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2024年国内二輪市場の展望を語る【自工会 二輪車委員会 日髙委員長】

一般社団法人 日本自動車工業会(以下、自工会)の発表した2023年の二輪車登録・出荷実績によると、原付二種(排気量:51〜125cc)が前年比の5割増、軽二輪(排気量:126〜250cc)は前年並み、原付一種と小型二輪は前年を下回るものの、全体では前年比100%となりました。

この背景にはコロナ感染症の第5類への移行に伴う行動規制の緩和や、国内バイクメーカー各社による魅力的な原付二種ラインアップの拡充など、さまざまな要因がありますが、果たして2024年の国内二輪市場はどのように変化していくのでしょうか。

2024年1月16日に自工会 二輪車委員会が報道関係者向けに開催したメディアミーティングにて、国内二輪市場における2023年の振り返りと、2024年のさらなる活性化に向けた取り組みについて発表がありましたのでご紹介いたします。また、二輪車委員会の委員長を務める日髙祥博氏[ヤマハ発動機代表取締役社長](以下、日髙委員長)より、本年の抱負も述べられましたので、併せてご紹介いたします。

自工会“7つの課題”を念頭に事業を推進

はじめに日髙委員長はメディアミーティングに先立ち、能登半島で発生した大地震ならびに羽田空港での飛行機事故について、亡なられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様方にお悔やみを申し上げられました。

続いて、昨年11月22日の記者会見で発表した自工会会長職の交代についても触れられました。前任のトヨタ自動車 豊田会長からいすゞ自動車 片山会長への交代が行われた際に、片山会長は会見で“7つの課題”を発表しました。
7つの課題は以下の通りです。

  • 物流・商用・移動の高付加価値化/効率化
  • 電動車普及のための社会基盤整備
  • 国産電池・半導体の国際競争力確保
  • 重要資源の安定調達、強靭な供給網の構築
  • 国内投資が不利にならない通商政策
  • 競争力あるクリーンエネルギー
  • 業界を跨いだデータ連携や部品トレーサビリティの基礎構築
2023年11月22日の記者会見で、自工会は今後2〜3年で注力する7つの課題を発表

日髙委員長はこれに対し「二輪車委員会としても、この“7つの課題”を念頭に事業を推進することで新会長を支えていきますが、特にマルチパスでのカーボンニュートラル達成としての“電動車普及のための社会基盤整備”ないし、ものづくりの競争力確保に向けた“競争力あるクリーンエネルギー”については、四輪車の動きに遅れないよう、実行していきます」と発言されました。

2023年の国内二輪市場は原付二種の動向に好感触

次に会見は2023年における国内二輪市場の総括へ移り、日髙委員長は「コロナによる二輪車バブルと揶揄される論調もありましたが、第5類への移行後も二輪新規免許取得者は大きな落ち込みなく順調に推移しています。2024年はこうした傾向をさらに維持拡大していくことが我々二輪業界に関わる者の責任だと認識しています」と話されました。また、昨年の販売台数についても触れ、「2023年の販売台数をカテゴリ別に見ると、原付一種・小型二輪では前年を下回っておりますが、原付二種は大幅に伸びており、今後、原付二種ユーザーが軽二輪、小型二輪とステップアップする流れに繋げていける可能性を秘めた非常に良い傾向と受け止めています」と続けました。

2023年は消費スタイルに変化:トキ消費

トキ消費とは、それまでモノやコトという形で表現されてきた消費スタイルのひとつで、その時・その場でしか味わえない盛り上がりを楽しむ消費を指す

次に、国内二輪市場における2023年の総括と2024年の展望について、自工会 二輪車委員会 企画部会 副部会長の飛田 淳司氏(以下、飛田副部会長)よる説明がありました。

飛田副部会長は説明のなかで消費スタイルの変化について触れ、これまで“モノ→コト”消費だった市場に新たに“トキ消費”が追加され、注目されているとし、「モーターサイクルショー」や「ジャパンモビリティショー」「MotoGP日本グランプリ」「鈴鹿8耐」と同様に、自工会が関わる「バイクの日」やBIKE LOVE FORUM(以下、BLF)の関連イベント「ツーリングキャンペーン」もまさしくその時・その場でしか味わえない盛り上がりを楽しむトキ消費であると説明されました。

2024年はトキを含むコト提案によるファンづくり

続いて飛田副部会長から、2024年の国内二輪市場展望についても説明がありました。

まず、国内における二輪新車販売台数の推移は安定傾向にあり、40万台を維持していることを挙げ、ここ数年(特に2018年以降)から増加傾向にあった新規若年層・女性層の方々が末永くバイクを愛好して頂くことが重要であると述べられました。そのため、2024年は安心してバイクライフを楽しめる仕組みづくりが必要であるとの方針を示されました。

