
「オレンジバイカーズ」が目指すライダーによる社会貢献
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「ライダーの結束力や機動力を社会に役立てたい」という想いから誕生した 一般社団法人PeaceMaker(以下、ピースメーカー)は、多くのライダーの協力を得て児童虐待防止や地域活性化に貢献しています。バイクという共通の趣味を持つ者同士がひとつの目的のために集い、行動を起こすその力を社会に役立てようとするピースメーカーが、どんな活動に取り組んでいるのか、実際の取り組みと今後に向けた施策について、代表理事の道家 尚巳氏に話を伺いました。
ライダーの絆で社会貢献するピースメーカー

ピースメーカーは、二輪車・自転車の愛好家による地域社会への貢献活動を行う団体です。活動の始まりは2009年、千葉県いすみ市の児童養護施設のクリスマスパーティーに、サンタクロースに扮したライダーがお菓子を届けるという訪問活動を行いました。この活動は、現在まで欠かさず継続しています。
2016年、千葉県児童福祉施設協議会のサポートのもと、千葉県千葉市が行う児童虐待防止活動「オレンジリボン活動」の正式な後援事業として認可を受け、一般社団法人ピースメーカーを設立。ライダーのソーシャルアクションを軸に広報・普及を行うオレンジリボンバイク隊「オレンジバイカーズ」として活動しています。具体的には、児童虐待防止の推進、児童養護施設への訪問・支援、災害に見舞われた被災地への復興支援に加え、地域活性化・地方創生を目的とした観光誘致にも取り組んでいます。
ライダーの連帯が生むソーシャルアクション

道家 尚巳氏
ピースメーカーの活動に取り組まれるようになった経緯をお聞かせください。
「2009年頃、千葉県四街道市でハンバーガーショップ&カフェ「Club BIGONE(クラブ・ビッグワン)」を営んでいました(現在は千葉県夷隅郡大多喜町「風の村キャンプ場」に移転)。駐車場も広く、ライダーが集まるお店として愛好家に親しまれていたのですが、周辺の住民からはバイクの音の大きさや騒がしさから、苦情を受けることが多々ありました。ご迷惑にならないよう配慮していましたが、当初の印象が拭えずにいたのです。
そんなとき、児童虐待防止活動を行う団体の方と知り合い、同年12月23日にいすみ市の児童養護施設のクリスマスパーティーに参加することになりました。そのときは詳しく聞かされていなかったのですが、その施設には両親から虐待された子どもたちが保護されていました。
このパーティーで、私が『この活動に取り組もう』と思った出来事が2つありました。ひとつは、小さい子に『プレゼントは何が欲しい?』と聞いたら『抱っこして欲しい』と言われたこと。もうひとつは、帰り際にある子どもから『どうせ来年は来ないんだろ』と言われたことです。後から“虐待を受けた子どもたち”が多くいたと聞いて、合点がいきました。『この子たちのことは絶対に裏切っちゃいけない』と思い、翌年のクリスマスパーティーにも参加しました。そうしたら、昨年訪れた際の帰り際に悲しい目で言い放った子が真っ先に来て『今年も来てくれた!』と喜んでくれたんです。
それから16年が経ち、当時の子どもたちは施設を卒業していきましたが、今もサンタライダーの活動は続けています」
そして、ライダーの絆を活かした活動をされているのですね。
「マナーの良いお客様が圧倒的に多いのですが、それでもごく一部の印象から“ライダーは社会悪”と見る方がいらっしゃるんだと、お店への苦情から感じていました。私自身もライダーなので、ライダーの本当の姿や絆の強さを知って欲しいと思ったのです。その気持ちとサンタライダーでの体験が重なり、同志の絆が生むソーシャルアクションで社会貢献活動を推進していこうと考えました」

