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Z世代にバイクの楽しさを伝える学生団体「Neoriders Project」とは?

メタバースやVRなどの先端テクノロジーによる技術革新が急速に進展し、バイク業界においても活用が注目されています。

こうした技術を活用して「バイクライフの幸せを広めるために、Z世代にバイクブームを巻き起こす」をコンセプトに、バイクの楽しさを若年層に伝える活動を続ける「Neoriders Project(以下、NRP)」という大学生インカレサークルがあります。

昨年も東京大学の学園祭“駒場祭”にバイク体験VR作品を出展した際の模様をご紹介しましたが、今年は早稲田大学の学園祭“早稲田祭”にVRコンテンツの進化版を展示するとのことでしたので、彼らのブースを再び取材しました。
※Z世代: 2023年現在12歳~28歳前後の年齢層に当たる、1990年代半ばから2010年代序盤に生まれた世代のこと

【VR・メタバース・e-sports】大学生サークル「Neoriders Project」の考える仮想現実におけるバイクの楽しみ方とは?

NRPの活動について

NRP出展ブース@早稲田祭2023

まず、NRPのことを知らない読者のために、改めて活動の主旨と狙いについて、NRPのリーダーである早稲田大学4年生の藤戸さんにご説明いただきました。

藤戸さん: NRPは、2019年にスタートした活動で、若者が自分たちの興味や情熱を実現するプロジェクトを応援するNPO法人Bizjapanの支援を受けています。当初、バイク愛好家のメンバーが、大学生の中でバイクに乗る人が減少している現状に問題意識を抱き、若者向けのバイク魅力発信プロジェクトを企画しました。コロナ禍による一時的な活動中断もありましたが、2020年秋から活動を再開しています。

NRPの活動方針は、大学生視点で情報発信すること、学生コミュニティを形成すること、そしてバイクに触れる機会を提供することです。仮想現実に焦点を当てた取り組み以外にも、SNSでの情報発信や気軽なバイク体験の機会を提供するイベントなど、さまざまな活動を展開しています。

また、多くの若者にバイクの魅力を伝える場として、大学の学園祭に注目してきました。2022年度には、東京大学“駒場祭”などの学園祭でバイク体験VR作品を初公開し、1,000人以上の方にバイクの魅力を伝えました。

編集部(以下、編):NRP活動は来年で6年目を迎えるにあたり、これまでの活動を通して手応えはありますか?

藤戸さん:はい、活動から多くの手応えを得ています。最初に、我々の活動が若者の間でバイクに対する興味や関心を高める一助になっていることを感じています。特に、バイク体験VRだからこそ成し得た臨場感のある乗車体験によって、多くの人の心を掴むことができました。展示を通じて多くの訪問者がバイクに興味を持ち、新たなバイク仲間が増えたことは、非常に嬉しい成果です。

これまでの活動を総括すると、大学生の力でバイク業界自体に新たな風を吹き込むことができたと感じています。私たちの5年間の活動は、若い世代にバイクを紹介し、バイクを気軽に楽しめる環境を提供するだけに留まりません。バイク系メディアに取り上げられたことで、ベテランライダーにも周知していただくことができたほか、過去のイベントでは自治体とのコラボレーションも行いました。バイク業界に新たなエネルギーと興味をもたらすことができたと自負しています。

また、NRPメンバー自身も、プロジェクトを通じてスキルや経験を磨く機会を得ました。仮想現実やVR技術の習得、イベントの企画・実施、コミュニケーションスキルの向上など、多くの面で成長する機会となりました。このプロジェクトは、私たちが新しいことを学び、自分たちのアイデアを実現する場でもあり、その意味で非常に有益な経験と手応えを得ています。

編:NRP活動のゴールイメージなどはありますか?

藤戸さん:定量的な目標ではありませんが、私たちの最終目標は、Z世代にバイクの魅力を伝え、新たなバイクブームを起こすことです。

そのため、バイク体験VRや免許不要の電動バイク体験しかり、どのような形であれ同世代であるZ世代にバイクの魅力を知っていただく機会を提供し、新たなバイクファンを増やすべく活動を続けています。

ユーザビリティを見直し改善された新バイク体験VRコンテンツ

バイク体験VR作品の様子

次に、今回の出展ブースにおける目玉コンテンツであるバイク体験VRにおいて、アプリケーションを設計された東京大学修士2年生の濱さんにお話を伺いました。

編: バイク体験VRを開発するに至った経緯を教えてください。

濱さん:バイク体験VR開発のきっかけは、若者へのバイク普及活動を続ける中で「乗らないとバイクの本当の楽しさを伝えられないが、バイクに乗るためには興味を持って免許を取得してもらう必要がある」という矛盾に気づいたことです。

そこで、専門家へのインタビューを通して「バイク×VR」の可能性を探ることから始めました。結論から言うと、バイクとVRの組み合わせは、無限の可能性を秘めていることがわかりました!
詳しい内容については、昨年の駒場祭出展時に開催したトークショーの動画をご覧いただけると、より深くご理解いただけるかと思います。

編:今回のバイク体験VRは、前回よりもアップデートされたそうですが、どのあたりを改善されたのでしょうか?

