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日本国内での輸入二輪車販売をサポートする日本自動車輸入組合(JAIA)とは

日本国内で販売されているバイクは、日本を代表する国内4メーカーのほかに、海外メーカーのモデルもあります。日本自動車輸入組合(以下:JAIA)は、海外メーカーと直接輸入契約を結ぶインポーター12社によって構成された輸出入取引法に基づく非営利法人で、輸入車市場の健全な発展のためにさまざまな活動を行っています。さらに、世界に通用する素晴らしいバイク文化の創造とバイク産業の振興、バイク市場の発展を目的とし、バイクの将来像などについて関係団体と真摯に議論する場「バイクラブフォーラム(BLF)」では自工会を含む8団体や行政とともに活動推進を行うなど、国内バイク市場において関係性の深い間柄でもあります。

設立の経緯やこれまでの働きかけ、海外メーカー製バイクを日本で取り扱う上での課題、そして2024年度とその先に向けた取り組みについて JAIA二輪車委員会 委員長の関口哲人氏(以下、関口委員長)にお話を伺いました。

日本自動車輸入組合(JAIA)とは

毎年4月、大磯ロングビーチ駐車場(神奈川県)で開催される「JAIA 輸入二輪車試乗会・展示会」2024年会場の模様

JAIAは輸入自動車28社、輸入二輪車12社のインポーターからなる組合で、現在二輪に関しては2つの大きな柱を元に活動をおこなっています。

まずひとつめは、海外バイクメーカーが扱う製品を日本国内に輸入するために必要となる法規制などの基準の調和を行うことです。法規制は年々厳しくなってきていて、そういった部分に関して関係省庁と意見交換をし、会員各社の製品(バイク)を安定的に継続してお客様に届けられるように交渉や調整等をおこない、公平なマーケットを整備してもらうための活動をしています。

もうひとつの大きな取り組みが市場の活性化で、こちらは毎年開催している二輪専門誌などメディアを対象とした「JAIA 輸入二輪車試乗会・展示会」です。会員各社でも個別に試乗会等の活動をしていますが、JAIAに所属している会員各社が「何か力を合わせてできることはないか」と考えたところからスタートした取り組みです。2015年から始まったこの合同試乗会は、2020年のみコロナ禍で開催を見送りましたが、今年(2024年)で9回目を迎えました。当初は5社だった参加企業数も今や12社となるなど、規模も年々拡大しています。

JAIA二輪車委員会発足の背景

日本自動車輸入組合 二輪車委員会 委員長の関口哲人氏

海外モデルを国内に輸入するための法規制等の基準の調和や海外モデル市場の活性化を主な目的として掲げ、活動をしているJAIAの二輪委員会。その発足のきっかけはどういったところからなのか、また所属するメリットなどについて、関口哲人委員長にお聞きしました。

「2010年に二輪車委員会が発足した背景には、現在の活動の大きな柱である法規制関係による部分の大きさがあります。それまでは個社の各担当者が情報のピックアップや改正された法律の内容を読み解く対応をしており、私も所属する海外メーカー企業で国土交通省から型式認証(道路交通法に基づいて、車両が強度、構造及び性能について、設計及び製造過程が安全基準及び均一性基準に適合するか検査し、安全性と均一性を確保するための制度)を取る仕事に携わっていました。本国で製造された製品を日本国内で販売するために欠かせない業務なのですが、法規制関係の情報を個々の会社で取得するのは大変なのです。

二輪車委員会が発足したことで、各社の担当者が個別に行っていた調整を取りまとめることができ、さらにJAIAという二輪関連団体に加入したことで国土交通省から直接法改正や法規制の情報をもらえて、より早く対応できるようになりました。結果的に、各社の製品を求められるお客様のもとへより迅速にお届けすることが可能になったのです」

法律はもちろん、どのようなバイクを作るかは国ごとで考え方もアプローチも異なります。日本の法律や法規制にどう対処するかを取りまとめてくれるJAIA二輪車委員会の存在は、実車に触れる機会を早めてくれているという点でも非常に大きいと言えるでしょう。

「実際に法規制や法改正が行われるとなった際、早い段階で法規制の情報を入手することで、国土交通省との意見交換や相談はもちろん、その情報をいち早く各社の開発担当者にフィードバックし、国内の基準に対応した製品を仕上げられるのが大きなメリットです。

安定かつ継続的にお客様へ商品を提供できるという面において、JAIAの二輪車委員会という存在は大きく、所属することは各社にとって有意義だと考えています」

市場活性化の一環となる合同試乗会

毎年春に開催されている「JAIA 輸入二輪車試乗会・展示会」も、市場の活性化を目的とした取り組みのひとつです。この試乗会・展示会が発案されたきっかけや意図についても関口委員長にお伺いしました。