現在はどのような活動をされているのでしょうか。
「2016年から、千葉県千葉市が取り組む児童虐待防止活動『オレンジリボン活動』の正式な後援事業として認可をいただき、ライダーの力で活動を行うオレンジリボンバイク隊「オレンジバイカーズ」として、福祉活動や復興支援など、さまざまな社会貢献活動に取り組んでいます。
ひとつは、『児童虐待ホットダイアル(#189 / イチハヤク)』の存在や、オレンジリボンの活動を広めていくためのイベント参加、並びにイベント運営です。『もしかしたら虐待?』と思う事象に遭遇したとき、多くの方が警察に通報されていると思います。もちろん間違いではありませんが、虐待事案への対処法が整えられている児童虐待ホットダイアル(#189)にかけてもらえれば、適切な対応につなげられるのです。
児童虐待という社会問題への関心度を高めることも、取り組みにおける大切な要素です。オレンジリボン活動には「地域社会の目で虐待から児童を守ろう」という基本理念がありまして、ひとりでも多くの方に活動を知ってもらうことで、重大な事案になる前に救い出すことを目指しています。『隣のお子さん、最近見かけないな』とか『どうしてあの子の表情は沈んでいるのだろう』など、身の回りの変化や気づきを次のアクションにつなげるために、イベント会場での活動はもちろん、ライダーのネットワークを活かしたSNSなどでの情報拡散に尽力しています。
なかには、ご自身の行為が児童虐待だと自覚していない大人もいらっしゃいます。そんな人たちに『もしかして、自分の行為って虐待なのかも』と自身の行為を見つめ直すきっかけを提供することも活動の一環だと思っています。児童虐待ホットダイアル(#189)では、こうした場合での相談にも応じてくれます」

「このほか、児童養護施設を訪問する『千葉サンタライダー活動』、児童福祉施設の児童と交流を図って就職や進学を支援する『サンタライダーサマーキャンプ』、千葉県いすみエリア(いすみ市・大多喜町・勝浦市・御宿町など)を中心に、バイクと自転車による地方行政と連携しての『バイカーによる地域活性化活動』を精力的に行なっています。
親の愛を受けられなかった子どもたちは、私たちでは計り知れない深い傷を持っています。彼らが施設を卒業して社会に出ると、些細な理不尽や心無い言葉をかけられますが、私たち以上に傷ついてドロップアウトしてしまうのです。彼らを守れる大人が守らなきゃいけない、という使命感から、就職を支援する『サンタライダーサマーキャンプ』を実施しています。簡単ではありませんが、卒業した子どもたちが『元気に働いています』と、たまらなく嬉しくなりますね」

バイクという共通の趣味を持つライダー同士の輪が力となって、活動を推進されているのですね。
「参加してくれているライダーの力がなければ、これほど大きな幅を持った活動にはなっていなかったと思います。『困っている人たちのために、できることをしてあげたい』という個々の想いがチームとして発揮されると、大きな影響力を生み出します。ライダーの絆が社会貢献という形で表され、誰かの役に立っていることが何より嬉しいですね」
最後に、全国のライダーへのメッセージをお願いします。
「ライダーの協力のおかげで、千葉県におけるオレンジリボン活動への認知度は高いものとなっています。こうした取り組みは全国に広がっていって欲しいですし、全国のライダーが力を合わせれば、見えない場所で起こっている不幸をひとつでも減らしていけると思います。バイクという趣味が社会貢献につながる幸せを、皆さんと分かち合っていきたいです。活動へのご賛同、よろしくお願いします」
ライダーの絆で社会をより良くしていこう

2025年11月3日(月・祝)に開催された「第10回オレンジバイカーズ千葉2025」の開会式に登壇された千葉県児童養護施設協議会 事務局長の馬場 敏氏によると、2025年現在、児童養護施設で暮らす子どもは全国で約4万2,000人におよび、15年ほどこの数は減っていないそうです。ピースメーカーの取り組みが活動そのものの認知拡大につながり、全国に波及していけば、それはライダーの絆の証明とも言えます。モトインフォは今後もピースメーカーの活動に注目していきます。