濱さん:今回の早稲田祭で展示したのは、昨年11月の東京大学駒場祭にて発表した作品を、今年8月のバイクの日イベントに向けて大幅に改良した完全オリジナルのコンテンツです。

昨年の展示では、360度カメラを用いて撮影・編集した360度VR動画をYouTubeにアップし、VRヘッドセット(Meta Quest2[旧名:Oculus Quest 2])を用いて投影しました。体験者に扇風機で風を送ったり、適切な音量で排気音を流したりすることで、臨場感を高めるように工夫しました。

濱さん:今回のバイク体験VR作品は、駒場祭出展時の作品を大幅にアップデートしました。

まず、映像編集にこだわり、3箇所で撮影した雰囲気の異なる映像を編集で繋げることで、短時間でも満足度の高い体験の提供を可能にしました。また、臨場感を高めるために高性能マイクで排気音を別途録音し、後から合成する手法を取りました。

さらに最も注力したのは、独学でUnity(ゲーム開発プラットフォーム)を習得し、VRアプリを開発したことです。

オフライン環境でも動作できるようになったほか、PCとコントローラーを用いてヘッドセットに投影される映像を外部から操作することが可能となりました。これにより、体験者がよりVR動画に没入できるようになりました。

VRゴーグルに投影された実際のアプリケーション画面(画像提供:NRP)

編: バイク体験VR作品をしたユーザーからどういった反応がありましたか?

濱さん:私たちの作品を体験した来場者の皆様から次のようなご意見をいただきました。

「初めて体験したけど、とても楽しかった」

「振動や操作感がもっとあれば、より楽しくなるだろう」

「とてもリアルで驚いた。多くの人に体験してもらうことで、バイクの良さが伝わるのではないか」

お褒めの言葉や激励はとても嬉しかったですし、改善点のアドバイスは今後のアップデートの際に活かしたいと思いました。

免許が無くてもバイクの魅力は伝わる!

NRPのメンバー@早稲田祭にて(画像提供:NRP)

最後に、今回の早稲田祭への出展を終えた感想として、リーダーの藤戸さんに再びコメントをいただきました。

編:母校の学園祭でのNRP出展を終えて、今後の活動におけるヒントなど新たな気づきはありましたか?

藤戸さん:今回の早稲田祭でも、VRを用いたバイク体験とバイクに跨った状態での写真撮影を体験いただき、少しでもバイクの楽しさを実感していただくことができたのではないかと思います。引き続き、バイク体験VRは出展時の目玉コンテンツとして改良を加えながら展示を継続していきたいと考えています。

この早稲田祭でのバイク体験VRを機に、EV原付の試乗イベントにも申し込みがありました。実車での体験会でバイクの魅力を確実に伝えることがバイク普及のための重要なポイントなので、我々も一丸となってもう一踏ん張りしたいと思います。

総務省が発表した2022年10月1日時点の人口推計によると、日本の総人口は前年10月と比べて55万6,000人少ない1億2,494万7,000人と12年連続で減少しています※1。さらに出生率も低下の一途を辿っており、少子高齢化が進行しています。そして、バイクの新車購入における平均年齢は、20年ぶりに0.5歳だけ若返ったものの、現在54.2歳※2

こうした実情を踏まえると、Z世代にバイクの楽しさを伝え、未来のライダーを増やすことを目標に掲げるNRPは、バイク業界にとっての命題に若者たち自らが取り組む大変興味深い活動と言えます。

にわかに活気付く昨今のバイク業界において、飛び出た杭の叩き合いではなく、こうした若者の活動を純粋に応援する懐の深さが求められているのではないでしょうか。

バイク体験VRをはじめ、免許不要の電動バイク体験やバイクアート展示、トークショーイベントなど、精力的に活動を続けるNRPの今後の取り組みに是非ご注目ください。

そしてもし、この記事を読む現役大学生でNRPに興味を持たれた方は、彼らのSNSやウェブサイトからコンタクトされてみてはいかがでしょうか。
※1:総務省 – 人口推計(2022年10月1日現在)より
※2:一般社団法人 日本自動車工業会 – 2021年度 二輪車市場動向調査より

Neoriders Project(ネオライダーズプロジェクト)公式ウェブサイト

https://neoriders.net

Neoriders Project(ネオライダーズプロジェクト)X(旧Twitter)アカウント

https://twitter.com/Neoriders_PRJ

Neoriders Project(ネオライダーズプロジェクト)noteアカウント

https://note.com/neoriders/

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