コロナ禍終息に伴う市場動向、つまり、バイクブームの落ち着きや、行動制限のない現在においてバイク以外の趣味や旅行など、行動が多方面に分散している傾向を踏まえて、モノ(=バイク)の魅力を伝えることはもちろん、トキを含むコト提案によるファンづくりの重要性を説明されました。

自工会 二輪車委員会がファンづくりに向けて2024年に取り組む具体的な施策としては、メディアミーティング、MOTOINFO(当サイト)による情報発信、自工会主催イベントである「8月19日はバイクの日 HAVE A BIKEDAY」、二輪車産業政策ロードマップ2030の推進に向けたBLFの関連イベントを挙げられました。

2024年の「8月19日はバイクの日 HAVE A BIKEDAY」について

今年の「8月19日はバイクの日HAVE A BIKEDAY(仮称)」も、昨年同様アキバ・スクエアで開催予定です。

本イベントの目的は、「バイクの日(8/19)」の認知度アップを目指し、バイクの交通安全啓発やマナー向上、所有する喜びや運転する楽しさなどを訴求し、バイクに乗っていない方にも関心を持っていただき、ひとりでも多くのバイクファンを増やすためのイベントです。

2024年のBLFおよび関連イベントについて

BLFとは、世界に通⽤する素晴らしいバイク⽂化の創造を⽬指すとともにバイク産業の振興、市場の発展等を図ることを⽬的に、バイクへの認知と受容、共存のあり⽅や、バイクの将来像などに関して真摯に議論し活動するフォーラムです。なお、2024年のBLFは宮崎県での開催を予定しています。

昨年のBLFは静岡県で開催しましたが、BLFの翌日より関連イベントとして静岡県全域を舞台に「ツーリングキャンペーン」も実施されました。期間内は1,100名を超えるライダーが静岡県内の観光スポットや道の駅などをツーリングで巡り、大盛況のうちに幕を閉じました。

同様に、今年のBLF開催予定地である宮崎県でも、BLFの関連イベントとしてバイクツーリズムを活用した地域振興とバイクファンづくりの施策について企画検討しているとのことでした。

まさに、こうしてツーリングを楽しみバイクライフに喜びを感じていただくことが、生涯にわたるバイクファンづくりに繋がるのではないでしょうか?

日髙委員長による総評と2024年の抱負

2023年の振り返りと、今年の国内二輪市場展望が見えてきた第8回メディアミーティング。
最後に日髙委員長から総評が述べられました。

メディアミーティングは、メディアの皆様よりご意見やご質問をいただくことによって、その先にいる各メディアのユーザーさんの関心事がどこにあるのかを知ることができる貴重な場だと考えています。そして、ストレートにアドバイスいただけることも非常に参考になります。そういった意味で、本日メディアの皆様からいただいたご質問やご意見は、我々が全く手をつけていない、手をつけられていないところへのご質問は頂戴しなかったと感じております。
また、今日は「BLFを開催するのはいいが、しっかりと新規若者層などユーザーさんが足を運びたくなるような企画を立てて欲しい」といったアドバイスもいただきました。BLFしかり、バイクの日についても今年の開催は月曜日ですので、夏休みの学生さんたちが来てくれるような企画が必要だと感じました。やはり、ジャパンモビリティショーの際も、クルマ好きやバイク好きだけのお祭りに終わることなく、幅広い年齢層や志向の方々に来て欲しいということで、さまざまな知恵を出しあって作り上げていくわけですから、良い企画ができたら、ぜひまた足を運んでいただければと思います。本日は誠にありがとうございました。

さらに、今年の抱負をしたためた色紙を手に、以下のように説明されました。

今年の抱負の漢字は「絆」です。

一つには、多くの方に二輪免許を取得いただき、新車の販売も好調だった過去2〜3年のところのユーザーさん同士の絆、それから我々業界とユーザーさんとの絆、そして業界関連団体におけるさまざまな人との絆を深め、現在バイクに乗られているユーザーさんが末永く安全で快適なバイクライフを楽しめるよう、新しく入ってきたユーザーさんともしっかりと絆を深め、末永く二輪を楽しんでいただくための「絆」づくり、これが今年一番のテーマです。

もう一つは、年初に能登半島を震源とする地震がありました。東日本大震災の際と同様ですが、やはり日本のなかで皆の絆で復興されていく、そういった「絆」という言葉が非常に重要なキーワードだったような気がします。自工会としても、能登半島地震の被災者の皆様の復興に精一杯ご協力していきたいと思っておりますので、その両面から私は「絆」で頑張りたいと思います。

8月19日はバイクの日 HAVE A BIKEDAY

https://bikeday.jama.or.jp/

BIKE LOVE FORUM(BLF)

https://www.bikeloveforum.jp/

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