小型二輪については1992年以降34年連続して増加しています。
イベント動員数の増加
スポーツバイクの保有増加に伴い、バイクを楽しむユーザーも増加しています。実際に、モーターサイクルショー(大阪・東京・名古屋)は前年比104%、鈴鹿8耐は110%、MotoGP 日本グランプリは112%と、いずれも動員数が増加しました。
これらの動向について設楽委員長は、「二輪車業界が一体となってユーザーの心に訴えかける取り組みを続けてきた結果」と述べ、来場者に楽しんでもらう企画を積み重ねること、地道な活動を継続することの重要性を強調しました。
コミューター市場の現状と新基準原付の周知活動

飛田 淳司
続いて、二輪車企画部会 副部会長の飛田より、コミューター市場と新基準原付に関する説明が行われました。


自工会では新基準原付の周知拡大に向け、ポスターやデジタルサイネージを制作し、全国120ヵ所の運転免許試験場、全国1,230ヵ所の教習所でポスター、販売店でデジタルサイネージを掲示してきました。また、メディア関係者が参加した自工会メディアツーリングをはじめ、ウェブ上では自工会公式サイトや「モトインフォ」を通じて積極的に情報発信を行い、特にモトインフォでは新基準原付に関する記事が人気ランキング1位を獲得するなど、高い関心を集めました。さらに、自工会公式X(旧Twitter)の発信では、2026年1月14日現在で880万回を超える閲覧数を記録しています。
一方で、一部の動画配信サイトなどでは新基準原付について誤解を招く表現も見受けられることから、自工会としては今後も市場動向を注視し、必要に応じて適切に対応していく考えを示しました。
イベント報告
自工会で行っている、バイクファン増加に向けて開催されたイベントについても報告が行われました。
2025年開催 バイクの日

バイクファンづくりの一環として開催されている「バイクの日」イベントは、2025年で秋葉原での開催が3年目を迎えました。昨年は開催時間を夜まで延長したことで、ビジネスパーソンの来場増加につながり、来場者アンケートでは、男性比率が約88%、40代以下が約35%と、比較的若い層の来場が目立ちました。都内在住者が多いものの、遠方からの来場者も見られ、バイクによる来場も一定数確認されました。
第13回 BIKE LOVE FORUM

経済産業省のもと、二輪車業界10団体および地方自治体が一体となって推進している「BIKE LOVE FORUM」。第13回となった2025年は、「バイクの力で地域を盛り上げよう」をテーマに、埼玉県小鹿野町にて開催しました。当日はフォーラム会場への来場者が215名、YouTubeによるライブ配信の視聴者も660名にのぼり、多くの方に二輪車業界の取り組みを発信する機会となりました。
2026年の展望
2026年のテーマ

続いて、委員長の設楽より2026年の展望が語られ、引き続き「二輪車産業政策ロードマップ2030」に基づき活動を進めつつ、マイルストーンの検証を行う年になると述べました。
また、2026年のテーマとして「二輪文化の創造」と「二輪車の活性」が掲げられ、趣味材としてのバイクの魅力を継続的に訴求し、社会的な有用性への理解を広げていく重要性を示しました。
さらに、新車購入層の平均年齢が55.2歳であることに触れ、リターンライダーを含む大人のバイクライフが市場を支えている現状、ライダーのマナー向上にも言及し、若者が憧れる土壌づくりが課題であると発言しました。
「“二輪文化の創造”とは、バイクを通じた共通の価値観やライフスタイルの考え方などが広く共有される事で、一過性のものでは無く社会の基盤となるように作り上げていくこと。つまり、趣味材としてのバイクの楽しさを積極的にアピールし続け、乗りたいと思える人を増やすことが重要なポイントだと考えます。
一方、二輪車の活性とは、二輪車の利用改善によりさらに社会的な有用性を認知されることでバイクの利便性をより理解いただける方がひとりでも増えるように業界が一丸となって更なる活性に向けて働きかけることです。
利用改善の例としてコミューター市場においては、新基準原付が安心して駐車できる駐車場施設を増やすような働きかけであったり、特定小型原付やモペッドに乗る若者の台頭などカオス化するモビリティーの中でのバイクの有用性や利便性の訴求により、世間一般に対する認知向上に努め続けることです。
いずれも、BIKE LOVE FORUMの目的とする『世界に通用する素晴らしいバイク文化の創造を目指すとともにバイク産業の振興市場の発展等を図ること』に繋がっております。」
総評

江坂 行弘
最後に、常務理事の江坂と委員長の設楽より総評が行われました。
常務理事 江坂「新基準原付については、本日の質疑応答時も含め関心の高まりを感じております。私自身各地を訪れる中で、高齢の方が50cc原付を生活の足として使われている姿を目にする機会もあります。そうした実情を踏まえ、今後も啓発や情報共有を丁寧に行い、引き続き関心を持って見ていただけるよう積極的に発信していきたいと考えています。あわせて、2050年カーボンニュートラルの達成は自工会にとって最重要課題の一つであり、業界を挙げて取り組みを進めてまいります。各社・技術者それぞれの強みを生かしながら、できることを着実に積み重ねていくことが重要だと考えています。今後とも、皆さまのご理解とご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます」
委員長 設楽「業界として、ルール変更や社会的要請に対してリスクを最小化する取り組みを進めてきましたが、同時に“需要を生み出すための想像力”がまだ十分ではないと、改めて感じております。安全普及や交通法規への対応を行ってきた一方で、本当に“バイクに乗りたくなるメッセージ”を届けられていたのか。メディアの皆さんや現場の方々とより深い相互理解を図りながら、質の高い情報を一体となって発信し、実際の行動や購買につながる活動へ結びつけていくことが重要だと考えています。メーカー・市場・販売店・業界、それぞれの視点を掛け合わせ、業界全体として活性化に向けた思考を進めていきたいと思います」
二輪車委員会 委員長の設楽が掲げる2026年の抱負

ミーティングの最後には、委員長の設楽が2026年の抱負として「駆」の一文字を揮毫(きごう)しました。
「今年の一文字には『駆』を選びました。バイクは“鉄の馬”とも言われる存在であり、走ること、駆け抜けることそのものに価値がある乗り物です。60周年という節目の年を迎える今、この時代の流れの中で、改めてその本質をしっかり伝えていきたいと考えました。
昨年は『心』という言葉を掲げましたが、何かを変えるときには、まず心が動くことが重要です。今年はその心の中に、バイクが駆け巡る疾走感のイメージをより強く持ってもらう一年にしたい。その思いが行動につながり、最終的には需要の喚起へと結びついていく、いわばお客様の心を駆けさせる取り組みを進めていきたいと考えています。
この一年、『駆』という言葉に込めた想いをしっかりと伝え、時代性とクオリティを備えた活動を展開していきたいと考えています。その実現には、メディアの皆さまの力が欠かせません。ぜひご支援をお願いしたいと思います」
委員長の設楽の掲げる「駆」という一文字に象徴されるように、自工会 二輪車委員会は今、二輪文化の価値を改めて社会に伝え、次の時代へと加速させるフェーズに入っています。自工会は、市場環境や制度が大きく変化する中でも、業界一体となった地道な取り組みと、ユーザーの心を動かす発信を重ね、バイクの魅力をさらに広げてまいります。