「メディア向けの合同試乗会は四輪で長らく実施されていまして、合同試乗会の実施がメディア関係者にとっても有意義な取材の機会となり、さらにそこから情報を発信してもらうことで市場の活性化につながっていました。二輪車委員会が発足して輸入二輪各社が仲間に加わったことから、二輪でも合同試乗会を行ってみようという案がきっかけでした。

多数のメーカーとその製品が一堂に会し、多種多様なモデルを試乗できる機会というのはまずなく、バイクを題材とするメディアにとっても良い機会になっているようで、四輪と同様の効果が発揮できています。

この合同試乗会を起点に、開催の形態や場所、時期、そして会員のメリットを考慮した上でこうした取り組みを検討し、継続していきたいと考えています」

近年の二輪業界の流れとJAIA二輪車委員会の実績

今年で14年目を迎えるJAIA二輪車委員会を発足当時から見てこられたという関口委員長。現在のバイク業界の流れや各社の状況の変化についても語ってくださいました。

「2020年以降、コロナ禍の影響も含め、現代社会におけるバイクの存在意義という点については、ライフスタイルの変化もあわせて趣味としてのバイクというものが幅広く浸透してきている印象があります。また以前は法規制・法改正に対する各社の知識やスキルにばらつきがあったのですが、JAIA二輪車委員会に参加することで国土交通省の講習会に参加できるようになったり、型式認証の取得方法を正しく学ぶことができたりと会員企業にとっても大きな効果をもたらせています。

またJAIAでは、世界の国ごとに異なる法律を調和させていくという活動を国土交通省協力のもとで進めており、その結果、以前と比べて各国メーカーが発表した車両のデザインや設計を大きく変えることなく販売できるようになっています」

「JAIA 輸入二輪車試乗会・展示会」会場では胸部プロテクターを備え置き、参加メディアへの着用意識を高めていた

JAIA二輪車委員会が手がけてきた具体的な実績についても教えていただきました。

「何より、会員企業がスムーズに型式認証を取れるようになったことが最大の実績だと考えています。今では当たり前のこととなっていますが、改めて輸入二輪メーカーのインフラ整備ができたことは大きな功績です。

一般社団法人 日本自動車工業会とともに主催団体として「バイクラブフォーラム(BLF)」に加わるなど、バイク業界に対する発言力や影響力を持てるようにもなりました。私たちJAIAも含めて二輪車関連団体が一丸となり、バイクを販売するだけでなく安全にバイクに乗ることを訴求するための取り組みに加われていることに大きな意義があると感じています。

具体的には、高速道路の二輪車料金の独立化やバイク駐輪場の確保、免許制度の合理化などがあります。もちろんこれらは短期的に成果を上げることができませんが、各議員の方々とも連携をしながらこうした要望を伝え続け、その実現に向けて取り組んでいきたいと考えています」

2024年度の課題、取り組み等の展望

2024年、そしてその先の未来に向けて取り組んでいる課題と展望についてもお伺いしました。

「JAIA二輪車委員会は12社のメンバーで構成されていますが、各社でビジネス規模が違っていたり、ニーズも異なっています。製品ラインアップやビジネス規模、型式認証の取得の有無などさまざまありますが、会員企業にメリットをもたらすために必要な取り組みを常に考え、優先順位に基づいての取り組みを整理することが今後の課題です。

また、これは二輪業界だけに限ったことではありませんが、人材不足も大きな課題だと感じています。特に整備人材に関してはここ数年、深刻さに拍車がかかってきている印象です。お互いライバル会社ではありますが、何か協力し合えるのではないかと考え、JAIAのなかに四輪と二輪を横断した、整備人材確保に向けた連絡会を設置しました。そこではベストプラクティスの共有や政府から出る補助金に関する情報、外国人人材の活用などそれぞれ知見のある会社に情報共有いただき、会員企業の底上げをしていく流れを作っています。

さらに、これはまだ発案段階ですが、BtoBから発展させBtoCのイベントも検討しています。より広く、より多くの人にバイクへの興味関心を持ってもらい、バイクファンになっていただく働きかけをしたいですね。それが結果的にバイク業界全体の活性化にもつながると思いますので、メディアの発信力をお借りして輸入車の魅力をアピールしていきたいです」

多くの人のもとに希望のバイクが行き届くよう

輸入バイクは、JAIA二輪車委員会の働きかけによって、各国メーカーで発表された際とほぼ変わらない姿で販売されていたのだと知ることができました。

現在、私たちが安心して輸入バイクを購入し、乗り、楽しむことができているのは、JAIAのお陰と言えるでしょう。輸入バイクに触れる機会を一層増やしつつ、国内二輪車市場の活性化について取り組むJAIA二輪車委員会。バイク愛好家であれば覚えておきたい、重要な国内二輪車業界団体のひとつです。

JAIA 日本自動車輸入組合

https://www.jaia-jp.org/

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